アイルランドの国民的スナックとも言える Tayto (テイトー) のポテトチップスですが、北アイルランドとアイルランド共和国では、それぞれまったく関係のない会社が Tayto ブランドのポテチを販売していることはご存じの方も多いと思います。
イギリスのボリス・ジョンソン首相は、来月の総選挙のキャンペーンのために英国内をツアーして回っているのですが、先日(11/7)、北アイルランドの Tayto Castle に立ち寄りました。北のTayto の工場は、タンドラギ― (Tandragee) という小さな町にある昔のお城の中にあるのです。ま、メディア向けの写真を撮影するのにいい場所だと考えたのでしょう。
アイリッシュ・タイムズ紙にもこれに関する記事が出ていました。
この記事の中に、北と南の Tayto の話がいろいろ書かれていたのが面白かったです。
まず、北の人は、南の Tayto のことを Free Staytos というそうです。アイルランド共和国は、昔はアイルランド自由国 (Irish Free State) と言っていたからなんですね(1922-1937)。
南では、1954年にジョゼフ・マーフィーという起業家が、ダブリンのムーア・ストリートの近くにTaytoの会社を作りました。それまでは、ポテチはだいたいイギリスから輸入されていたそうです。
北では、タンドラギー・キャッスルを購入したトーマス・ハッチンソンというビジネスマンもポテトチップスに目を付け、南のTaytoと話をつけて、北アイルランドで同じ名前でポテチを販売することになりました。
北と南のTaytoのどちらがおいしいかは、もちろん個人の好みになります。オアシスのボーカリスト、リアム・ギャラガーは南派、俳優のリーアム・ニーソン、ゴルファーのローリー・マキロイ、ロックバンドのスノウパトロール、そして彼の言葉が信じられるならばボリス・ジョンソンは北派です。
北では、マーク・フェリスというビジネスマンが、南のTaytoを北のパブやレストランに卸すというビジネスをやっていたのですが、北のTaytoに訴えられ、北に住む南Taytoファンに惜しまれながらも、現在は北のTaytoしか卸すことができなくなったそうです。
私は工場見学が好きなのですが、北のTaytoも南のTaytoも見学に行ったことがあります。
北のTaytoは稼働している工場を見て回るすることができるので、工場見学では北のTaytoが圧勝だと私は思います。