たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

アイルランドの野生のサクランボを使ったチェリー・リキュールの作り方

野生のサクランボの味わい方について、アイリッシュタイムズ紙に記事が掲載されていました。ウイスキーを使ってチェリー・リキュールを作る方法についても触れられていたので、訳してみました。

 

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(翻訳ここから)

 

アイルランドの短いサクランボの季節を最大限楽しむ

文: JP マクマホン

2020年8月2日

 

アイルランドのサクランボの季節は短い。もちろん、冬になっても、輸入したサクランボは店頭に並んでいるだろう。しかし、私は旬の短さを慈しむのが好きだ。この島の食べ物が移ろいやすいことを教えてくれるからだ。

 

アイルランドの野生のサクランボ (アイルランド語で シーリーン: silín) は、最近では見つけるのが難しくなった。しかし、少なくとも青銅器時代から、この島の住人はこの果実を食糧としてきた。オファリー県で地面を掘った際、1000 年前のサクランボの種が見つかっている。

 

この野生のサクランボは非常に酸っぱいため、そのまま食べるのは困難かもしれない。現代人は甘い味付けを好むようになったのだ。サクランボを保存する場合、5% の塩水 (1 リットルの水に 50g の塩) で塩漬けにするのが私のお気に入りの方法だ。冷蔵庫や冷所で保管した方が、サクランボの形が崩れにくい。 

 

ペクチンが豊富に含まれるサクランボは、ジャムやゼリーにも最適である。食品を専門とする歴史家のレジナ・セクストン氏から、1666 年に書かれたサクランボ・マーマレードのレシピを見せてもらったことがある。これは、バー城 (注: アイルランド中央部の Birr という町にある城) のドロシー・パーソン (注: パーソン家はバー城に居住していた) のレシピ集に含まれていたものだ。

 

サクランボのマーマレードとチェリー・リキュールを作る方法:

 

マーマレードを作るには、種を取ったサクランボ 2kg に 450g の砂糖を加える。それを厚底鍋に入れ、とろとろ煮込む。設定した温度 (40 度) になったところで、殺菌した瓶または蓋付きのプラスティック容器に入れる。

 

チェリー・リキュールは、古くから伝わるアイルランドのお酒である。ウイスキーやブランデーなどのアルコール飲料をベースとし、これに野生のサクランボを加えて作る。チェリー・ウイスキーを作るには、サクランボ 500g (種は取らなくてよい)、ウイスキー 750 ml、ブラウン・シュガー 250g を使用する。これらの材料を混ぜた後、暗い場所で 3 か月から 6 か月間保存する。クリスマスの頃にはおいしくできあがっているはずだ。必ずしも砂糖を使う必要はなく、熟成した後で、シロップやコーディアル (一種の果汁飲料) を追加することで代用することもできる。

 

もちろん、アイルランドのサクランボを楽しむ最もシンプルな方法は、粉砂糖と柔らかくホイップされたクリームを添えて、そのまま頂くことである。

 

(翻訳ここまで)

1916年の独立宣言を記念する新しいウイスキーがリリースされました

1916年に起きたイースター蜂起は、アイルランド独立の契機となった事件です。このときに配布された独立宣言 (Proclamation といいます) は、アイルランドにとって最も重要な文書であるといってもいいのではないでしょうか。

 

このたび、この独立宣言を祝福するウイスキーが新しく発売されることになりました。その名も「プロクラメーション 」。アイリッシュ・タイムズ紙に記事が掲載されていたので、翻訳してみました。

 

(翻訳ここから) 

 

1916年のアイルランド独立宣言を記念する新しいアイリッシュウイスキー 

文: チャーリー・テーラー (Charlie Taylor)

2020年7月26日

 

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グレース・オマリー・アイリッシュウイスキーを製造する企業が、1916年の独立宣言(プロクラメーション) を記念するウイスキーを新しくリリースする。

 

