
サッカー・アイルランド代表チームの新監督としてマーティン・オニール、アシスタント・コーチとしてロイ・キーンが就任することが昨日の火曜日 (5日) 発表されました。今月15日の対ラトビアの親善試合から指揮を執ります。
サッカー協会としてはマーティン・オニールが最初から第一希望でした。クラブの監督としては、ウィコム、レスター、セルティック、アストンビラで素晴らしい成績を収めていて、限られたリソースをやりくりして結果を出してきた監督。アイルランドにはうってつけの人材です。
トラパットーニ前監督が退陣した直後から今にも契約みたいな話だったのですが、ここまでずれ込んだのは、オニールがプレミアシップのクラブの監督に未練があったから。ノリッジかフラムあたりのポジションが空けば、そっちに立候補するつもりがあったようだ。(クリスタルパレスのポジションは空いたけど、ちょっと選手を補強する予算がきついので遠慮したらしい)。
さて、ロイ・キーンの方ですが、これは協会に言われたとかではなく、純粋にオニールの意思によるものです。しかし、これにはみんな驚きました。2 人ともアイルランドのサッカー人として 経歴も凄いし、カリスマ的存在です。このコンビはこちらでは既に「Dream Team」と言われています。いろんな意味でスリリングなのです。
ロイ・キーンは 11 年前のサイパン事件以降、協会やジョン・デラーニー会長のことを事あるごとにボロカスに言っていました。まあキーンもメディアにコメント求められるから言うんだけど。デラーニーの方は「過去のことは過去のこと」と言っていたので監督候補にも挙がってたのですが、これは過去を水に流した協会/デラーニーは褒めときたいと思います。実際には、キーンは主にオニールに報告し、協会との直接的なやりとりはオニールが担当するようになるらしい。いいアイデアだと思う。
ロイ・キーンが具体的にどういう仕事をするのかはまだわかりません。オニールの方から就任の記者会見時に何か話があるはず。2人ともトレーニングで選手を細かく指導するタイプでなないので、もうひとりアシスタントコーチを雇って、その人がトレーニングの面倒は見ることになるようです。
年俸は公式発表ではなくて噂の範囲ですが、オニールが 120 万ユーロ、キーンが 50 万ユーロぐらい。全部合わせるとトラパットーニ/タンデッリのコンビのときよりも若干高いそうだ。前回と同様、携帯事業で大富豪になったデニス・オブライエンが給料の一部を負担する取り決めです (人選には口を出さない約束のはず)。
オブライエンはダブリンのラジオ局も持ってるんだけど、発表後にデラーニーが最初のインタビューに応じたのがこのラジオ局だったので、何か取り引きがあったんじゃないか (デラーニーは否定)、と、オブライエンの資本が入ってないアイリッシュタイムズが文句を言っていた。
先日、元マンチェスター・ユナイテッド監督のアレックス・ファーガソンの自伝が出版されたんだけど、その中でロイ・キーンのことがひどく悪く書かれているらしくて、キーンの今後の監督としてのキャリアが難しくなるんじゃないかとまで言われていたんですが、オニールという素晴らしいメンターに引っ張ってもらってほんとよかった。キーンはサンダーランドとイプスイッチで監督をやったんだけど、成績はまあ普通。自分に厳しいのはいいけど、人にもおんなじ厳しさ求めちゃうのがちょっとなー、と言われていて、その辺をうまく受け入れらるようになればマネージャーとしても一皮むけるのではないか。
この2人の就任は技術的な意味でも注目度という意味でもこれ以上のものは望めないほど申し分ありません。最近の低迷ぶりにサッカーへの興味がしぼみがちだった人も多いと思うのですが、そういう人たちの心にももう一度希望の灯をともす人事であります。次の2016年ヨーロッパ選手権は出場国が16から24に増えることだし、アイルランドも是非出場したいものです。
写真は昨日のチャンピオンズリーグ「レアル・ソシエダ VS マンチェスター・ユナイテッド」戦で ITV テレビ中継の解説を務めた 2 人 (左がオニール)