キルベガン (Kilbeggan) は、ダブリンから西に車を 1 時間ほど走らせたところにあります。小さな町ですが競馬場とウィスキーの蒸留所があります。
ここの蒸留所の凄いところはですね、実際に現役でウィスキーを作っているだけでなく、昔の古い蒸留設備が動く状態で残っていて、見学者はそれを見て回れることです。
この薄暗い昔の蒸留施設に迷い込むと、床下を流れる水の音が聞こえ (動力である水車を回すのに必要ですから)、歯車がトクトクという控えめな音を立てて動いています。
中の様子を写真でご紹介します。半年以上前に行ったので、どれが何の写真なのか、説明できなくてすみません。
発酵装置↓
これはコラムスティル (連続式蒸留器)↓
これはポットスティル (単式蒸留器)↓
この蒸留所ができたのは 1757 年。オーナーも変遷したのでいろいろなウィスキーがここで作られましたが、最も有名なのはおそらく Locke’s です。このウィスキーはアメリカに輸出されてかなり有名だったらしいのですが、1920 年代の禁酒法制定で大打撃を受け、蒸留所は1950 年代に操業を停止しました。
その後、蒸留所は放置されていたのですが、80 年代に入って地元の有志たちが建物や蒸留装置をリストアしてミュージアムとしてオープンしました。
2007 年になってアイルランドの独立系ウィスキー メーカーであるクーリー蒸留所がここを買収し、再びウィスキーの製造がはじまりました。
こちらが実際に稼働している装置の写真。
キルベガン蒸留所とクーリー蒸留所は 2012 年にジム・ビームで有名なビーム社に買収され、そのビーム社は 2014 年にサントリーに買収されました。だから、この蒸留所とその製品は、いまはサントリーが所有権を持っています。
古い蒸留施設の中を見て回るのは、ちょっと他ではできない体験だと思います。見学料は試飲付きで 14 ユーロです。
(一番上の写真と一番下の写真 by Whisky Lover)