たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

オールド・マン・ベルフィールドの死 – 後日談

 

 

1月に、UCDキャンパスに住み着いていたホームレスのマイケル・バーンさんが亡くなった記事を書きました。

 

tarafuku10.hatenablog.com

 

その後も、いくつか興味深い話が出てきているのでご紹介します。

 

まず、90年代に暴漢に襲われそうになったところをバーンさんに助けられた女子学生の話。

 

www.independent.ie

 

1990 年代にUCDの教養学部の2年生だったジゼル・スカンロンさんは、演劇部の友人に会うためにベルフィールド・キャンパスに向かっていました。天気はすごく悪くて、犬さえ出歩かないような状況です。

 

暗い人気のない場所に差し掛かったとき、黒髪の背の高い男が現れ、彼女に襲い掛かります。胸のあたりを両手で抱えて、地面に押し倒したのだそうです。ちょうどラグビーのタックルのような要領で。

 

彼女は最初、友人がふざけてそんなことをしているのかと思いましたが、すぐに身の危険が迫っていることに気付きます。

 

そこにもう1人の男が現れ、彼女の助けに入ります。それが、マイケル・バーンさんでした。バーンさんは暴漢を彼女から引きはがし、脇に放りなげました。殴ったりということはありません。バーンさんはその間一言もしゃべらず、スカンロンさんによれば、まるで禅僧のような振舞いだったそうです。暴漢は反撃せず、走って逃げました。

 

スカンロンさんは、そのときのバーンさんのフレンドリーな態度は忘れられないといいます。彼女によれば、バーンさんは誰よりもやさしい目をしていたそうです。

 

危険が去った後、彼女は友達のいる場所に向かうのですが、バーンさんは彼女を見守るように少し離れて後ろから付いてきてくれたそうです。

 

目的地に着いた彼女は、お茶でもどうかとバーンさんを誘うのですが、彼は首を横に振ります。「彼はとても物静かで気取りがないので、会話することは不可能でした。彼はとてもシャイだったのです」

 

こうした出来事は人を変える、とスカンロンさんは言います。この事件のあと、彼女は自分だけでなくキャンパスのすべての人の安全が第一だと考えるようになります。飲みすぎたりすることもなくなりました。

 

時は流れ、ほんの3年ほど前、ドニブルックのバス停で、彼女はバーンさんとばったり出くわします。彼女はバーンさんに話しかけます。「あなたは覚えていないと思いますが、ある風の強い夜、UCDで、あなたは私にとても親切にしてくれました」

 

このとき、バーンさんはしゃべったそうです。「お礼には及びませんよ。そういうことはよくあることです」。聞き間違えようのないダブリンのアクセントだったそうです。

 

2人は同じバスに乗り、彼女はリーソン・ストリートで降り、バーンさんはそのままシティセンターに向かいました。スカンロンさんにとって、それがバーンさんを見た最後になりました。

 

 

f:id:tarafuku10:20210222223653j:plain

マイケル・バーンさん a.k.a Old Man Belfield



それから、こちらも驚くような話ですが、自分はバーンさんの息子ではないか、という男性が名乗りでて、DNA テストを受けています。

 

www.independent.ie

 

これが2月初めの記事で、テストの結果が出るまで数週間かかるとありますから、いまはそれを待っているというところのようです。

 

2021年4月18日追記

DNAテストの結果、バーンさんの子供ではないかと名乗り出てた方は、結局息子さんではないことがわかりました。

www.independent.ie

 

アイルランド情報 人気ブログランキング - 海外生活ブログ