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アカデミー賞ノミネーション: アイルランド映画の当たり年

 

今年のアカデミー賞のノミネーションが発表されましたが、アイルランド映画は合わせて14という記録的な数のノミネートを獲得しました。

 

マーティン・マクドナー監督・脚本の『イニシェリン島の精霊』は9つのノミネートを受けました。監督賞、脚本賞、作品賞、編集賞、作曲賞に加え、コリン・ファレルが主演男優賞、ブレンダン・グリーソンバリー・コーガン助演男優賞、ケリー・コンドンが助演男優賞にノミネート。

 

あらすじ:

1923年、アイルランドの小さい平和な孤島・イニシェリン島に暮らすパードリックはある日、親友のコルムから突然絶縁を告げられる。長年友情を育んできたはずだった彼が何故突然そんなことを言い出したのか理解出来ないパードリックは、賢明な妹シボーンや風変わりな隣人ドミニクの力を借りて事態を好転させようとするが、コルムから「これ以上自分に関わると自分の指を切り落とす」と恐ろしい宣言をされてしまう。

 

9つのノミネートというのはアイルランド映画としては新記録。これまでの記録は『父の祈りを』と『ベルファスト』の7つでした。

 

アイルランド語映画の『An Cailín Ciúin』が外国語映画賞にノミネート。タイトルの意味は「物静かな女の子」です。アイルランド語の映画が外国語映画賞にノミネートされるのは初めてです。母親の妊娠中に親戚の家に預けられる少女。その家の秘密がしだいに明らかになっていきます。

 

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また、『Aftersun』に出演したポール・メスカルも主演男優賞にノミネート。これはサプライズの選出ですね。トム・クルーズと最後の枠を争ったと言われています。ポール・メスカルは2年ほど前に『Normal People』というテレビ・ドラマで有名になりました。『Aftersun』はスコットランド出身のシャーロット・ウェルズの長編監督デビュー作。11歳の娘と共にトルコにバカンスにでかける若い父親を演じています。

 

『Aftersun』のポール・メスカル

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』で視覚効果賞にノミネートされたリチャード・ベーナムはダブリンのタラ出身、『エルヴィス』で編集賞にノミネートされたジョナサン・レドモンドはダブリンのサンディコーヴ育ちです。

 

短編映画賞にノミネートされた『An Irish Goodbye』は北アイルランドの映画。母親の死後、2人の兄弟が彼女のバケット・リストをかなえるために遺灰をもってさまよう話だそうです。

 

『An Irish Goodbye』

さて、期待されながらもノミネートに漏れた作品もあります。それはキルケニーにあるカートゥーンサルーンというスタジオが制作した『My Father’s Dragon』(邦題: エルマーのぼうけん)というアニメ。同スタジオが過去に制作した4作品はすべてノミネートされたのですが、今回は残念ながらかないませんでした。

 

今回ノミネートされた俳優陣の賞レースという点でいいますと、受賞のチャンスがいちばん大きいのはコリン・ファレル。『ザ・ホエール』のブレンダン・フレイザーと『エルヴィス』のアンソニー・バトラーとの闘いになる模様。

 

助演男優賞は、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』のキー・ホイ・クァンが鉄板とみられているので、グリーソンとコーガンは苦しい。助演女優賞は激しい戦いとなっていますが、『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』のアンジェラ・バセットが有力視されています。

 

作品賞は、『イニシェリン島の精霊』、『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』、『フェイブルマンズ』の三つ巴の争いとなっています。

 

授賞式は2023年3月12日夜 (現地時間) に行われます。

 

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