たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

アビー・シアターで「Translations」を観劇しました

 

先週の土曜日にアビー・シアターに演劇を見に行きました。「Translations」という劇です。アイルランドの劇作家、ブライアン・フリールの1980年の作品。

 

舞台は19世紀前半のドネガル県の小さな村。ヘッジ・スクール (カソリックの人向けの非合法の学校。当時はプロテスタント以外の学校は禁じられていたので) に集う村人たち。村人たちは基本的にアイルランド語しかしゃべれない (劇の上では西アイルランド訛りの英語が話される)。そこに、校長の息子がオーウェンが6年ぶりにダブリンから帰ってくる。オーウェンは友人と称して2人のイギリス軍人をつれてくる。この2人はアイルランドの地図を作製する任務を与えられている。オーウェンは彼らと村人の間の通訳を務める。

 

オーウェンと若い軍人のヨランドは土地の名前を英語風の名前に変える作業を進める。オーウェンの方はその作業に疑問を抱いていないのに対し、ヨランドはこれがアイルランドの歴史や文化を破壊しているのではないかと気に病む。

 

ヨランドと村の娘マイラは、どちらも相手の言語をほとんどしゃべれないという障害を乗り越え恋に落ちる。マイラに思いを寄せていたオーウェンの兄マナスは。。。

 

というあらすじです。

 

フリール自身は「これはあくまで言語に関する劇である」と言っているのですが、もちろんそれ以上の深い意味を解釈してくれと劇のほうは大声で叫んでいます。コミュニケーション、アイルランドの歴史、そして文化的帝国主義などなど。。。

 

北アイルランド・デリーでの初演で主役のオーウェンを演じたのはスティーブン・レイ。リアム・ニーソンも出演していました。

 

私はあまり劇を見る習慣はないので、アビー・シアターのメインの劇場に入るのは確か2回目。前回来たのは確かダンス・フェスティバルのとき。付設の小劇場であるピーコック・シアターにも2回ほど行ったことがあります。

 

今回失敗したのは時間を間違えたこと。演劇やコンサートってだいたい開場時間と開演時間の2つが書いてあると思うのですが、今回は1つしかないので、それが開場時間だと思って遅れ気味に行ったら、既に劇が始まっていました。ちょっとロビーで待ってから中に入れてもらいました。ロビーではモニター越しに劇を見ることはできましたが。

 

やっぱり生の舞台を見るのは迫力があって楽しいです。観客のリアクションとかの臨場感があるのもたまりません。

 

「Translations」はダブリンの公演は終わりましたが、9月初旬までリムリック、ゴルウェー、ドネガルを回ります。

 

 

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蚤の市で買ったもの

 

最近、近所の小学校で毎月蚤の市が開かれています。この蚤の市には Le Zeitgeist という名前がついています。Zeitgeist というのはもともとドイツ語で、「時代の精神」みたいな意味だそうです。読み方は「ザイトガイスト」です。

 

で、よせばいいのにまた余計なものを買ってしまいました。

 



 

写真の上側がアイリッシュ・インデペンデント紙の額縁入り広告です。マッチのクロースアップの写真に「The close up on Sport」と書いてあります。火をつけるマッチと試合のマッチを掛けているということなんでしょう。私も見覚えのある広告です。売ってくれた人によると、アイルランドに飲食店の屋内禁煙が導入されたころのものだとのこと。だからマッチなんですね。20ユーロ。

 

下側は1990年のサッカーW杯イタリア大会のときのアイルランド代表選手のイラスト。素材はセルロイドです。たぶんパブかなんかに飾るようなやつなんでしょう。選手は左からスタントン、オルドリッジ、フィーランです。3枚で10ユーロでした。

 

以前に大きなコカ・ワインのホウロウ看板を売ってくれたおっちゃんと久しぶりに会った。コロナが始まって以来。覚えていて声をかけてくれました。名前をどうしても思い出せなかったんだけど、きょう名刺をくれてブライアンさんだとわかった。

 

 

 

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女子ラグビー: 日本代表対アイルランド代表の試合の生中継があります

 

 

前回に引き続き女子ラグビーの話です。いま、女子ラグビーアイルランド代表が日本に行っています。8月20日と27日に日本代表とテストマッチを行うそうです。

 

アイルランドでもこの2試合が生中継で放送されることが発表されました。放送するのがTG4というアイルランド語のテレビ局です。

 

TG4はGAAスポーツ (ゲーリックフットボールハーリング) の中継はもちろんやるのですが、外来スポーツであるラグビーの中継もよくやっています。RTEでやるには注目度が足りないクラブ・ラグビーの試合ですね。レンスターやマンスターがスコットランドウェールズのクラブと戦うリーグ戦の試合とかです。

 

実況や解説はもちろんアイルランド語です。インタビューに答える選手や監督は、アイルランド語ができる人はアイルランド語、できない人は英語になります。

 

私はアイルランド語はまったくできませんが、実況がアイルランド語でも普通に見ていて楽しいです。言葉の壁がないので、TG4にとってもいい視聴率が取れる優良コンテンツなのではないでしょうか。

 

