Euro 2012 の話の続き

Euro 2012 の話の続きなんだけど、今日のサンデー・インデペンデント紙にアイルランドサッカー協会のチーフ・エグゼクティブであるジョン・デラーニー氏のちょっとしたインタビューが載っていました。

アイルランドがこういう大会にでることの大切さがよく伝わるインタビューだったので訳してみます。

デラーニー:「数週間前に自分が卒業した学校に呼ばれて講演を行った。そこで子供たちに話をしているときに気付いたんだけど、アイルランドが主要な大会 (W杯と欧州選手権のこと)でプレーしているのを見たことのない子供たちがどれほど大勢いることか」

「日本と韓国での大会に参加したときに6歳か7歳だった子供は大会をはっきり覚えているわけではない。それより若かった子供たちはまったく何の記憶もない。だからこそ、これ(Euro 2012)はスペシャルな機会になる。アイルランドのチームが世界の舞台で戦うことがどれほど意味のあることなのかを、こういう子供たちが体験できるからだ」

「人々はラグビーやゲーリック・フットボールの話をする。ここ数年、ラグビー代表が偉大な成功を収めたことはまぎれもない事実だ。だけど、彼らは予選を戦う必要はない。ゲーリック・フットボールには私たちのような世界選手権はない。だから、私たちにとってはキツイことなんだが、私たちも同じような基準で判断される。だからこそ、こういう(主要な)トーナメントに出場するのは重要なことである」

「出場が決まってから、どこに行っても、人々は私を呼びとめ、欧州選手権の話をしたがる。これは、アイルランドのサッカー、そして国にとっても非常に重要なことだ」

「金銭的に潤うという事実はもちろんあるが、私たちの国が直面している困難を考えれば、この国に与える精神的な影響という点で、こうした機会に値段をつけることなんかできない」

「素晴らしいことは、私たちがどこでプレーするかがわかっていること。ファンはクレジット・ユニオン(ローカルな金融機関)に(旅費の融資の)話をしたり、フライト・チケットを予約したり、キャンプ・カーを買ったりを始めることができる。私たちは(世界の舞台に)戻ってきた。それは物凄いこと。これまでに主要大会に応援に行った人なら誰でも知っていることだが、外国の地で国歌が演奏されるときに国旗の方に顔を向けたときの気分に勝るものは何もない」

前にもちょっと書いたけど、デラーニーさんはチーフ・エグゼクティブになって結構経つんだけど、みんなにコケにされてたんですね。元々は会計士で、お金のことしか頭にない人がサッカーをおもちゃにしてるよ、ぐらいに思われていたわけです。スタジアム建設で大きな借金はこしらえるし、つかみどころのない賞味期限切れのナスビみたいな顔してるし。

ところが、ここに来てデラーニーさんの株は急上昇。なぜかメディアではっきり言ってるのは聞いたことないんだけど(評論家はみんなトラパットーニの保守的な戦術を批判してたからか)、トラパットーニじゃなかったらアイルランドは本戦に出場できなかったと思うんですね。ジャック・チャールトン時代は言うまでもなく、ミック・マッカーシーの時代に比べても個々の選手の質は落ちてるんで。

アイルランドの予算だと有名監督は雇えないところを、デニス・オブライエンっていう通信関係で財をなした富豪に給料を半分負担してもらうという裏ワザを使ってトラパットーニを呼んできた。そのへんの剛腕ぶりは評価されてしかるべきでしょう。

話は変わりますが、トラパットーニ監督は先日、契約を更新して次のW杯まで指揮を執ることになりました。年俸は200,000ユーロほどダウンの150万ユーロほど(今はユーロ安なので、だいたい100倍していただければ日本円の額になります)。もう72歳だし、新しい環境でやるより、アイルランドでキャリアを終えることを選んでくれたみたいですね。ダウンしたのは、国の経済がうまくいってなくて、みんな給料減ってるからだと思います。

それで、先週水曜の新聞に各国の代表監督の年俸を比較する記事が載っていました。

カペッロ (イングランド): 700万ユーロ
デル・ボスケ (スペイン): 180万ユーロ
トラパットーニ (アイルランド): 150 万ユーロ
プランデッリ (イタリア): 120万ユーロ
リヴェイン (スコットランド): 585,000 ユーロ

さすがにイングランド監督はいっぱいもらってますね。あそこはメディアのプレッシャーとかもきついからなー。トラパットーニ監督もしっかり報いてもらっているのがわかります。これらの額はすべて基本給で勝利ボーナスは別です。

それから、各国のサッカー協会トップの年俸比較も掲載されていました。

デラーニー (アイルランド): 400,000 ユーロ
ホーン (イングランド): 350,000 ユーロ
ビジャー (スペイン): 152,000 ユーロ
ヴァレンティーニ (イタリア): 150,000 ユーロ
レーガン (スコットランド): 235,000 ユーロ

うーん、ちょっとデラーニーさん、もらいすぎのような。。。