たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

ピーター・ロビンソンさん (DUP 党首)

イギリスの総選挙が先週木曜日 (6日) にあって、与党の労働党が負けました。最大議席を取った保守党も過半数を確保できなかったので、いろいろと交渉した結果、保守党と第三党の自由民主党が連立内閣を組むことになった。首相は保守党のデビッド・キャメロン党首。副首相が自由民主党のニック・クレッグ党首。ともに 43 歳。若いなー。敗れた労働党のゴードン・ブラウン元首相はもうちょっといってるけど、それでも 59 歳。

 

選挙期間中には、三大政党の党首 (つまり、上記の三人) がテレビで公開討論を 3 回やってました。こういうのはイギリスでも初めての試みらしい。スコットランドでも三大政党のスコットランド担当の政治家、プラス、スコットランド国民党の党首の 4 人で公開討論をやってたし、ウェールズでも北アイルランドでもやったらしい。

 

党の責任者がこれだけ直接的に有権者に論点を明確にしてくれると、分かりやすいですね。どの政治家も、有権者に伝えたいという誠意があるし、伝える技術も持っています。日本もこういうの、やればいいのに。(もうやってますか?)

 

イギリスの総選挙はアイルランドのメディアでも大きく扱われます。いろんな意味で関係の深い国ということもあるし、もちろん北アイルランドでは選挙が行われてますから。

 

北アイルランドでは、イギリスの三大政党は議席もないし、候補すら立てません。北アイルランドのメインの政党は 4 つあって、ユニオニスト側 (プロテスタント) の民主統一党 (DUP) とアルスター統一党 (UUP)、リパブリカン側 (カソリック) のおなじみシンフェイン (SF) と穏健派の社会民主労働党 (SDLP) です。

 

今回の選挙では、ユニオニスト強硬派の DUP が 8 議席、穏健派の UUP は 0、SF が 5 で、SDLP が 3 議席を獲得しました。SF は当選しても女王への宣誓を拒否して登院しないんですけどね。

 

それでですね、タイトルのピーター・ロビンソンさんは DUP の党首なんですけど、圧倒的有利を予想されながら、北アイルランド同盟党の候補に僅差で敗れてしまったのです。北アイルランド同盟党は、プロテスタントとかカソリックとかそういう派閥抗争みたいなのはもういいじゃん、みたいな人から支持されてる政党で、国会に議員を送り出すのは今回が初めてです。

 

私はアイルランド共和国に長らく住んでますので、心情的にはリパブリカン側を応援してしまうのですが、ユニオニストとはいえロビンソンさんには同情してしまいます。というのも、ロビンソンさん、今年に入って踏んだり蹴ったりなんです。

 

まず、今年の初めに奥さんのアイリスさんの浮気が報道されました。アイリスさんも DUP の国会議員だったんですが、2 年前、59 歳のときに友人の息子である 19 歳の少年と関係を持っていたと。少年がレストランを開くというのでローンを借りてあげたのですが、北アイルランド議会にこれを報告する義務を怠ったということでメディアの追求を受けたのです。

 

旦那さんのピーターさんには去年のうちに浮気がばれてて、アイリスさんは自殺を試みたそうです (未遂)。アイリスさんはスキャンダルがメディアに報じられる直前に議員を辞職しました。

 

その後、ピーターさん自身の不動産取引の不正なども報じられたりして、ここにきて国会の議席まで失ってしまいました。北アイルランド議会の第一大臣 (つまり、地方議会の首相) まで務めてるのに。

 

長年連れ添った奥さんは 19 歳と浮気するし、盤石と言われた選挙区でも落選するしで、俺の 60 年あまりの人生はなんだったんだろーなー、とヤケになってもいいくらいと思いますけど、投票結果が明らかになった後も、感情に流されず、勝った同盟党の候補を祝福しつつ、尊厳に満ちた態度で敗戦の弁を語っていました。

 

ピーターさん、男の鑑。

 

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