たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

父のこと

父が亡くなったので、日本に一時帰国しています。

4 月 30 日の土曜日、帰宅すると妹からメールが届いており、父が亡くなったと。急いでインターネットで翌日早朝のフライトを取り、お通夜とお葬式には間に合いました。

心臓の持病があったというものの、その日まで犬の散歩に行ったり普通の生活を送っていました。父と母は別の部屋に寝ているのですが、夜になって急に気分が悪くなったらしく、起きてきて、近所の病院で診てもらえるか電話で聞いてくれと母に頼みました。そのときはもう寝間着から普段着に着替え、入院グッズの詰まったバッグを持っていたそうです。

いったんは歩いて行きかけたんですが、やっぱりダメだということで救急車を呼ぶことに。病院に着いたころにはかなり苦しそうだったので、母親はお医者さんに「子供にも連絡したほうがいいでしょうか」と尋ね、妹に電話しにいって (母は携帯もっていない)、戻ってきたら「ご臨終です」と言われたそうです。

外国に住んでいる私は死に目に会えないことは覚悟していましたが、車で 30 分ぐらいのところに住んでいる妹も間に合わず、長年連れ添った母にサヨナラを言う時間もありませんでした。

最期まで寝付きもせず、ボケもせず、あっという間に逝ってしまうというのは、無口でなるべく人に迷惑をかけないように生きてきた父らしい気もします。

父は学校を卒業してから定年まで地方銀行に勤めていました。年金を結構もらっていたので、退職後は犬と散歩したり庭いじりしたりで悠々自適で暮らしていました。去年、妹夫婦に子供ができて、初孫の顔を見ることができたのが、なによりも嬉しいことだったのではないでしょうか。

父はお酒が飲めなかったこともあって、家族で外食をしたことはあまりありません。聞いたら、利益率が高いと言われるお酒を頼まないのでお店の人に悪い気がするから外食したくなかったそうです。

父と二人だけでどこかに出かけた記憶はほとんどないんですけど、小学生のときに高校野球の県予選を見につれていってくれたのは覚えています。ちょうど江夏がオールスターで9連続三振を奪った次の日で、近くにすわっていた見知らぬおっちゃんが「昨日の江夏みたいなピッチャーはおらんかのー」とつぶやいていました。

あとは、去年二人で本家の墓参りに歩いていったことでしょうか。帰り道に父がちょっと面白いことを行って、二人で笑ったのが最後の思い出になりました。