メイヨー県に本社を置くイニシュ・タイン・イシュカ・テオランタ (Inis Tine Uisce Teoranta) 社は、リア・チョコレート (Lir Chocolates) 社のマネージング・ディレクターを務めていたスティーブン・コープ氏が率いる企業である。コープ氏によれば、同社が発売したプロクラメーションという名のアイリッシュブレンドウイスキーは、既にアイルランド国内のバーや専門店で購入が可能である。

 

1 年と少し前、同社はグレース・オマリー・ブランドをリリースしている。16 世紀に活躍したアイルランド生まれの海賊の女王の名を冠したこのブランドのもと、同社はさまざまなウイスキーとジンを販売している。グレース・オマリーと同様に、プロクラメーションにも、ジョン・ティーリングが所有するグレート・ノーザン蒸留所の原酒が使用される。ウイスキーの熟成と仕上げをまかされているのは、フランス企業のオルターオーク (Alter Oak) でセラー・マスターおよびブレンダーを務めるポール・カリ氏である。

 

コープ氏は、新しいウイスキーを展開するにあたって、理想的なタイミングではないことを認める。旅行制限によってデューティー・フリーの売り上げが大幅に減少しており、国内外のパブも営業を停止しているか、制限付きで営業を再開しているからだ。

 

「『世界は止まらない』というのが私たちの考え方だ。従来の取引先は困難に直面している。しかし、私たちの事業を止めるわけにはいかない。なぜなら、それ以外に方法はないからだ」

 

「オントレード (パブやレストランでの売り上げ) は低調かもしれないが、世界中でオフトレード (酒屋等の小売りの店頭における販売) のビジネスチャンスが生まれている。したがって、私たちはそこに力を注いでいる。また、オントレードも近いうちに回復すると考えている」

 

同社は、スーパーバリュ (スーパーの全国チェーン) を通して、グレース・オマリーをアイルランド全土で販売しており、プロクラメーションもまもなく店頭に並べられることを期待している。また、直近の将来においては、オンラインでの販売に重点的に取り組む意向である。

 

 

バーボン・カスク

コープ氏によれば、最初に発売されるプロクラメーション・ウイスキーは、アメリカン・オークの新樽とバーボン・カスクで熟成された、手ごろな価格帯の製品となる。円熟味とトースト感のある余韻が楽しめるように、シェリー樽で仕上げたモルトウイスキーがわずかに加えられている。

 

今回の製品の開発にあたって、イニシュ・タイン・イシュカ・テオランタ社は歴史家のミホール・オデブリン (Mícheál Ó Doibhilín) 氏の協力を仰いだ。独立宣言を印刷したウイリアム・オブライエン、マイケル・モロイ、クリストファー・ジョゼフ・ブレーディーの3人は、活字が足りなかったために同じ紙に2回にわけて印刷しなければならなかった。また、「E」の文字を他のフォントから借りてこなければならなかった。

 

同社では、デジタル形式でも使用できるように、オリジナルのフォントの一部をもう一度作成する必要があったという。

 

アイルランド人のマーケティング専門家であるジェフ・バーンと、ベルリン在住の起業家であるステファン・ハンセンおよびヘンドリック・メレもこの事業に出資している。ドイツの 2 人は、彼らが所有するプライベート・ピア・インダストリーズ社を介して過半数の株式を取得している。この会社は、ドイツの3000の店舗で販売されている、アイルランドのペット・フード・ブランドに出資している。

 

コープ氏は、ロックダウンが始まるまで、グレース・オマリーの売り上げは好調であり、スーパーバリュに加え、90の独立系小売店でも販売されていた、と語っている。

 

(翻訳ここまで)

100年前の珍しいアイリッシュ・ウイスキーがオークションに出品されます

今日のアイリッシュ・インデペンデント紙に、100年前の珍しいアイリッシュウイスキーのボトルがオークションに出品されるという短い記事が掲載されていたので訳してみました。

 

アイリッシュ・インデペンデント紙の記事はこちら↓。

www.independent.ie

 

 (翻訳ここから)

