たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

オスカー・タイム!

義足のスプリンターでロンドン五輪にも出場したオスカー・ピストリウスさん。障害を克服して注目と尊敬を集めたわけですが、去年、自宅で恋人を射殺したとして逮捕されました。ピストリウス被告は侵入者と誤認して撃ったと主張し、南アフリカ検察は計画的殺人として起訴しています。

 

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(by Erik van Leeuwen @Wikimedia Commons)

 

その裁判が先日始まりました。それで、アイルランドのブックメーカーの Paddy Power というところが、ピストリウス容疑者がどういう刑に処されるか、という賭けを始めて、新聞に広告を出したんです。

 

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「It's Oscar Time!」という見出しですが、アカデミー賞のオスカーの顔だけピストリウスになっています。もし無罪になったら、外れた賭け金も返金します、というキャンペーンです。

 

しかし、これは趣味が悪すぎるということで、イギリスでは史上最多の苦情が寄せられ、パディーパワーはこの広告をニ度と出さないということにしました。でも、アイルランドではキャンペーンを続けるそうです。

 

パディーパワーはこういうえげつない広告を昔からよくやっていて、2008 年のラグビーW杯ではトンガ代表チームのスポンサーになって選手の一人の名前を法的に Paddy Power に代えてもらったのですが、これは国際ラグビー協会に叱られて登録名は代えることができませんでした。でも、やっぱりものすごく話題にはなった。

 

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それから、デンマーク代表のサッカー選手であるニコラス・ベントナーのスポンサーになって、ゴール・セレブレーションで短パンをずり落としてもらって、下着のゴムのところに書いてある Paddy Power の文字を露出してもらったりとか。

 

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もともとはアイルランドの会社ですけど、今はマーケットとしてはイギリスの方がやっぱり大きいと思うんですね。で、イギリスだとアイルランドの会社がやるやんちゃなマーケティングが大目に見られたりするところがあると思うんですよ。イギリスの会社がやると同調圧力ありますから白い目で見られるけど、アイルランドの会社はトリックスター的な振舞いが許されるというか。

 

ライアンエアのマーケティングもその辺の微妙な線を積極果敢に突いて成功したんじゃないでしょうか。あそこも競合他社に喧嘩売ったりとか、規制当局にかみついたりとか、さんざんやってました。最近、広報の責任者を新しく雇って、品のいいイメージに方向転換するらしいですけど。

 

しかし、人が亡くなった事件を賭けの対象にしているわけで、今回のはやり過ぎと思ってる人が多いようです。アイルランド人留学生が東京でアメリカ人ミュージシャンに殺された事件を覚えてますか。その被害者のお父さんもラジオのインタビューに答えて、とても怒っていたそうです。殺された彼女にも家族がいるのだぞ、と。パディーパワーは、これは殺人についてではなく、裁判についての賭けなんだと言っています。