たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

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第九代アイルランド共和国大統領

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第九代のアイルランド共和国大統領を選ぶための投票が 10 月 27 日 (木) に行われ、労働党推薦のマイケル D. ヒギンズ氏が当選しました。第八代のメアリ・マカリース大統領の後を継いで、11 月 11 日に正式に就任します。

 

マイケル D. はアイルランド労働党の主要メンバーのひとりで、今年の 2 月に後進に道を譲るまで長く下院議員を務めていました。1941 年生まれの 70 歳です。

 

労働党の中でも左寄りの人。端っこにいる人に手を差し伸べて包摂するという意味で。日本のサヨクの人のように国家という枠組みに懐疑的とかそういうことではないので誤解のないようにお願いします。前にも書きましたが、文化大臣をやってたときにアイルランド国際捕鯨委員会の年次総会が開かれたんですが、そのときにも文化の多様性の観点から日本に同情的な発言をしていた。

 

既成政党の政治家としてはまったく「らしくない」人で、立ち姿から言葉の使い方まで文人のような趣を醸し出しています。実際、詩人として詩集を 3 冊発表しています。また、ゴルウェー・ユナイテッド (っていうサッカー・クラブ) のプレジデントでもあります (名誉職)。

 

今日の新聞には、マイケル D. が故郷のゴルウェーに帰って歓迎を受けた話が載っていました。5000 人ほどの人がエア・スクエアっていう街の中心にある公園に集まったそうですが、その中の一人によれば「これはゴルウェーのオバマ的瞬間」だそうです。

 

それから、スクエアには米国の「Occupy the Wall Street」デモに呼応してテント張って座り込んでる人たちがいたのですが、そのひとたちは、「マイケル D、お茶でも飲みにこいよ」というプラカードを掲げていたそうです。これはもちろん、「こっちにきておれたちの話にも耳を貸せよ」というメッセージが含まれてるんですが、気を利かせて祝賀ムードを壊さない文言になっています。

 

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マイケル D.「できうるかぎりひらめきに溢れた (inspirational) 存在となるように、私は身体中のすべての息吹を使うだろう」

 

「言葉を現実に変えることが私の目的だ。この国のすべての人々には素晴らしい未来がある。大統領は、あらゆる年齢の人々、そしてまだ見ぬ世代のための存在でなければならない」

 

「私はアイルランドを愛している。アイルランドの人々を愛している。これまでになされてきた変化と変革の作業に敬意を払う。可能性は無限である」

 

 

選挙結果ですが、アイルランド単記移譲式っていうめんどうくさい選挙方式なんですが、候補者ごとの一位票獲得数は以下のとおりです。

 

マイケル D. ヒギンズ (労働党) 701,101 票
ショーン・ギャラハー (無所属) 504,964 票
マーティン・マギネス (シンフェイン) 243,030 票
ゲイ・ミッチェル (FG) 113,321 票
デビッド・ノリス (無所属) 109,489 票
ダナ・ローズマリー・スカンロン (無所属) 51,220 票
メアリ・デイビス (無所属) 48,657 票

 

最終的にはヒギンズとギャラハーが残って 1,007,104 票対 628,114 票でヒギンズの勝利です。投票率は 56.11%。

 

選挙戦もいろんな出来事があり、世論調査でも支持率が乱高下しました。この話は次回に書きます。

 

写真はアイリッシュ・タイムズ紙から。
1 枚目の写真: マイケル D. ヒギンズの向かって右に立っている紫の服を着た人が奥さんのサビナさん。
2 枚目の写真: 左側にビニール袋のほっかむりをした年配の女性が写ってますけど、ビニール袋のほっかむりっていうのがアイルランドの年配の女性のトレードマークなんですね。最近はあんまり見ないなーと思ってたけど、ここにいたかー。そういう意味では、この写真はとてもアイルランド的な瞬間を押さえた一枚です。