TG4はもともと Teilifís na Gaeilge (略称TnaG) という名前で1996年に放送を開始しました。これは、現大統領であるマイケル・D・ヒギンズが芸術/文化/アイルランド語地域担当大臣だったときです。1999年にTG4と改称。ゴルウェーに本社スタジオを置き、アイルランド島全体が放送エリアです。視聴率のシェアは南で2%、北アイルランドで3%だそうです。

 

日本代表対アイルランド代表の試合はどちらもアイルランド時間の午前11時から。土曜日ですから見やすい時間帯ですね。

 

 



 

 

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トランス女性選手に関するアイルランド・ラグビー協会のガイドライン

 

トランス女性が女子競技に参加することについていろいろと議論が起きていますが、アイルランドラグビー協会がトランス女性選手に関するガイドラインを発表しました。

 

 

 

端的にいいますと、女子ラグビー競技に参加できるのは、出生時の性別が女性であったものに限るということです。

 

ラグビーの国際的な統括団体であるワールド・ラグビーは2020年に同様のポリシーを採用しているので、アイルランドラグビー協会もこれにならったということになります。イングランドラグビー協会も同様の決定を先月くだしています。つまり、イングランドでもアイルランドでもトランスジェンダーの女性は国内大会でも女子競技に参加できなくなります。

 

アイルランドラグビー協会によれば、今回の決定は純粋に安全性に関する研究・調査に基づくものだということです。すなわち、男性として第二次性徴期を経験した人は、その後男性ホルモンを抑制したとしても、生物学的女性と比べて肉体的に有利であるということ。したがって、競技中い怪我が発生するリスクが高くなって危険だということです。

 

 

現在、トランス女性でアイルランドラグビー協会に登録している選手は2人いるそうですが、既に協会はこの2人と直接話をしているそうです。審判、コーチ、ボランティアとしてや、身体接触のないゲーム形式 (タグ・ラグビーやタッチ・ラグビー) で引き続きラグビーの活動に参加することを話し合ったそうです。

 

トランス男性は引き続き、本人の同意とリスク評価を経て、男子競技に参加することができます。

 

協会の Spirit of Rugby Manager のアン=マリー・ヒューズさんは、「私たちは引き続きできうるかぎり包摂的になるように取り組んでいく。私たちは今後もLGBT+コミュニティの支援を続ける。今回の決定を残念に思う人がいることがいることもわかっているが、あらゆる人がラグビーに参加することができ、共に取り組んでいけることを強調したい」としています。

 

今回の決定は協会にとっても難しいものであったと思いますが、肉体的接触の激しいスポーツであることを考えれば理解のできるものと思います。

 

以前、私はトランス女性の女子スポーツ参加に関する動画を翻訳してツイッターにあげたことがありました。興味のある方はこちらも参考にしてください。

 

 

 

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ダブリン・ライターズ・ミュージアムの閉館

 

 

パーネル・スクエアにあるダブリン・ライターズ・ミュージアムが閉鎖されるそうです。最初のロックダウンの影響で2020年3月に一時的に営業休止して以来、一度も再開することなく閉館することが決まりました。

 

www.dublinlive.ie

 

ダブリン・ライターズ・ミュージアムは、ダブリンに関連の深い作家の記念品などを展示したこじんまりとした博物館でした。

 

この施設を管理するアイルランド観光局 (Failte Ireland)によりますと、展示内容や展示方法が最近の観光客の期待に応えられるものではなくなったことが閉館を決めた大きな理由。確かに最近のこの手の博物館は、インタラクティブな仕掛けとか凝ったオーディオ・ビジュアルとかが満載なことが多いですが、ライターズ・ミュージアムは時代に追いついていけてなかったということなのでしょう。

 

また、スタッフの確保の問題もあったようで、4人いたスタッフのうちパンデミック中に2人が引退。残った2人はアイルランド観光局の別の部署に配置転換されるようです。

 

館内にあるさまざまな記念品をどうするかはまだ決まっていないようです。サミュエル・ベケットの電話やブレンダン・ビーアンの組合員カード、またジョナサン・スイフトの『ガリバー旅行記』やブラム・ストーカーの『ドラキュラ』の初期のエディションなどが保管されているそうです。

 

ダブリン・ライターズ・ミュージアムは1991年の開館。私は1993年に一度だけ見学したことがあります。アイルランドに来た最初の年で、語学学校の友人と一緒でした。オーディオによる解説が聞けるデバイスを貸し出してくれて(日本語があったかどうかは記憶にありません)、記念品やパネルに書かれた解説を見て回った記憶があります。

 

 

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ガーシーさんとシンフェイン党の棄権主義

 

先の参院選NHK党から出馬したガーシーさんこと東谷義和さんが当選されました。東谷さんは現在ドバイ在住。日本には帰らず、ドバイから芸能界、経済界、政界の闇を暴露していくといいます。いろいろ議論はあるようですが、選挙前から国会には出ないと宣言し、海外から活動していくことを明確にしていたわけで、それをよしとした有権者によって選ばれたのですから、私は個人的にはアリと思っています。

 

