たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

シン・フェイン党

私がアイルランドに来るとき、日本の知り合いの結構な数の人に「爆弾は大丈夫なのか」と真顔で心配されました。90 年代の前半ですから、爆弾闘争はすでに下火でしたし、そもそもああいうのって北アイルランドとイングランドで主に展開されたものだったんですけど、でも日本人にしたらアイルランド = IRA = 爆弾という図式だったのでしょう。

 

今でこそ、音楽とかサッカーとかでアイルランドのことが日本で知られるようになりましたけど、それでもアンリ選手のハンドボール事件のときなどには IRA はフランスに爆弾闘争を仕掛けないのか、などと言っていた人がいましたが、仕掛けません。

 

当時、アイルランドに住んでいた日本人によると、日本のメディアはロンドン駐在の記者がイギリスのニュースを見てイギリス人の通訳を使って記事を書くので、IRA の件についてはほんとにイギリス寄りの記事しか載ってなかったそうです。もちろんこの方は、アイルランドに住んでアイルランド人の奥さんもいる方だったので、そういう人がそう感じていたってことですけど。

 

シン・フェイン党っていうのは IRA の政治組織っていう風に日本ではよく言われるんだけど、この言い方はどうなんだろう。いかにも IRA が「主」でシン・フェイン党が「従」って言い方だ。私からするとシン・フェインの方がどう考えても「主」なんだけど。たぶん、イギリスの新聞とかで「シン・フェイン党は IRA の political wing」みたいな書き方でリパブリカン運動の暴力性みたいなのを強調してて、もしくはリパブリカン運動の政治的な側面を矮小化してて、それがそのまんま日本語に訳されたように思えるけど。

 

いま、英語版の Wikipedia を見てみたら、「シン・フェイン党は歴史的に暫定派 IRA と関係が深い」ぐらいの言い回しになっていた。

 

ちょっと前置きが長くなっちゃいますけど、今、シン・フェイン党は、北アイルランド議会に 28 人 (約 1/4)、イギリスの国会に 5 人 (女王陛下に宣誓するのを拒否して欠席だけど)、アイルランド共和国の国会に 5 人 (上下院あわせて) を出してて、北アイルランドはもとより共和国でも無視できない政治勢力になってきてます。ただし、まだ主要政党が連立の相手として検討するにはちょっと問題があるみたい (過去の IRA との関係から)。

 

それから、前にフラットメートだった人が北アイルランドの出身だったんだけど、北に帰って就職口探そうかなっていってるときに、私が「近所にシン・フェインの事務所あるよね」って言ったら、「相談に行ってみようかな」って言ってたから、北の人にとってはそのくらい身近な存在です。

 

あー、やっと本題に入ります。ダブリンにはシン・フェイン党直営のグッズを売るお店が 2 軒あります。いきなり柔らかい話ですみません。

 

1 軒はこちら。オコネル・ストリートからも近い、パーネル・スクエアにあります。

 

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窓が大きくて中もよく見えますし、入りやすい雰囲気です。たぶん、こちらが正式のグッズ・ショップではないでしょうか。中に入ると、カフェにもなってます。売ってるのは、音楽CD とか DVD、Tシャツとか小物類。前に来たときは、ここに置いてあるTシャツはおとなし目のものが多かった気がするんですけど、今回はこぶしを突き上げたり、脱獄を祝福したりするものとか、けっこう勇ましいものも多かった。

 

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「Dublin, The City that Fought an Empire」って書いたポロシャツもあって、間違ってはないと思うんですけど、イギリスが帝国だったのっていつの話でしょう、っていう感じですが。

 

こういうのって、アイルランドの人はまず着ないわけですが、たぶんアイリッシュ・アメリカンの観光客とかが買って帰るのかな、と思います。

 

あと、ミネラル・ウォーターも売ってました。「Only Our Rivers Run Free」って書いてあります。1 本 1 ユーロなので、有名ブランドのものより安かったです。

 

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もう 1 軒はこちら。パーネル・ストリートのはずれにあります。

 

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こういうことを書くと、ちょっとまたシン・フェイン党の誤ったイメージが広まりそうな気もするんですが、あえて書きますと、こっちの方が「アジト」っぽい雰囲気があります。並びには朽ちかけた建物もあったりして。こっちはたぶん主には事務所か何かで、ついでにグッズも売ってるように思います。

 

今回、外から見た限りでは、おとなしいTシャツしか売ってないようでしたが、昔はけっこう派手なTシャツを売ってました。といいますか、私、買ってしまいました。

 

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もちろん一度も着てません。イーベイで売ろう売ろうと思いながらそのままになってしまってます。でも、ブログのネタとして活用できたので良かった。左側は、1916年の独立宣言書がモチーフになってて、右側のは1981年のハンガー・ストライキで命を落とした人たちを記念するものです。

 

シン・フェイン党の党首はジェリー・アダムズさんです。かなり前ですが、アイルランドに住んでる日本人女性に聞くと、「アダムズさん、セクシー」という人がけっこういました。やはり、危険な香りがするのでしょうか。

 

モノクロのチェ・ゲバラの顔をデザインした画像ってよく見かけますよね。私は昔、アダムズさんの顔もあんな風にしてグッズにすればいいのではないかと真剣に考えたのですが、シン・フェイン党のみなさんはもちろん私ほど能天気でも無責任でもないので、そんなグッズは作ってません。

 

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