3月25日。宮崎から大分へ。特急にちりんで3時間かかります。大分にはおもしろそうな個人経営の書店がいくつかあるので本屋さんめぐりをしようと思っていたんですよ。ところが残念ながらこの日は月曜日で軒並み定休日でした。
休みとは知らずに、まず駅から歩いて5分くらいのところにあるカモシカ書店というところに行ってみます。こちらの店主は岩尾さんという方で、おそらくご実家の岩尾洋装店の2階で喫茶兼書店を営んでいらっしゃいます。
一階の洋装店の片隅にちょっと古本が置いてあったので、せっかくなので山下洋輔『ピアニストに手を出すな』と西口克己『廓』を買いました。計250円。
近くの壱丁目ラーメンというラーメン屋で腹ごしらえ。
続いて Bareishoten という書店の店の前まで行きましたがこちらも休み。
では、ということで、別府に行くことにします。大分から別府は電車で約10分です。最近オープンしたばかりのまわれ虎という古本屋に行きましたがこちらもお休み。駅前に天一書房という小さな新刊書店さんがあったのですが、これは横浜の天一書房とは特に関係はないんでしょうね。
そしていよいよ本日のメインイベント、書肆ゲンシシャを訪れます。こちらは古本も売っているので「別府の古本屋」で検索すると出てくるのですが、単なる古本屋さんというわけではありません。さまざまな本が用意されていて、客が選んだテーマにそってオーナーさんが本をキュレーションして見せてくれます。またオーナーさんが収集した世界中の骨とう品も鑑賞することができます。オーナーさんは近世にヨーロッパで流行った様々な珍品を集めた博物陳列室「驚異の部屋 (Wunderkammer/Cabinet of Curiosities)」を目指しておられるようです。
料金は時間制で1時間1000円(ソフトドリンク付き)。テーマは死後写真、見世物、戦争、詞体、医学、遊郭、幻想、犯罪、美術、奇習など32件。1時間で2つ選ぶことができます。私は戦争と遊郭を選びました。本は基本的に写真集となります。特に戦争の方は見たことのない写真がいっぱいありました。
たまたま同席していた若い女性のお客さんの1時間が終わり、時間延長して骨とう品鑑賞をすることにしたので、私も延長して参加させてもらいます。死後写真や「隠れた母親」写真、からくり時計、人皮で装丁された本、拷問器具「苦悩の梨」、ヒロポンの空き瓶、戦時中に兵士に配布された「突撃一番」の未使用品など、妖しいアイテムがそろっています。これらはほんの一部です。
死後写真というのは、死んだ人に生きているかのように服を着せて撮影した記念写真です。昔は生前に写真を撮ったことがない人も多かったわけで、家族が思い出のために撮影してもらったようです。「隠れた母親」写真というのは、赤ちゃん一人で写真を撮ろうとしても赤ちゃんが動いてしまうので、母親がカーテンなどの裏に隠れて赤ちゃんを押さえていたわけです。昔の撮影はしばらくじっとしていないといけないですから。
ゲンシシャさんの展示はぞわっとさせられるものが多いですが、女性のお客さんも多いようです。私がいる間も何人かお客さんの出入りがありましたが、全員女性でした。一緒に骨とう品を見せてもらった若い女性は沖縄からゲンシシャを訪れるために別府に来たそうで、翌日もまた来ると言っていました。
ゲンシシャを後にして次は別府ビーコン・プラザに向かいます。ここはコンベンションセンターなんですが、グローバルタワーという高さ100メートルの展望台があります。霧がでていて見晴らしが悪そうだったのでどうしようかと思いましたが、300円だったので登ってみることにしました。天気が良ければ四国まで望めるそうですが、霧でほんとに何も見えませんでした。
大分駅に戻って厨房「大」というところでヒレカツ定食。宿は大分リーガルホテル。