たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

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コークでフィドル職人として働く日本人

 

 

今日のアイリッシュ・インデペンデント紙に、コークでアイルランド伝統音楽向けのフィドル (バイオリン) を製作している日本人の方が紹介されていました。

 

www.independent.ie

 

この方は齋藤陽秋(はるあき)さん。記事によれば、2016年に東京で勤めていた会社をやめてコークにやってきたそうです。その理由はアイルランドのトラディショナル・ミュージックが好きだから。また東京のせわしなさがちょっと嫌になって、もう少しゆとりのある生活を、という気持ちもあったようです。

 

「当初は家族も理解してくれませんでした。なぜお金も仕事もないのにそんなに遠いところに移りたいのかと。しかし、今は応援してくれています。妻を日本に残してきているのですが、彼女もコークに来ていっしょに暮らす予定。ただパンデミックのせいでその予定は一時保留になっています」

 

齋藤さんとアイリッシュ音楽との出会いは高校のとき。あるワールド・ミュージックのCDを聞いたところ、その中にアイルランドの音楽が入っていたそうです。それで一目ぼれ、というか一耳ぼれしてしまったそうです。

 

アイルランドのリールの曲が一曲入っていて、それに魅かれました。そのときからトラディショナル・アイリッシュ・ミュージックのとりこになりました。私の気持ちを動かしたのはリズムだったと思います。フィドルを始めたのですが、うまくいきませんでした。そこでアコーディオンに楽器を変えたところ、そっちの方がしっくりきました」

 

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「東京のバーのセッションで演奏を始めました。東京では弦楽器職人の仕事をしていたのですが、精神的にも肉体的にも疲れ果て、変化が必要でした」

 

10代のころはひきこもり気味だった時期があったそうで、日本の社会に溶け込むのは難しいと感じていたし、自分のメンタル・ヘルスに慎重に気を配らないといけないこともわかっていたので、生活に大きな変化が必要だと決断したそうです。

 

2015年に旅行でアイルランドを訪れ、ダブリン、コーク、ゴルウェーを回り、アイルランドの何かが自分を呼んでいると感じたそうです。

 

「仕事が見つかるかどうかもわからないし、最初はたぶん1~2年と思っていました。それが5年前の話です」

 

幸いなことにコークのヴェグター・ヴァイオリンズ (Vegtar Violins) という工房で仕事が見つかり、斎藤さんの作るバイオリンは 7500ユーロの値が付くそうです。

 

「私の雇用主であるヒューゴ・ヴェグターとニーヴ・ヴェグターは、私が出会った中で最高の2人です。コークにいられるのがとても幸せです。東京はとてもうるさくてとても忙しい。忙しい場所は私はきらいです。ダブリンですら私には忙しすぎます。のんびりしたコークは私に合っています」

 

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この記事は、アイルランドの文化や伝統に魅せられて海外から移住してきた人、5人を紹介する記事です。

 

齋藤さんのほかには、アイルランドフォークロアを勉強するためにやってきたロシアの女性、シャンノース (アイルランドの伝統ダンス) のダンサーのジンバブエ人女性、アイルランド語話者のバングラデシュ人男性、アイルランド語振興の政府職員のロシア人男性が紹介されていました。

 

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