珍しいアイリッシュウイスキーがオンライン・オークションに出品される: 落札予想価格の上値は 12,000 ユーロ

文: デイビッド・ヤング (David Young)

2020年8月5日

 

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100年前の珍しいアイリッシュウイスキーのボトルがオークションに出品される。落札予想価格帯の上値は 12,000 ユーロに設定されている。

 

今月開催されるアイリッシュ・パブ関連グッズ/コレクター・アイテムのオークションの目玉となるこのウイスキーは、ジョージ・ロウ蒸留所で製造された 16 年物のシングル・モルトである。

 

このウイスキーは、ダブリンのトーマス・ストリートにあったこの蒸留所が閉鎖された 1923 年より前に製造されたものだ。

 

ジョージ・ロウは、操業を停止するまで、170 年にわたる歴史を誇っていた。

 

ヴィクター・ミー・オークション社で8月12日 (水) に競売にかけられるこのボトルは、もともとは米国への輸出用の製品だった。

 

家族経営のヴィクター・ミー・オークション社は、コロナウイルスパンデミックの影響により、オンラインでオークションを開催することに決定した。

 

このオークションには、1950年代のジョン・ジェムソン・エクストラ・クオリティ・ダブリン・ウイスキーのボトルや、19世紀の銅製ウイスキー・スティルも出品されている。どちらも、落札予想価格帯の上値は 1,200 ユーロである。

 

競売人のヴィクター・ミー氏は、「私たちの業界にとっては厳しい数か月だったが、今年最初のパブ関連のオークションを開催できることを非常に嬉しく思っている」

 

「今回のオークションに出品される珍しいアイテムは、弊社のスペシャリストが慎重に選んだものであり、競売台に載せられるのを舞台の袖でずっと待っていた」

 

(翻訳ここまで)

 

記事に登場するヴィクター・ミー・オークションは私も何度か利用したことがあります。酒類のパブ・ミラーやポスターのオークションではアイルランドでも一二を争うオークション会社です。

 

記事に登場するジョージ・ロウ・ウイスキーの出品情報はこちら。落札予想価格は6000 から12000 ユーロに設定されています。

 

記事で紹介されているジェムソンのボトルはこちら。記事とは異なり、落札予想価格は 700 から 1000 ユーロに設定されています。

 

銅製のポットスティルはこちら。これも記事とは異なり、落札予想価格は 1000 から 1500 ユーロに設定されています。

 

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オンライン・オークションとなっていますが、これはヤフオクや eBay のような形式のオークションではありません。競売人が進行するのをリモートでライブで聞きながら、入札することができます。入札しなくても、聞くだけで雰囲気を味わうことができると思うので、お時間のあるかたはどうぞ。オークションは8月12日の午後2時 (日本時間午後10時) からです。 

https://www.victormeeauctions.ie/

 

2020年8月12日追記:

今日オークションが開催されて、ハンマープライスはそれぞれジョージ・ロウ・ウイスキーが6000ユーロ、ジェムソンのボトルが520ユーロ、ポットスティルが1600ユーロでした。落札者は、ハンマープライスに手数料の約25%ほどを支払う必要があります。

「Ireland in Focus」展 – アイルランド国立博物館コリンズ・バラック

私の家から歩いて 5 分ぐらいのところにアイルランド国立博物館コリンズ・バラックがあります。入場無料なので気が向いたときに出かけるのですが、今日は「Ireland in Focus」展という特別展が見たかったので行ってきました。

 

この展示は、フランスとアメリカの3人のフォトグラファーによる1950年代のアイルランドの写真を集めたものです。全部で 100枚ほどですから、それほど期待していなかったのですが、思いのほかよかったです。

 

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3人のフォトグラファーとは、アメリカ人でフランス在住の人類学者のロバート・クレスウェル、フランス人のアンリ・カルティエ=ブレッソン、そしてアメリカ人のドロシア・ラングです。後の2人は日本語のWikipediaにも項目が立つほど有名な写真家のようですね。

