たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

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グラフトン・ストリートのビューリーズ・カフェが閉店します

新型コロナウイルスの影響を受けて、グラフトン・ストリートのビューリーズ・カフェが閉店するというニュースが一昨日(5月6日)流れてきました。110人の職が失われるとのことです。

 

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ビューリーズ・カフェはアイルランドに住んでいる人なら誰もが知っているダブリンの象徴ともいえるカフェです。

 

ビューリーズは19世紀半ばに中国からお茶を輸入する会社として事業を開始 (Bewley’s Oriental Café と Oriental が名前に入っているのはその名残) しました。その後、コーヒー・ショップ・ビジネスにも進出し、グラフトン・ストリートにお店を開いたのが1927年のことでした。

 

カフェの昨年の売り上げは450万ユーロですが、赤字が150万ユーロ。ちょうど年間の家賃とほぼ同額でした。

 

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ビューリーズとしては、ロックダウンで収入が途絶えているだけでなく、解除後もソーシャル・ディスタンシングに対応するために客足は40~80%落ちるだろうと見込んで、店を畳むことにしたようです。外国からの観光客のお客さんも多かったのですが、そちらの方もしばらくは期待できませんもんね。

 

ビューリーズ自体は消費者および業者向けにコーヒー豆やお茶の販売もしており、事業としてはこちらの売り上げの方が大きいようです。しかし、ロックダウンの影響で飲食店向けの販売にも不透明感が増しているので、そちらからカフェの損失をカバーするのもリスクが大きいと考えたようです。

 

このカフェが入っている建物のオーナーは、ローナン・グループという会社で、ジョニー・ローナンというアイルランドの不動産王が社長です。不動産王と言ってもリーマンショックで痛い目に遭って、政府の助けなども借りて、やっとこさ持ち直してきた人なんですね。この建物についてもオーナーとはいえ、ローンを払っている状態です。したがって、おいそれと「家賃下げますわ」と安請け合いもできないようです。

 

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間の悪いことに、今週に入ってローナンさんが2月にお友達と撮影した動画がコロナで亡くなった方や医療従事者を馬鹿にしているように見えるとSNSで取りざたされ、ローナンさんは謝罪していました。2月と言えば、まだヨーロッパではほとんど誰もコロナのことを深刻にとらえてなかった時期ですけどね。

 

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ダブリンのアイコンともいえるような名物カフェに法外な家賃を請求して潰してしまった悪徳不動産屋みたいに思われるし、ローナンさん、今週は踏んだり蹴ったりです。ほんとうに悪徳かどうかは私は知りません。

 

私がアイルランドに来た90年代前半には、ダブリンのシティ・センターには3つビューリーズ・カフェがありました。グラフトンのほかに、ウェスト・モーランド・ストリートとサウス・ジョージ・ストリートにあったのです。どれも歴史を感じさせる内装でした。ウェイトレスさんはみんなメイドの恰好をしていたんですよね。サウス・ジョージ・ストリートの建物は今は日本料理店のヤマモリ・イザカヤになっていると思います。

 

当時は確か今みたいにカフェがあまりなくて、何かあるとビューリーズに行っていましたね。たとえば、ランゲージ・エクスチェンジをやるときとかですね。

 

今世紀に入って、リーマンショックや何やらで、2回ほど長期休業したビューリーズ・カフェ。今回はどうなるでしょうか。このまま閉店となってしまうのか。ダブリン市長のトム・ブラバゾンさんも、カフェを救うために応援すると宣言しています。

 

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あと、何を考えていたのかわかりませんが、「ここでビューリーズ・コーヒー飲めます」という木製のサインを勢いで落札したことがあります。ハンマー・プライスは20ユーロだったと記憶しています。

 

 

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