たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

テイトー・ポテトチップスの件でイギリスの国会議員がおこられた話

 

 

トム・タジェンダットというイギリス保守党の国会議員がいます。昨年夏の保守党党首選(リズ・トラスが当選したとき)にも立候補していたので、かなりの大物議員といっていいでしょう。現在は安全保障担当の国務大臣をやっています。

 

この人が月曜日に「It’s Tayto time」というコメントとともに食べかけのポテトチップスの写真をTwitterに投稿したんですよ。ところがこれはアイルランド共和国のテイトーの袋だったのです。

 

 

ご存じの方も多いと思いますが、アイルランド共和国北アイルランドにはそれぞれテイトーというブランドのポテトチップスがあり、別の会社が製造・販売しています。たぶん昔、商標に関する争いがあって、販売地域を北と南にわけることで決着がついているのだと思います。

 

タジェンダット議員は北アイルランドのテイトーのつもりでツイートしたのか、それとも南にも別のテイトーがあるのを知らずにツイートしたのかわかりませんが、UUP(アルスター統一党)のダグ・ビーティー党首から突っ込みが入ります。「やっちまったな。この世にテイトーは一つしか存在しない。そしてそれは(北アイルランド・アーマー県の)タンドラギー村で作られている」。

 

 

 

そこでタジェンダット議員もすかさず訂正。「テイトーの話になると、それは神学論争になる」とユーモラスに返します。ecumenical matter っていうのは、アイルランドを舞台にした人気コメディ『ファーザー・テッド』からの引用です。そういう名セリフがあったのですよ。

 

 

タンドラギーのテイトー工場には、2019年のイギリス総選挙の前に、当時首相だったボリス・ジョンソンが訪れています。ジョンソンはブレグジットを推進したわけですけれども、そのことを北アイルランドユニオニスト側(主にプロテスタント)の人はおもしろく思ってなかったわけです。ま、それをなだめるための1つの策として北アイルランドを代表するブランドであるテイトー工場を訪れたのでしょう。このとき彼は、テイトーのポテチが大好きで、ダウニング街10番地(公邸)で大きい袋のやつを頬張ったと話していました。

 

ジョンソンは、2021年にダウニング・ストリートでイギリスの飲食料品マーケットが開かれた際にも、「私はテイトーの信奉者(devotee)」とまで宣言しており、テイトーのマスコットの体形に自分の体形が似ているのがその証拠だとジョークを飛ばしています。イギリス本土にもWalkersなどのポテチ・メーカーがあるのですが、そこの人たちはちょっと面白くない思いをしたかもですね。

 

アイルランドのテイトーは「フリー・ステートー」(Free State: 昔アイルランドアイルランド自由国と呼ばれていました)というニックネームで呼ばれることがもありますが、2つのポテチの論争は味に関するものに限られており、政治的な論争に火をつけることはまれなのですが、今回ばかりはタジェンダット議員のおとぼけのせいで巻き込まれてしまったようです。

 

ちなみにボリスさんのお気に入りのフレーバーはチーズ&オニオンだそうです。

 

あと、ほんとうはいけないんでしょうが、北アイルランドのテイトーをダブリンでもみかけることがたまにあります。半年ほど前にはLuasのバスアラス駅前のLink Expressというコンビニで売っていました。

 

左が南、右が北のテイトーのマスコット

 

 

www.thejournal.ie

 

参考:

tarafuku10.hatenablog.com

 

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タラの丘の聖なる石が落書きされる

タラの丘にある聖なる石が不届きものに落書きされたそうです。

 

 

タラの丘はご存じのとおり、かつてはアイルランドの政治的・精神的な中心地であるとみられている場所。鉄器時代の要塞跡が残されており、王座の中心部にあるのがこの立石。6世紀ぐらいまではこの石の上で上王の戴冠式が行われていたと伝えられています。

 

黒っぽいペンキで大きく FAKE と書かれていますね。事件が発生したのは2/6の夜から2/7の朝方にかけてとみられています。ナヴァンの警察が捜査を進めていますが犯人は見つかっていません。

 

ミース県議会のニック・キリアン議員は「この神聖なる場所の冒涜は許しがたい」とおっしゃっています。「観光地としても影響が出てくる。誰がやったかしらないが、恥を知りなさい」。

