たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

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Eircom が民事再生法

景気の悪い話はまとめてしちゃおーっていうことで、今回は Eircom が民事再生法 (にあたるもの) を申請したお話。

 

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Eircom (エアコム) はアイルランドの電信電話会社でもともとは国営の会社でした。日本でいえば NTT みたいなものです。この会社が 3 月の末にもーだめだーっていうことで Examinership (財政に行き詰った会社が、存続のために債権者の取り立てからの一時的な保護を裁判所に申請する仕組み。これはアイルランドの言い方で、イギリスだと Administration) を申請しました。

 

Eircom はですねー、サービス悪いんですよ。嫌な思い出がいっぱいある。

 

私が初めてアイルランドで家を借りたときに (当時は安かったので家ごと借りた) 電話を引こうとしたんですが、Eircom の前身のテレコム・エアレンに電話したら、7 週間かかるって言われたんです。独占企業ですからしょうがないってことで 7 週間待ちました。それで、予定の日に来るかっていうと来ないんです。2 回ぐらい延期されました。当時は私も時給で働いてたので、半休をとって家で待ってたんですけど、当日になって「今日は無理」って言いに来るんですよね。

 

それから、会社を始めて、ISDN を引いてたんですけど、ISDN は一年契約で、一括して前払いする取り決めだったんですね。しばらくして、エアコムが ADSL のサービスを始めるっていうんで、申し込んだんですよ。そしたら、私の事務所のあるエリアはまだサービス対象じゃないって言われました。ダブリンの中心部にあったのにですよ。そしたら、次の ISDN の契約を更新したとたん、「ADSL が利用できるようになりましたー」って勝ち誇ったように連絡きました。あれ、絶対、うちが契約更新するの待ってたよな。

 

それから、アイルランドは 2002 年 1 月からユーロに移行したんですけど、2001 年の後半には移行期間ということで、どの会社も請求書にはユーロとポンドを併記していました。ところが、エアコムから来た何かの請求書には金額がひとつだけ書いてあって、ポンドかユーロかの表記もないんです。もうこの頃にはエアコムに愛想を尽かしてたし、ユーロの方が価値が低かったから (100 ユーロと100 ポンドだったら 100 ユーロの方が安い)、私は銀行が既に送ってきてたユーロの小切手を送りました。そしたら何も言ってこなかった。

 

これまでずっと、ユーロで送ったのに何も言ってこなかった、得したなー、と思っていたのですが、もしかしたら実際にユーロの金額が請求書に書いてあって、ポンドの小切手を送ってきたらラッキーみたいなノリだったのかもしれません。さすがにそれはないかと思うんだけど、そうかもしれないと思わせるのがエアコムの凄いところ。

 

先週あたりの新聞にエアコムのことをいろいろ書いてあった。手元にないので詳しく書けないんだけど、まず、エアコムのもろもろにおいて勝ち組は国。1999 年というバブルまっただ中で民営化して上場したので、けっこう高い値段で売れた。それから従業員。なんかの積立金だか福利厚生のお金をそのままもらったらしい。

 

2001 年に上場廃止になったので、エアコム株を買って保持していた個人はみんな損をしてしまった。そういう人はエアコムにはいい気持ちを持っていないだろうとも記事には書いてあった。

 

2005 年ごろにはスイスの元国営企業であるスイスコムが買収するっていう話があったんだけど、スイス政府がこれを阻止した。これはスイス政府のグッドジョブ。そうでなければスイスコムの株主は大損こいてただろうから。

 

このときにスイスコムの買収をあてにしてエアコムの株を買いこんでた (2004年に再上場してたから) のがオーストラリアの投資会社のバブコップ & ブラウン。スイス政府に梯子を外されて、しょうがないっていうんで自分たちで経営権を握った。そのバブコップ & ブラウンも 2009 年ごろに破産。今はシンガポールの会社が経営権をもってたのかな。

 

うーん、ランドラインはエアコムしか選択肢がないから、今でもエアコムと契約はしてるんだけど、私はなるべくならエアコムにお金を払いたくない。そういう人はもしかしたらけっこういるかも。どうだろう。エアコムが倒産しても、あんまり同情する気になれない。