1916年に起きたイースター蜂起は、アイルランド独立の契機となった事件です。このときに配布された独立宣言 (Proclamation といいます) は、アイルランドにとって最も重要な文書であるといってもいいのではないでしょうか。
このたび、この独立宣言を祝福するウイスキーが新しく発売されることになりました。その名も「プロクラメーション 」。アイリッシュ・タイムズ紙に記事が掲載されていたので、翻訳してみました。
(翻訳ここから)
1916年のアイルランド独立宣言を記念する新しいアイリッシュ・ウイスキー
文: チャーリー・テーラー (Charlie Taylor)
2020年7月26日
グレース・オマリー・アイリッシュ・ウイスキーを製造する企業が、1916年の独立宣言(プロクラメーション) を記念するウイスキーを新しくリリースする。
メイヨー県に本社を置くイニシュ・タイン・イシュカ・テオランタ (Inis Tine Uisce Teoranta) 社は、リア・チョコレート (Lir Chocolates) 社のマネージング・ディレクターを務めていたスティーブン・コープ氏が率いる企業である。コープ氏によれば、同社が発売したプロクラメーションという名のアイリッシュ・ブレンド・ウイスキーは、既にアイルランド国内のバーや専門店で購入が可能である。
1 年と少し前、同社はグレース・オマリー・ブランドをリリースしている。16 世紀に活躍したアイルランド生まれの海賊の女王の名を冠したこのブランドのもと、同社はさまざまなウイスキーとジンを販売している。グレース・オマリーと同様に、プロクラメーションにも、ジョン・ティーリングが所有するグレート・ノーザン蒸留所の原酒が使用される。ウイスキーの熟成と仕上げをまかされているのは、フランス企業のオルターオーク (Alter Oak) でセラー・マスターおよびブレンダーを務めるポール・カリ氏である。
コープ氏は、新しいウイスキーを展開するにあたって、理想的なタイミングではないことを認める。旅行制限によってデューティー・フリーの売り上げが大幅に減少しており、国内外のパブも営業を停止しているか、制限付きで営業を再開しているからだ。
「『世界は止まらない』というのが私たちの考え方だ。従来の取引先は困難に直面している。しかし、私たちの事業を止めるわけにはいかない。なぜなら、それ以外に方法はないからだ」
「オントレード (パブやレストランでの売り上げ) は低調かもしれないが、世界中でオフトレード (酒屋等の小売りの店頭における販売) のビジネスチャンスが生まれている。したがって、私たちはそこに力を注いでいる。また、オントレードも近いうちに回復すると考えている」
同社は、スーパーバリュ (スーパーの全国チェーン) を通して、グレース・オマリーをアイルランド全土で販売しており、プロクラメーションもまもなく店頭に並べられることを期待している。また、直近の将来においては、オンラインでの販売に重点的に取り組む意向である。
バーボン・カスク
コープ氏によれば、最初に発売されるプロクラメーション・ウイスキーは、アメリカン・オークの新樽とバーボン・カスクで熟成された、手ごろな価格帯の製品となる。円熟味とトースト感のある余韻が楽しめるように、シェリー樽で仕上げたモルト・ウイスキーがわずかに加えられている。
今回の製品の開発にあたって、イニシュ・タイン・イシュカ・テオランタ社は歴史家のミホール・オデブリン (Mícheál Ó Doibhilín) 氏の協力を仰いだ。独立宣言を印刷したウイリアム・オブライエン、マイケル・モロイ、クリストファー・ジョゼフ・ブレーディーの3人は、活字が足りなかったために同じ紙に2回にわけて印刷しなければならなかった。また、「E」の文字を他のフォントから借りてこなければならなかった。
同社では、デジタル形式でも使用できるように、オリジナルのフォントの一部をもう一度作成する必要があったという。
アイルランド人のマーケティング専門家であるジェフ・バーンと、ベルリン在住の起業家であるステファン・ハンセンおよびヘンドリック・メレもこの事業に出資している。ドイツの 2 人は、彼らが所有するプライベート・ピア・インダストリーズ社を介して過半数の株式を取得している。この会社は、ドイツの3000の店舗で販売されている、アイルランドのペット・フード・ブランドに出資している。
コープ氏は、ロックダウンが始まるまで、グレース・オマリーの売り上げは好調であり、スーパーバリュに加え、90の独立系小売店でも販売されていた、と語っている。
(翻訳ここまで)