 

この立石がこうした被害にあったのは初めてではありません。2012年には誰かがハンマーのようなもので石を打ち、かけらがいくつか散らばったそうです。2014年にもペンキをかけられるという被害を受けています。歴史遺産省によれば、監視体制を強化することを考えないといけないが、四六時中監視することは不可能だそうです。

 

ふだんの立石

 

www.irishtimes.com

 

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ジョー・ウォルシュ・ツアー

 

 

ダブリンにお住まいの方はジョー・ウォルシュ・ツアー(JWT)という旅行会社の名前を一度は聞いたことがあるかと思います。この会社はダブリンのハーコート・ストリートに本社を置く、カトリックの巡礼地へのツアーを専門とする会社です。巡礼地というのは、フランスのルルドとかポルトガルのファティマとかですね。マリア様が出現したとされている場所です。あと、ボスニアのメジュゴリェという場所にもマリア様が表れたとされ、JWTも巡礼ツアーを催行していますが、こちらはカトリック教会に正式には認められていない巡礼地だそうです。

 

最近また私はオンラインの売ります・買いますサイトでバッジをいくつか買ったのですが、たまたまジョー・ウォルシュ・ツアーのバッジを違う人から4つ買うことができました。

 

まず、こちらは1957年と1958年のルルド巡礼ツアーのバッジ。ツアー参加者に一個づつ配って、ツアーの間はつけてもらったりしてたのでしょうか。

 



ルルドにマリア様が現れたのは1858年ですから、1958年はちょうど100周年ですね。

 

それから、下の2つは別の人から買いました。

 



 

正確な年代はわかりませんが、上の2つよりも新しいもののようですが、作りはしっかりとしています。

 

ルルドは今や巡礼地としては最も有名なものとなり、ホテルの客室数ではパリに次いでフランスでは第二位だそうです。

 

最近買ったバッジで気に入ったものを2つだけあげます。

 

 

左は 1976年12月12日にロンドン・シャフツベリー劇場で行われたThe Bothy Bandのコンサートのバッジ。The Bothy Bandは1970年代に活躍したアイリッシュ・トラッドのバンドです。左はビューリーズのラヴ・ダブリン・バッジ。

 

 

 

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アカデミー賞ノミネーション: アイルランド映画の当たり年

 

今年のアカデミー賞のノミネーションが発表されましたが、アイルランド映画は合わせて14という記録的な数のノミネートを獲得しました。

 

マーティン・マクドナー監督・脚本の『イニシェリン島の精霊』は9つのノミネートを受けました。監督賞、脚本賞、作品賞、編集賞、作曲賞に加え、コリン・ファレルが主演男優賞、ブレンダン・グリーソンバリー・コーガン助演男優賞、ケリー・コンドンが助演男優賞にノミネート。

 

あらすじ:

1923年、アイルランドの小さい平和な孤島・イニシェリン島に暮らすパードリックはある日、親友のコルムから突然絶縁を告げられる。長年友情を育んできたはずだった彼が何故突然そんなことを言い出したのか理解出来ないパードリックは、賢明な妹シボーンや風変わりな隣人ドミニクの力を借りて事態を好転させようとするが、コルムから「これ以上自分に関わると自分の指を切り落とす」と恐ろしい宣言をされてしまう。

 

9つのノミネートというのはアイルランド映画としては新記録。これまでの記録は『父の祈りを』と『ベルファスト』の7つでした。

 

アイルランド語映画の『An Cailín Ciúin』が外国語映画賞にノミネート。タイトルの意味は「物静かな女の子」です。アイルランド語の映画が外国語映画賞にノミネートされるのは初めてです。母親の妊娠中に親戚の家に預けられる少女。その家の秘密がしだいに明らかになっていきます。

 

www.youtube.com

 

また、『Aftersun』に出演したポール・メスカルも主演男優賞にノミネート。これはサプライズの選出ですね。トム・クルーズと最後の枠を争ったと言われています。ポール・メスカルは2年ほど前に『Normal People』というテレビ・ドラマで有名になりました。『Aftersun』はスコットランド出身のシャーロット・ウェルズの長編監督デビュー作。11歳の娘と共にトルコにバカンスにでかける若い父親を演じています。

