たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

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ガーシーさんとシンフェイン党の棄権主義

 

先の参院選NHK党から出馬したガーシーさんこと東谷義和さんが当選されました。東谷さんは現在ドバイ在住。日本には帰らず、ドバイから芸能界、経済界、政界の闇を暴露していくといいます。いろいろ議論はあるようですが、選挙前から国会には出ないと宣言し、海外から活動していくことを明確にしていたわけで、それをよしとした有権者によって選ばれたのですから、私は個人的にはアリと思っています。

 

昨日、Youtubeの動画を見ていたら、同じNHK党の参議院議員である浜田聡議員が、ガーシーさんにからめて北アイルランドのシンフェイン党議員のイギリス国会登院拒否について話していました。

 

www.youtube.com

 

シンフェイン党は、現在はイギリスの一部である北アイルランドと、既に独立国である南側のアイルランド(いわゆるアイルランド共和国)との統一を目指す政党です。イギリスの国会に登院するには女王への宣誓が必要なのですが、シンフェイン党の議員はこれを拒否して一度も国会に出ないわけです。この行為自体が1つの政治的ステートメントとなっており、これは1955年以来の伝統です。これはAbstentionism (棄権主義) と呼ばれます。選挙には参加するので、選挙ボイコットとは異なります。前回の英国総選挙ではシンフェイン党は7人の当選者を出しましたが、もちろん全員登院していません。

 

登院しないので議会での採決に参加することはできません。また歳費はもらっていません。ただし、諸経費は受け取っており、党としても他の党と同様に公的な資金を受け取っています。議員の肩書ははく奪されません。

 

あるシンフェイン議員は「私たちはイギリスの国会議員ではなくアイルランドの国会議員。アイルランド人の利益はアイルランド島の民主的制度でのみ扱うことができる。私たちは、英国議会に登院しないために有権者に選ばれた議員である」と言っています。

 

fullfact.org

 

シンフェインは北アイルランドと南のアイルランドにまたがる政党で、現在、南のアイルランド世論調査では圧倒的な支持率を誇ります。次のアイルランド総選挙で最大議席を獲得するのはほぼ確実です。ただ過半数を取るのはたぶん無理。アイルランド紛争の記憶があるため他の主要政党が連立を組んでくれる可能性はたぶん低いと思うので、シンフェインから次のアイルランド首相が出るかどうかは微妙なところです。

 

シンフェイン党と関係の深かった民兵組織のIRAは1997年に休戦。1998年のベルファスト合意(北アイルランド紛争に関する和平合意)を経て、2005年に武装解除完了。これによりIRAは過去の組織となりました。ただし、休戦に不満を持つ急進派が「真のIRA」などと名乗って散発的に暴力行為を働くことがありますが、これはシンフェイン党とは関係のない組織です。

 

 

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