たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

道端に黙って立っている人

街に出る用事があったので、グラフトン・ストリート (Grafton Street) でバスカー (ストリート・ミュージシャン) や大道芸人の写真を撮ってきました。この通りはダブリンで一番の繁華街で、歩行者天国です。ダブリンでは、街の中心を流れるリフィー川の南側にあるここと、北側にあるヘンリー・ストリート (Henry Street) がストリートを舞台とするミュージシャンやアーチストのメッカです。

 

平日の昼間というのにかなりの人出だったんですが、演奏したり、芸を披露したりしている人がグラフトン界隈だけでも8組ほどもいました。今日はその中で、マイム・アーチストの人たちをご紹介したいと思います。道端で、ほとんど動きのないパントマイムを演じている人たちです。

 

まずはこの人。
イメージ 1

 

この人はどうみても素人です。まず、立ってる姿勢が舞台に立つ人のそれではありません。衣装もありあわせのようだし、表情も作れていないし、立っている台もそこら辺の園芸用品店から拝借してきたみたいに見えます。ただ、この人は素人なりの素朴さ、人の良さがそこはかとなくにじみ出ていて、憎めないキャラではあります。写真を撮らせてもらって、お金を入れると、訛りのある英語でサンキューと言われました。マイム・アーチストはやっぱり声を出したらいかんのではないかと思ったのですが、まあこの人なら許せます。

 

ところが、この後、グラフトン・ストリートで一人、ヘンリー・ストリートで一人、同じような素人のマイム・アーチストを目撃しました。色こそ違いますが安上がりの一色の衣装を着て、使ってる台はまったく同じもの、手にチュッパチャップスを持っているところも同じです。どうもなんだか、どこかの移民コミュニティーが物乞いに代わるシノギとして組織的にやってるんじゃないかという気がします。

 

次はこの方です。
イメージ 2

 

ストリートのマイム・アーチストって、だいたい動きを止めて銅像のように見せるのが主流なんですが、この人は急ぎ足のビジネスマンをストップモーションで表現しています。ネクタイが舞い上がってますけど、これは風でそうなっているのではなくて、細工して固定されています。このタイプ (ストップモーション) のアーチストを見たのは初めてだったので、新鮮で面白かったのですが、ただ銅像パフォーマンスに比べると非日常性に乏しいので、正直のところそれほどのインパクトはありませんでした。

 

最後はこの方です。
イメージ 3

 

この方はどう見てもプロです。何を使っているのか分かりませんが、メイクや衣装に本当の銅像のような質感が表現されています。彼の右手に鳩が止まっているのがわかります? これは本物の鳩です。鳩まで本物の銅像と間違えて止まりに来てしまうんですねー。

 

などと思いながらしばらく見てたのですが、これには仕込みがあるのがわかりました。実はポケットの中にパン屑が隠してあります。彼はときどきそれを取り出して手の中に隠し持っています。そうすると鳩がついばみにくるんです。彼がポケットから手を出すときにパン屑が少しこぼれ落ちたので仕掛けがわかりました。でも、鳩は彼の手だけではなく、頭の上にも止まったりするので、見物人にはおいしいシャッターチャンスとなります。この人のまわりにはいつも人が群がっています。さすがにプロは侮れません。