 

ロバート・クレスウェルは人類学者としてアイルランドの田舎のコミュニティーを研究していたそうです。ゴルウェー県のキンバラ (Kinvara) という町に1年以上住み込み、資料として写真を撮影していました。

 

その中の1枚がたとえばこちら。

 

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町の人々が集まっていますけど、グーグル・マップで見てみると、たぶんこの場所ですかね。

 

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キンバラ (Kinvara) の街は、前にもブログの記事にしましたけど、私のお気に入りの絵葉書の写真が撮られた町です。

 

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アンリ・カルティエ=ブレッソンの作品は、競馬場で撮った写真がおもしろかったです。競馬の写真ではなくて、観客のために用意されているアトラクションの写真です。

 

猿をつれたおじさん。フォーチュン・テラー (占い師) だそうです。猿を使ってどういう占いをしていたのか気になります。

 

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ルーレットで運試しをする少年たち

 

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それから、こちらはおそらく、テーブルの上にコインが置いてあって、真ん中に穴のあいた円盤を投げて、コインが穴の中にすっぽり入ればそのコインをもらえる、というゲームではないでしょうか。プレイしている青年の肩のところが破けて、白い綿が飛び出しているんですよね。

 

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「Ireland in Focus」展の簡単な紹介動画はこちら。

 

www.youtube.com

 

最初の予定では4月末に終了する予定だったのですが、コロナの影響で展示が11月末まで延びたようです。この博物館は常設展も充実していますのでぜひどうぞ。なにしろ無料ですので。

 

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「現代アイルランドの100の風景」絵葉書セット

土曜なので街を散歩しにいったのですが、人出はかなり回復しています。

 

フォト・アイルランドという写真/ビジュアル・アート振興団体がテンプルバーに店を構えているのですが、散歩するときは必ずここを覗いて、写真を眺めたり絵葉書を買ったりします。そこで今日はいい買い物をしました。

 

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「100 Views of Contemporary Ireland」(現代アイルランドの100の風景)と題された絵葉書セットです。ここ10年くらいにさまざまなフォトグラファーがアイルランドで撮影した写真が絵葉書になっています。全部で100枚。

 

少しご紹介しますね。

 

人の営み。

 

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街の風景。

 

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産業。

 

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 信心深さ。

 

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荒涼/殺風景。

 

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ここでは、普通ならあまり絵葉書に題材にならないような写真を主にご紹介しましたが、お友達に送っても全然変に思われない写真もありますよ。

 

今は海外に旅行に出かけるのは難しい状態ですから、こういうアイルランドのありのままの姿を再発見するのもいいかなと思ったのですが、今日のアイリッシュ・タイムズ紙には、同じようなテーマの記事が出ていました。

 

www.irishtimes.com

 

アイルランド北西部のドネガル県にバンドーラン (Bundoran) というシーサイド・リゾート・タウンがあります。今は格安航空会社もできて、海外のホリデーに行きやすくなりましたけど、それ以前には庶民の夏のバカンスを一手に引き受けてきたようなところです。

 

イギリスですとブラックプールとかブライトン。アイルランドだと、この前ブログにも書いたトラモアとか北アイルランドのポートラッシュとかでしょうか。

 

ロックダウンの解除が進んだ今、そのバンドーランに例年以上に観光客がやってきているという記事です。人口よりも宿泊施設のベッド数の方がはるかに多いような町なのですが、あるホテルでは、今年の稼働率は95%を越えており、昨年の80%を上回っているそうです。

 

バンドーランは歴史的に北アイルランドからのお客さんが多かったのですが、今年は南のお客さんも増えているとか。ケリー県などとは違って、アメリカ人観光客はもともと少ない場所だったということもビジネスが好調な原因のようです。

 

ただ、サマー・ホリデーも兼ねて、1~2週間のスケジュールで英語を学べるみたいなサービスを提供している会社もあるのですが、そこは100%キャンセルをくらったようです。お客さんはほとんど海外からでしょうから。

