たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

アイルランドの電力事情 (2/2)

 

アイルランドの発電は火力が主です。天然ガスが多いんだけど、石炭燃やしてるところもひとつだけあって、ここはかなりでかい (クレア県マネーポイント発電所)。おもしろいのは、泥炭を燃やしてるところも 3 つあります。規模は小さいですけど。火力発電の総容量は 6128.1 MW です。

 

水力発電が 500 MW ぐらい。再生可能エネルギーが風力発電の 1167 MW 含めて 1200 MW ちょいあります。風力発電、けっこうありますねー。

 

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(ウィックロー県のターロックヒル揚水発電所)

 

原子力発電所はありません。電力を輸入しているかどうかは調べたかぎりではわかりませんでした。

 

原子力発電のことでいうと、アイルランドで話題になるのはイギリスのセラフィールドの施設です。調べてみて初めてわかったんですけど、セラフィールドはもう発電をやめていて、核燃料再処理施設になってるんですね。発電をやめたのは 2003 年で、施設の老朽化、電力自由化により採算がとれなくなったことが理由だそうです。日本の燃料も一部、ここで再処理されてるようです。

 

セラフィールドはアイリッシュ海に面していて、アイルランドの対面にあります。それで、真向かいのラウス県あたりでは放射能の影響に対する不安が渦巻いています。

 

2004 年にラウス県の開業医さんが電話によるアンケート調査を行ったところ、97% の人がセルフィールドはラウス県の人の健康にとって危険な存在であると感じており、98 % の人がラウス県でガンの発生率が上がっていると感じています。

 

もちろんこれは、科学的な調査ではなくて、人々がどう感じているかというアンケートなんですけど、調査したお医者さんによれば「地元の人の意見が科学的な意見に裏付けられることはよくあるし、それが正しいこともよくある」だそうだ。

 

ラウス県出身の有名人にはコアーズ (っていうバンド) やサッカーの元代表選手のガリー・ケリーがいるんだけど、コアーズのジム・コアーはセラフィールド施設の反対運動なんかもやっていたし、ガリー・ケリーはお姉さんが若くして乳がんで死んでいる。

 

アイルランド政府はイギリス政府に対してセラフィールドの施設を閉鎖するように公式に要請しています。


2000 年代の初めの頃だったと思うんだけど、ダブリンの全家庭にヨウ素剤 (ヨウ化カリウム) が配られたことがありました。とっくの昔に捨てたと思ったんだけど、引き出しの奥を探したら出てきました。

 

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「核の事故があったときのみ服用してください」と書いてあります。もちろん、セラフィールドの事故を念頭に置いたものなんだけど、これを郵便受けに見つけたときにはちょっとびっくりしました。核の事故を身近に感じたことがなかったので。

 

核の事故があったらこんな錠剤を飲んでもしょうがないんじゃないかとそのときは思ってたんですが、核の事故って爆発だけじゃなくて、福島のように放射能が漏れるっていうことなんですね。今になってわかりました。