アイルランド総選挙: 話題の候補者
アイルランドはあんまりタレント候補みたいな人はいません。報道記者としてテレビに出てた人が選挙に出たりすることはありますけど。それでもいろいろ話題になってた候補者がいますので、そういう人たちのご紹介。
まずは、この人。前にこのブログでも書いたことありますけど、ミック・ウォレスさん。ウェックスフォード選挙区から立候補。
この人は建設会社の社長さんで、いい年して金髪ロン毛。金髪は地毛だそうなんで、言っても仕方ないんですけど。イタリアおたくで、イタリアン・クォーターっていうイタリア・テーマのレストラン街を作ったりして。サッカーが好きで、地元にウェックスフォード・ユースっていう名前のプロチームつくって自ら監督になったり。「ユース」はもちろんユヴェントスの英語訳です。好きな色はピンク。とにかく派手なんです。
政治の経験はなし。無所属で立候補したんですけど、最初のカウントで得票数がトップ。いきなり Quota に達して当選しました。初めて登院するときにはピンクの服を着ていくことを約束。
テレビでは解説者が、「建設業者や不動産デベロッパーがお金を借りまくったせいで国がつぶれかけてんのに、建設会社の社長さんが 1 位で当選するとか、世界にどう説明すればいいんでしょうか」なんて冗談半分でいってました。
ウォレスさんが 1 位で当選するとは誰も思ってなかったらしいんだけど、彼はウェックスフォード県のアンダーエイジのサッカー代表チームをコーチしたりとか、20 年以上もサッカーを通してコミュニティに貢献してきたので、その辺が評価されたのでしょう。
次はこの人。ルーク “Ming” フラナガン候補。Ming はあだ名なんだけど、どこから付いたのかはわかりません。ロスコモン・リートリム南部選挙区。
この人はヒッピーみたいな人で、大麻の合法化をずっと訴えてる人。10 年ぐらい前には、大麻を巻いたたばこを国会議員全員に郵送して話題になりました。
1997 年に初めて立候補したときは 548 票しか獲得できない泡沫候補だったのに、今回は最初のカウントで 8925 票を獲得。同選挙区で他の候補に先駆けて最初に当選を決めた。
当選後の喜びのコメントで議員報酬を半額しかもらわないことを宣言。大麻合法化以外の政策は、家庭で使うために個人が泥炭を掘ることを合法化することとか。ダブリンに住んでると、これが田舎の人にとってどのくらい重要なことなのか、ちょっとわからない。
ウォレス候補とかフラナガン候補が票を集めたのは、有権者がドラスティックな変化を求めていたことの表れかもしれません。
それから、この人はおなじみシン・フェイン党党首のジェリー・アダムズさん。もともとはベルファストの人なんだけど、今回は北アイルランドに近いラウス選挙区からアイルランド共和国の国会に初めて立候補した。
アダムズさんも最初のカウントでいきなり当選。彼は英国の下院と北アイルランド議会にも議席を持ってたんだけど、それらを辞任しての立候補。当選はするだろうと思われてたみたいだけど、最初のカウントで当選というのは予想されてなかったみたい。
当選後にはカジュアルな服装で RTE の選挙特番に出演。テレビに出ると、いつも IRA との関係とかその辺を厳しく追及されるんだけど、まあその辺の受け答えは手慣れたもの。
私がこちらに来た頃には、シン・フェイン党はテロリストっていうことになっていて、テロリストにパブリシティを与えてはいけないっていうことで、BBC でも RTE でも彼の声を放送することが法律で禁じられていた。だから、放送局が彼のインタビュー映像を流すときは、声優が北アイルランド訛りで吹き替えていた。そんな漫画みたいなことが真顔で行われてたんだけど、そのときから考えると隔世の感がある。
今日、UTV っていう北アイルランドの放送局のニュースを見ていたんだけど、共和国側でシン・フェインの議席が大きく増えたことが取り上げられていた。北アイルランド議会の選挙ももうすぐあるらしいんだけど、ボーダーの南側でのモメンタムが北側にも影響を及ぼすんじゃないかっていうのは、やっぱり大きな関心事らしい。
