先週のことですが、ボード・ガシュ・シアターでミュージカル『カム・フロム・アウェイ』を見てきました。
2001年、9.11の同時多発テロでアメリカの領空が封鎖され、飛行中の民間旅客機はすべて最寄りの空港に強制着陸させられます。カナダのニューファンドランド島にあるガンダーという小さな街の空港は38機を受け入れました。
見知らぬ町に予期せず降り立つことになった約7000人の乗員・乗客を町の人々がてんやわんやしながらもてなします。領空封鎖が解除されるまでの5日間で突然の非日常に戸惑う人々のドタバタがあり、ロマンスが生まれ、人種に基づく緊張も発生します。テロ現場で消防士の息子が行方不明になった母親の悲しみも描かれます。フィナーレは10年後のリユニオンで、乗員・乗客が今度は自分の意志で再びガンダーを訪れ、町の人々との再会を果たします。
脚本・作詞・作曲はカナダ人のチーム。2人はリユニオンのときにガンダーを訪れ、当時の乗員・乗客や地元の人にインタビューしたそうです。そこで得られた実際のエピソードを組み合わせてひとつのミュージカルに編み上げたとのこと。12人の役者で演じわける100人近くの登場人物も実在の人物に基づいています。
ブロードウェーでは2017年から2022年までのロングラン。トニー賞、ローレンス・オリヴィエ賞、ニューヨーク・タイムズ紙の批評家賞などさまざまな演劇賞を受賞しています。おそらくアメリカやカナダの方にはいっそう胸に来る作品なのではないかと思います。
ボード・ガシュ・シアターでの講演は22日まで。今年の3月には日生劇場で日本人キャストで演じられたそうですね。