 

しかし、いつのまにか国内旅行には出かけても大丈夫になっていたんですね。気付いていませんでした。私もどっか出かけようと思います。

 

最後に、絵葉書セットの話に戻りますが、ヌード写真もありますよ。

 

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映画館が営業を再開しました (今月見た映画 2020 年 7 月)

 

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今週の月曜から、映画館が営業を再開しました。私も昨日 (29日水曜)、さっそく行ってきました。いつものライトハウス・シネマ。午前中の回を見たんだけど、6ユーロだった。午前中は安いのかな。夜は11.50ユーロぐらいする。

 

チケットを買うときに、どこの座席に座るかを聞かれて、席番を指定された。これは、この映画館では今まではなかったこと。ソーシャル・ディスタンス対策でしょう。

 

館内には、ソーシャル・ディスタンシングを啓発するための気の利いた看板が置かれていました。3 種類。

 

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どの映画のダンス・シーンかわかりますか? 私は真ん中のやつだけわからなかった。右の女性はアリー・シーディーっぽいし、右の女性はグレタ・ガーウィグっぽい。二人が共演した映画なんてあったかな、と思ったんですが、たぶんそんなのないはず。

 

ということで、Twitterで聞いてみたら、親切な人がすぐに教えてくれた。答えは「ブレックファスト・クラブ」(1985年の作品)でした。私はリアルタイムで見た映画だ。

 

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ちなみに左の看板は「ラ・ラ・ランド」(2016年)、右は「パルプ・フィクション」(1994年)です。

 

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きのう見た映画は「Saint Frances」という映画です。どうやら映画の封切りのスケジュールが乱れているらしくて、現在かかっている映画のほとんどは過去の名作です。「千と千尋の神隠し」「マルホランド・ドライブ」「スターウォーズV」「サウンド・オブ・ミュージック」「隣のトロロ」「パラサイト」などです。その中で「Saint Frances」だけが新作映画だったのですね。

 

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主人公は人生が行き詰り気味の34歳の女性。ウエイトレスとして働いていたが、子守の仕事を見つけて転職。タイトルの「セイント・フランシス」は、彼女が子守する6歳のフランシスのこと。

 

大学のクリエイティブ・ライティングコースを中退した主人公は、自分のことを「不可知論者でフェミニスト」と呼ぶなど、アメリカの大学生によくあるようにリベラル思想に薄く染まっている。子守先の家はレズビアンカップルで、「Black Lives Matter」の看板を庭に出すなどゴリゴリのリベラルなのだが、宗教には熱心で中絶反対。

 

今のアメリカを包むそうしたリベラルの空気を馬鹿にするでもなく、あからさまに称揚するでもなく、一歩引いたところから登場人物たちを温かく見守るコメディーに仕上がっています。

 

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アイリッシュ・ウイスキー・ミュージアム

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2013 年にオープンしたアイリッシュ・ウスキー・ミュージアムは、何といってもその立地が最高なのです。ケルズの書やロングルーム (図書館で有名なトリニティ・カレッジの真向かいにあり、グラフトン・ストリートやテンプルバーなどの商店街/繁華街もすぐ近くです。とにかく市内のいろいろな場所を短時間で巡りたい方に最適です。

 

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ミュージアムという名前ですが、ガイドさんの話を聞きながら館内を回るという、蒸留所の見学ツアーと同じシステムになっています。

 

私も2回ほど訪れたことがあるのですが、昨年2月の 2 回目の訪問時のことを書いてみたいと思います。

 

参加したのがたまたま12時という早い時間帯のツアーということもあってか、お客さんは私を含めて7人です。多いと30人くらいになるらしい。

 

ツアーは4部構成です。最初の部屋ではこちらの画面で短いビデオの上映。

 

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役者さんを使った歴史劇風の凝った映像で、ガイドさんがナレーションをその場で付けていくスタイルです。ガイドさんはグレースさんという若い女性の方です。

 

