おとといの日曜日に北アイルランドのヒルスボロという町に行ってきました。六角柱の郵便ポストを見に行く旅です。雨が降っていたのでどうしようかと思ったのですが、思わぬ発見があったので、行ってよかったです。
ヒルスボロ (Hillsborough) はベルファストのちょっと手前にある小さな町です。ダブリンから車で 2 時間ぐらい。ダブリン・ベルファストの幹線道路からちょっと外れたところにあるので、これまで立ち寄ったことはありませんでした。名前も聞いた記憶がなかった。サッカーファンにとってヒルスボロといえば、「ヒルスボロの悲劇」のシェフィールドのサッカー場をどうしても思い出してしまいます。
六角柱の郵便ポストはすぐに見つかりました。メインストリートの突き当たりにあるのですが、メインストリートしか商店街がないからです。
ご覧のように、これは投函口が紋章の上にあるタイプですね。これは六角柱の中でも古いタイプです。手紙が天井に引っかかることが多かったので、後期のモデルでは投函口を紋章の下に配置することで改良を加えました。
ちょっと引いた絵はこんな感じ。
うしろが工事現場の壁になっているので色気のない写真になっております。
このポストはレプリカだって本には書いてあったのですが、ツーリストオフィスでもらったパンフレットにはオリジナルだと書いてある。年季の入り方はオリジナルっぽいけどどっちでしょう。
そんなわけで、小さな町なんですがツーリストオフィスがあるんですね。そこでちょっとした展示を見ていると、係の女性にガイドツアーの営業をかけられ、私も他にすることがないのでほいほいと参加することにしました。
ツーリストオフィスのすぐ後ろにヒルスボロ・キャッスルという建物があって、そのツアーです。この段階では、私はこの建物がなんなのか、わかっていません。あと、キャッスルという名前ですが、お城ではなくてジョージ王朝様式の大邸宅です。
門は閉まっていて、横の警備員詰め所みたいなところから入るのですが、空港みたいなセキュリティチェックがあります。弥が上にも期待感が募ります。
お客さんは結局私一人です。パトリシアさんというガイドさんと、ガイドの見習いの方の計 3 人で回ることになります。
この建物は、もともとは18 世紀半ばにこのあたりの領主さんが建てたものですが、今は北アイルランド担当相の公邸であるとともに、女王が北アイルランドを訪れたときに宿泊する場所でもあるそうです。だからセキュリティが厳しかったんですね。
中は撮影禁止なので写真をお見せできないのが残念ですけど、調度品や絵画など、美しいものばかりでした。ベヒシュタインのピアノもありました。絵画はルーベンス、ジョシュア・レイノルズ、トマス・ゲインズバラ、それからルカ・ジョルダーノの「セネカの死」(下の絵)なんかが飾ってありました (ルーベンス以外は私は聞いたことのないアーチストでしたが)。
それで、偶然だなーと思ったのは、先日サッチャーさんが亡くなったときに、アイルランドのいろんなメディアで、彼女とフィッツジェラルド・アイルランド首相がアングロ・アイリッシュ協定を結んだときの写真が取り上げられました。そのサインをした場所がここだったのです。
2003 年にはブッシュとブレアが 4 日間にわたってここで首脳会議を行ったんですが、北アイルランドの将来について話をしていると思わせといて、イラクに攻め入る相談をしていたそうです。
小さな町なんですけど、歴史の舞台になってるんですね。
ツアーのあと、ヒルスボロを離れて、あたりを車で一回りしたのですが、北アイルランドらしい風景に出会ったのでご紹介します。
これは Clough (クラク) という町で撮影しました。プロテスタント系の住民が多い町では、こんな風に国旗が誇らしげに掲揚されている場合があります。
次の写真も同じ場所で撮りました。メインの被写体はラウンドアバウトの中央に置かれたモニュメントですが、ユニオンジャックの三色が 3 カ所に写り込んでいます。どこかわかりますか?
牛の後ろの木に赤、青、白の布が結び付けられています。それから、奥に続く道路の左に英国旗がひらめいています。最後はちょっとわかりにくいですが、縁石が三色に塗られていますね。
もちろん、アイリッシュ系の住民の多い町では、アイリッシュ・トリコロールが町じゅうに舞っているところもあります。今回は写真に撮れませんでしたけど。
それから、最後はバリナヒンチ (Ballynahinch、ゴルウェーに同じ名前の有名な町がありますが、それとは違います) で撮影したもの。
特に北アイルランドとは関係ないんですが、歯医者さんの看板です。奥歯が踊っています。これなら歯医者さん通いも楽しくなりそうですね。そんなわけないか。