 

『Aftersun』のポール・メスカル

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』で視覚効果賞にノミネートされたリチャード・ベーナムはダブリンのタラ出身、『エルヴィス』で編集賞にノミネートされたジョナサン・レドモンドはダブリンのサンディコーヴ育ちです。

 

短編映画賞にノミネートされた『An Irish Goodbye』は北アイルランドの映画。母親の死後、2人の兄弟が彼女のバケット・リストをかなえるために遺灰をもってさまよう話だそうです。

 

『An Irish Goodbye』

さて、期待されながらもノミネートに漏れた作品もあります。それはキルケニーにあるカートゥーンサルーンというスタジオが制作した『My Father’s Dragon』(邦題: エルマーのぼうけん)というアニメ。同スタジオが過去に制作した4作品はすべてノミネートされたのですが、今回は残念ながらかないませんでした。

 

今回ノミネートされた俳優陣の賞レースという点でいいますと、受賞のチャンスがいちばん大きいのはコリン・ファレル。『ザ・ホエール』のブレンダン・フレイザーと『エルヴィス』のアンソニー・バトラーとの闘いになる模様。

 

助演男優賞は、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のキー・ホイ・クァンが鉄板とみられているので、グリーソンとコーガンは苦しい。助演女優賞は激しい戦いとなっていますが、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』のアンジェラ・バセットが有力視されています。

 

作品賞は、『イニシェリン島の精霊』、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』、『フェイブルマンズ』の三つ巴の争いとなっています。

 

授賞式は2023年3月12日夜 (現地時間) に行われます。

 

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イギリス人が発音を迷う単語トップ10にアイルランド人女性の名前4つがランクイン

Slotbox という会社が Google 検索に基づいて、イギリス人が発音に迷う単語ベスト10を発表したのですが、そのうち4つがアイルランド人の女性の名前でしたというお話。

 

evoke.ie

 

堂々の1位に輝いたのは Aoife。読み方はイーファですかね。意味は Beauty (美)。有名人としてはイーファ・ウォルシュというファッション・モデルがいます。

 

第2位は Saoirse。読み方はサーシャ。意味は「自由」。有名人には女優のシアーシャ・ローナンがいます(ローナンの場合、日本ではシアーシャという表記で定着しているようです)。

 

続いて、Niamh (ニーヴ)とSiobhan (シヴォーン)がそれぞれ6位と7位に入りました。

 

もちろん、読み方のわかりにくいアイルランドの名前というのは他にもあるのですが、有名人がいる、または単純にその名前の人が多いという理由で上記4つがランクインしたのだと思います。

 

男性名が入っていないのが不思議ですが、たしかに男性名の方がアイルランド語由来の名前の人は少ないようにも思います。

 

 

ベスト10に入った他の単語を見てみますと、3位がコロナ関連で Omicron。これは「オマイクロン」でも「オミクロン」でもどちらでもいいようです。4位のウクライナの首都 Kyivは「キーヴ」と発音するようです。日本では「キーウ」でしたっけ。5位はAcai。ブルーベリーに似たブラジル産の果物です。ポルトガル語ではaçaíとつづります。読み方は「アサイー」。「イー」にアクセントがあります。

 

8位はGyros。ここではギリシャの串料理のこと。「イーロス」と発音します。ジャイロスコープの略のGyroは「ジャイロ」です。9位はベトナム人の姓のNguyen。イギリスでは「ンウィン」と読むんだって。10位はなんと、Schedule。イギリス人もスケジュールと読むかセジュールと読むかで迷うんですね。

 

アイルランド人の名前については、以前まとめたことがあるので、よろしければご参照ください。

 

tarafuku10.hatenablog.com

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Argos がアイルランドから撤退

アーゴス (Argos) がアイルランドから撤退するそうです。Argos はイギリスの会社ですが、1990年代の半ばにアイルランドに進出してきました。ダブリンのジャービス・ショッピング・センターに店を出したんですね。

 