昨日、Youtubeの動画を見ていたら、同じNHK党の参議院議員である浜田聡議員が、ガーシーさんにからめて北アイルランドのシンフェイン党議員のイギリス国会登院拒否について話していました。

 

www.youtube.com

 

シンフェイン党は、現在はイギリスの一部である北アイルランドと、既に独立国である南側のアイルランド(いわゆるアイルランド共和国)との統一を目指す政党です。イギリスの国会に登院するには女王への宣誓が必要なのですが、シンフェイン党の議員はこれを拒否して一度も国会に出ないわけです。この行為自体が1つの政治的ステートメントとなっており、これは1955年以来の伝統です。これはAbstentionism (棄権主義) と呼ばれます。選挙には参加するので、選挙ボイコットとは異なります。前回の英国総選挙ではシンフェイン党は7人の当選者を出しましたが、もちろん全員登院していません。

 

登院しないので議会での採決に参加することはできません。また歳費はもらっていません。ただし、諸経費は受け取っており、党としても他の党と同様に公的な資金を受け取っています。議員の肩書ははく奪されません。

 

あるシンフェイン議員は「私たちはイギリスの国会議員ではなくアイルランドの国会議員。アイルランド人の利益はアイルランド島の民主的制度でのみ扱うことができる。私たちは、英国議会に登院しないために有権者に選ばれた議員である」と言っています。

 

fullfact.org

 

シンフェインは北アイルランドと南のアイルランドにまたがる政党で、現在、南のアイルランド世論調査では圧倒的な支持率を誇ります。次のアイルランド総選挙で最大議席を獲得するのはほぼ確実です。ただ過半数を取るのはたぶん無理。アイルランド紛争の記憶があるため他の主要政党が連立を組んでくれる可能性はたぶん低いと思うので、シンフェインから次のアイルランド首相が出るかどうかは微妙なところです。

 

シンフェイン党と関係の深かった民兵組織のIRAは1997年に休戦。1998年のベルファスト合意(北アイルランド紛争に関する和平合意)を経て、2005年に武装解除完了。これによりIRAは過去の組織となりました。ただし、休戦に不満を持つ急進派が「真のIRA」などと名乗って散発的に暴力行為を働くことがありますが、これはシンフェイン党とは関係のない組織です。

 

 

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パイント・グラスの認証マーク

 

ガソリンスタンドの給油機のメーターが独立機関の認証を受けてるのは知っていましたが、パイント・グラスも同じように認証を受ける制度があるのは知りませんでした。まあ、パブでビールを買うときは量り売りで買うわけですものね。こちらのツイートで知りました↓。

 

 

 

ウチにあるパイント・グラスを見てみると、確かにマークが入っています。たとえばこちら。最近ハイネケンから発売されたアイランズ・エッジというスタウトを買ったときにおまけでもらったグラスです。

 

 

”Pint”は容量、”CE”は言わずとしれたEU基準適合マーク、”0071”は認定を出した行政機関のID番号、”M21”は2021年に計測 (Measurement) されたことを示します。”ARC”が製造元。今度パブに行ったときに確認してみてください。

 

一口でパイントといってもそれが示す量はいろいろあるようで、イギリスやアイルランドで使われているのはインペリアル・パイントといって568mlですが、アメリカだと473ml、オーストラリアだと570mlだそうです。

 

アイルランドでは、NSAI (National Standards Authority of Ireland) という政府機関が認定を行っています。以前は次の写真のようなマークが使われていましたが、2006年ごろから現在のCEマークの入ったグラスに交換されていったようです。

 

 

イギリスでは2007年以前は王室の配下の機関が認証を行い、合格したグラスには王冠のマークが押されていました。

 

Photo by Justinc

 

しかし、EU指令により、グラスの製造元はEU加盟国のどこでも認証を受けることができるようになり、CEマークが使われるようになりました。保守党が王冠マークも使えるようにキャンペーンを行って、王冠に似たマークも併用できるようになったようです。

 

EU離脱後は、UKCAマーク (イギリス版のCEマーク) が使われることになり、2021年9月には正式な王冠マークの復活がアナウンスされたようです。

 

 

独立機関がグラスの内容量をしっかりと検定するようになったので問題がなくなったかというとそうではありません。ビールを注ぐと一番上に泡ができるわけですが、泡はビールじゃないから1パイントのビールを頼んでも、1パイントより少ない量しかもらえないじゃないかと消費者団体が文句をつけたわけです。

 

これはイギリスの話なんですが、パブではビールをインペリアル・パイント単位で売り、1パイント頼まれたらきっかり1パイント売りなさいと法律で決まっているらしいんですね。で、まあ、ガイドラインとしては、グラスの95%がビールで5%が泡であればOKとしたようです(5%はだいたい小指の太さです)。ただ、それに不満なお客さんがトップアップを求めてきたら、それに応じてあげなさいと、パブの業界団体は指示しているそうです。

 

大き目のグラスをつくってパイントのところにラインを引き、そこまでビールを注いでラインの上に泡ができるようにするような試みも行われたそうですが、あまり流行らなかったみたいです。

 

参考

https://www.moneysavingexpert.com/team-blog/2018/11/pint-rights/

 

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