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アイルランド協会が FIFA から 500 万ユーロを受け取った件

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1週間ほど前から大きな話題になってる FIFA の汚職に関連して、アイルランドのことも日本で大きく報道されてるようです。どうもお騒がせしております。

 

2010 年W 杯予選のプレーオフで、アイルランドはフランスと対戦。そのときアンリ選手のハンドボールから決定的なゴールが生まれ、フランスが本大会に出場したのですが、アイルランド協会がこの件について法的手段に訴えないかわりに FIFA から 500 万ユーロ (6 億円強) の支払いを受けたというもの。

 

日本では、つい最近になってアイルランドのデラーニー会長が暴露したという報道の仕方が一部でされているようですが、実はアイルランドでは昨年 7 月の段階でアイリッシュ・サン紙が記事にしていました。しかし、そのときはほかのメディアも追随せず、まったく問題にはならなかった。というか、デラーニー自身も含めて、「FIFA からいいディールを引き出せた」ぐらいに考えていた人も多かったようです。

 

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先週の木曜日に、デラーニーは RTE のレイ・ダーシーのラジオショーに出てインタビューを受けた。で、ダーシーがFIFAから受け取った 500 万ユーロの話を持ち出してデラーニーに尋ねた。デラーニーは何も後ろめたいことはないと思ってるから、そこでもちょっと自慢そうに話していたそうだ。

 

それを、イギリスのインデペンデント紙が記事にして、ドイツの記者が「これこそ、FIFAが腐敗していた証拠だ」みたいな形でツイートして、そこから大騒ぎになったみたいな感じ。

 

その辺の経緯は今日のアイリッシュタイムズに詳しく書いてあった。
Peculiarly ‘Irish’ arrangement backfires spectacularly on John Delaney

 

最初は審判のミスに対しての法的訴訟という話だったんだけど、昨日 (6 日) の段階では、そうではなくて、プレーオフが突然シード制になったこと (プレーオフの直前にランキングの上位 4 チームがシードされることになって、アイルランドはシードされなかったので不利益をこうむった) と、ブラッターが冗談で「アイルランドは 33 番目の出場国になりたいんだってさ」と公の場で笑いを取ったことで名誉が損われたことに対する法的措置だと、デラーニーは言っている。

 

それから、アイルランド協会は、第一に「スポーツ上の解決策」(33 番目の出場国か再試合)、そして次善の策として補償を求めたとのこと。

 

受け取った 500 万ユーロは、アイルランドが 2014 年の W 杯に出場できたら返すという条件付きのローンだったのだが、アイルランドは出場できなかったので、返却せずにそのままになった。そのお金は AVIVA スタジアム建設資金の一部となった。

 

ビジネス上、問題をお金で解決するというのは普通にあることなので、それ自体が悪いということではないと思うのだが、お金の流れが十分に透明だったかどうかは議論の余地ありか。デラーニーは守秘義務があるので会計報告には細目を分けて記述していないというのだが。。。

 

当時の監督だったトラパットーニはイタリア紙の取材に答えて、アイルランドが抗議している時期にブラッターから「会って話をしないか? 忘れる方法を一緒に考えよう」と誘われたそうだが、断ったそうだ。

 

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それとは別に、トラパットーニは以前、アイルランドは有名チームと親善試合を組んでもらうという形で埋め合わせをしてもらった、と話したことがあるそうだ。これはどうも、2010年にロンドンで行われたブラジル戦のことらしい。

 

問題となったフランスとの試合に出てたアイルランドのキース・アンドリュースは「不信と嫌悪。心に浮かぶのはもの2つの言葉。ほとんどのアイルランド人は最終的には尊厳をもって敗北を受け入れたのに、お金を受け取ったことでそれが損なわれてしまった。デラーニーがアイルランドのために戦ったのは正しいことだが、お金をもらうのは間違っている。」

 

同じくジョン・オシェイ:「選手が望んでいたのは再試合。お金は望んでいなかった」。まあ、オシェイは現役の代表だから、仮に思っていてもアンドリュースほど強くは言えないと思うが。

 

 

写真は一番上がヘディングでゴールを決めるフランスのギャラス選手。アンリのハンドはこのひとつ前のプレイ
2枚目がデラーニー・アイルランドサッカー協会会長
3枚目はトラパットーニ監督
すべてアイルッシュタイムズ紙より。
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