Argos の特徴は店舗内でのカタログ・ショッピングということです。ショッピング・センターの中とかに店舗を構えてはいるのですが、商品はほとんど陳列されていないのです。カタログで買いたい商品を選び、カウンターみたいなところで注文すると (最近いったことがないのでわかりませんが、タブレットみたいなので注文するようになっているのかもしれません)、バックヤードからベルトコンベアに乗って商品が運ばれてくるという仕組みです。

 

私も何回か Argos で買い物をしたことがあります。本棚とかを買った記憶があります。最後に利用したのはたぶん20年も前になると思います。

 

アイルランドにいわゆるフラットパックを持ちこんだのは Argos だったそうです。家具をフラットな板状にパッキングして販売しているのでフラットパックというのですね。消費者はそれを家に持ち帰って自分で組み立てます。今は Ikeaの専売特許みたいになってますが。

 

アイルランドには現在34の店舗があるのですが、5月から6月にかけて全店舗が営業を終了します。580人が職を失うことになります。

 

Argos の売り上げが落ちた原因は、Ikea とインターネットです。ダブリンに Ikea ができたのは2009年。Ikeaの方がネームバリューもあるし、商品を見て触ることもできますし、また店から駐車場までトロリーで運ぶこともできます。Argosはトロリーがないので自力で運ぶしかないのですよ。

 

また、商品を見て触ることができないなら、自分で持って帰らないといけない Argos で買うよりも、自宅まで配達してくれるオンライン・ショッピングの方が便利なわけです。

 

本国イギリスの方では親会社であるセンズベリーズというスーパーマーケットの存在が、Argos の業績にいい影響を与えているようです。イギリスでは1000か所を超える場所で Argos の商品を買えるそうなんですが、そのうち422の実店舗がセンズベリーズの店舗内にあり、センズベリーズの他の400店舗でもクリック・アンド・コレクトで注文した商品を受け取ることができます。

 

去年の暮れに公開された会計報告では、売り上げは20%落ち込み、税引き前の赤字は4倍に膨らんだそうです。アイルランドにはセンズベリーズはないので、アイルランドの事業回復に投資するよりも、ほかのところに投資した方がいいと判断されたようです。北アイルランドの店舗は今回の決定に影響は受けません。

 

 

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アップマーケットな韓国料理店

 

ダブリンにも何軒か韓国料理店があります。パーネル・ストリートにある Kimchi はもう老舗の部類に入るでしょうか。それから、Luas のジャービス駅の近くにあるハンサン。ここは昔ハンヤンという名前だったので私は今でもハンヤンと呼んでしまいます。

 

最近、私がよく行っているのはハンヤンの近くにあるポッチャという店。ここはファストフードの店のように気軽に入れる店。二階に座席もあって、私はいつもポーク・キムチ弁当を食べます。

 

あとは、ケーペル・ストリートのアリス。ここもときどき行きます。

 

これらのお店に共通するのはどれも庶民的なお店ということではないでしょうか。街中華という言葉がありますけど、街韓国料理という趣です。

 

ところが最近、私の住んでいる近くにアップマーケットな韓国料理屋ができたのですよ。その名も Korean Table。マナー・ストリート(Manor Street)とオークリム・ストリート (Aughrim Street) の交わるところにあります。

 



 

こじんまりとした隠れ家のようなたたずまいですね。中は細長いつくりになっていて、20人も入ればいっぱいになるぐらいの広さではないでしょうか。

 

私はビーフ・ビビンバを頼みました。それがこちら。

 

 

ビビンバが白いお皿に入ってくるのは珍しいと思います。それから、目玉焼きの代わりに刻み卵が入っています。19.50ユーロ。お惣菜はお値段に含まれています。

 

味も上品でおいしいです。牛肉がとてもテンダーなんですよ。ビビンバの肉でこんなに柔らかいのは初めてでした。お惣菜も食べるとおなかはいっぱいになります。

 

BGMにはヒップホップとジャズを融合したようなメロウな曲がかかっていました。店員さんもモヘアのセーターを着た品のいいマダムのような方でした。たぶん韓国の方と思います。

 

落ち着いた雰囲気で韓国料理を楽しみたい方、ぜひ行ってみてはいかがでしょうか。予約を受けないタイプのレストランですのでご注意を。月曜日休業。

 

Korean Table | County Dublin

 

 

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