こんな感じの雰囲気のある小道具も配置されています。

 

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2つ目の部屋は、中世のパブだか密造酒製造所を模した内装。3つ目の部屋がビクトリア朝時代のパブのような造りです。

 

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基本的に、ガイドさんがストーリーテラーとなって、ウイスキーにまつわるさまざまな歴史やエピソードを語っていくんですね。墓場泥棒の話もありましたし、アイルランドでどれほど密造酒製造が盛んだったかという話もありましたし、ウイスキーの貯蔵庫から出火してダブリンが大火事になったとき、火災で死んだ人より流れ出したウイスキーを飲みすぎて急性アルコール中毒で死んだ人の方が多かったという話もありました。

 

お話の内容は、ウイスキー初心者の方でも、かなり詳しい方でも楽しめると思います。私が面白かったのは、「Saved by the bell」の語源の話。私はこれは「ゴングに救われる」みたいなボクシング用語だと思っていたのですが、実はそうではなかった。昔は医学が発達していなかったため、昏睡状態になっただけで死んではいないのに埋葬されてしまうということがあった (メチルアルコールを飲むと、失明、昏睡、最後には死に至るみたいな話の流れでこの話になった)。それで棺桶の中にベルを入れておくことで、昏睡から覚めた人がそのベルを鳴らして助けを求めていた、みたいな話。

 

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前回来たときは、ビクトリア朝パブの部屋で、上の写真の肖像画がしゃべり始めて説明するみたいな仕掛けがあったんですが、今回はなくなっていました。

 

4つ目の部屋はいよいよテイスティングです。このミュージアムは特定のウイスキー会社ではなく、インバウンド専門の旅行会社が運営しています。したがって、いろんなブランドを飲み比べることができます。

 

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クラシック・コース (20ユーロ) を選んだ私が試飲したのは、ダブリナー、パワーズ、そしてアイリッシュマンの3つ。ほかの人はみんなプレミアム・コース (23ユーロ) を選んでいて、ナポーグ・キャッスル (Knappogue Castle) という 12 年物のウイスキーも試飲していました。プレミアムにはお土産のグラスもついてくるので、行かれる方はプレミアムを選ばれるもいいのではないかと思います。

 

さて、私が試飲した 3 つの中で一番おいしいと思ったのはパワーズです。パワーズはジェムソンやタラモアデューなどと並ぶ、アイルランド定番のブランドで、輸出はほとんどされていませんが、4年ほど前まではアイルランドで一番飲まれていたウイスキーでした。

テイスティングしたパワーズは、一番安い価格帯 (30ユーロぐらい) のものでしたが、同価格帯のジェムソンやブッシュミルズと比べても、その豊饒な味わいと胸いっぱいに広がる温かさは格別です。ブレンドウイスキーですが、確かモルト・ウィスキーの割合がジェムソンなんかより高かったと思います。

 

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ちなみに、いまアイルランドで一番飲まれているウィスキー・ブランドはやはりジェムソンです。ジェムソンもパワーズアイリッシュ・ディスティラーズ社のブランドなのですが、国際ブランドであるジェムソンに広告資源を集中させたらしいのですね。パワーズの広告を大々的にアイルランド向けだけに制作するのは効率悪いと考えたのでしょう。

 

ダブリナーはダブリン・リバティーズ・ディスティラリーという割と新しい会社のウイスキー。グレーン・ウィスキーの割合が高いウイスキーだそうです。

 

アイリッシュマンはフルーティーな独特の味。青りんごの香りがします。独特すぎて、一口飲んだだけではちょっと好きか嫌いか判断付きかねます。70%がシングルモルト、30%がシングルポット (麦芽麦芽になっていない大麦を混ぜたもの) から作ったブレンドウイスキーだそうです。

 

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ツアーの所要時間は 30 分ほど。ちょうどいい長さです。ガイドさんの語りがメインのアトラクションなので、ある程度の英語力が必要かもしれません。ショップやバーも併設されています。