3月28日の続きです。
こういうと気分を悪くされる方もいるかもしれませんが、津は県庁所在地なのに存在感が薄いです。というか三重は他の市のキャラが強すぎるんですよ。はまぐりの桑名、工業地帯の四日市、モータースポーツの鈴鹿、忍者の伊賀、カメヤマローソクと世界の亀山モデルの亀山、松阪牛の松阪、兄弟船の鳥羽、伊勢神宮の伊勢、真珠の志摩、世界遺産の尾鷲と熊野などなど。津と言われて思い出すのは Saku Saku の名曲『津のうた』ぐらいしかありませんでした。ちなみにこの曲はほんとうに名曲です。
今回も三重で宿泊するにあたってどこにしようかと迷い、次の予定地は高崎なので、四日市あたりだと通り道なのでいいかなとも思ったのですが、ここはやはり県庁所在地を見ておこうということで津にしました。これが正解でした。期待があまり高くなかったというものあるかもしれませんが、今回の旅で思い出深い場所の1つになりました。
津の駅を降りてまずホテルの場所を確認。津の駅の周りは県庁所在地というよりも県で二番手三番手の町の雰囲気。これは後で知ったのですが、津の駅は町の中心地ではなく北の町はずれに建てられたのです。これは津駅が北から伸びてくる路線の執着駅であったことと、三重は一時期県庁が四日市に移されていて、津に戻ってきたときに中心地にいい土地がなかったという事情があるそうです。
駅ビル内にある丼丼亭でうな丼を食べ (旧津市街は人口比で日本一うなぎ屋が多い都市だそうです)、同じく駅ビル内の別所書店でドナルド・キーン『百代の過客』を購入。
まったくノープランで津に来てしまったので、駅前の観光案内所で情報を収集します。バスに乗れば津城後のお城公園に行けると係の方に教えてもらったので、そちらに行ってきました。バスの運転手さんは女性の方、ダブリンもそうですが女性の運転手さん増えてきましたね。
津城の起源は16世紀半ばにさかのぼりますが、江戸時代の初期に藤堂高虎により近代城郭として大改修され津藩の藩庁となりました。天守閣は17世紀半ばの火災で焼失し、再建されなかったようです。コンクリート製の模擬櫓が1つ作られています。模擬とはいえ、こうしたものがあるのとないのでは大違いですね。
このお城公園のあたりが元からの津の中心地のようです。片道四車線の道路が走り、両側に商店がならんでいます。松菱という百貨店がありまして、そこの1階のカフェでコーヒーとチーズケーキをいただきました。
その後、近くの大門という場所に行きました。日本三大観音の1つにも数えられる津観音の門前町として栄えた商店街・歓楽街です。ただ、場所が鉄道駅の近くにないということや郊外型ショッピングセンターの進出でかつての輝きは失われ、2017年にはアーケードを取り外してしまったそうです。
津観音の正面から伸びる道がアーケードのあった商店街なのですが、ここは道幅も広く、路面にはモザイクのようにタイルのようなものが敷き詰められており、建物もきれいです。ただ人通りが少ないので開いているお店も少なく、活気のある様子ではありませんでした。
ところが津観音の右手にもうひとつ大門商店街という名のアーケード街があるのです。こちらは何十年もメンテナンスをしていないようなたたずまい。正面の「大門商店街」の「門」の字は半分落ちていますし、アーケードの屋根にも穴があいています。
ここは小さな飲食店が密集しているところです。スナックや小料理屋など、昭和の盛り場感が強く漂っています。メインの通路の両側にも路地があって、そこにも飲食店が軒を連ねます。私が行ったのが昼間だったので開いている店はあまりありませんでしたが、夜になれば開店しそうな雰囲気でした。50年も昔の日本にタイムスリップしたような感じでお酒や料理を楽しめるのではないでしょうか。
さて、いったん津駅近くの宿、ホテル・ザ・グランコート津西に戻ります。今回の旅では夕食を食べた後にスターバックスでコーヒーを飲む習慣がついてしまい、津駅周辺にはスタバがなくて2つ隣の駅まで電車で行くことにしました。
ところが電車を間違えて快速に乗ってしまい、松阪まで行ってしまいました。せっかくなので松阪牛を食べようと思ったのですがそういうお店がなく、浅野屋というおさかな料理の店で刺し身定食をいただきました。また小濱書店という本屋さんで種村季弘『江戸東京<奇想>徘徊記』を買いました。
続きます。