先日、英BBCがコメディ番組で二重被爆の男性を取り上げた件について書いたのですが、今日はその余談というか雑談というか、とりとめもなくイギリスのお笑いについて。
イギリス人はやっぱり冗談がきついらしくて、またサッカーの話で恐縮なんですけど、オーストラリア人とか英語圏の他の国の人がプレミアリーグのチームに移籍すると、英国人選手同士がロッカールームで相手をけなすようなきっつい冗談を言い合ってるのを見て、ひいちゃうぐらいびっくりするらしい。
テレビでもいろんな国をネタに笑ってて、これは日本だけじゃなくて、ドイツやフランスなど昔からのライバル国もターゲットにされるし、アメリカ人のゲストがチャットショーにゲストで出てくると、最初に必ず意地悪な質問をされる。まあこれも、「アメリカは昔は植民地だったくせに今は生意気だよなー」みたいな気持が見てる人にあるかもしれないので、イジることで包摂を試みてるといえるかもしれないけど。オーストラリアとか、昔のタモリさんの名古屋いじりぐらいむちゃくちゃ言われる。
アイルランドはやっぱり遠慮があるのかあんまりネタにされないんだけど、アイルランド・ネタで覚えてるのは、『トップギア』(自動車情報番組) がアイルランドで初めて収録するときに、司会のジェレミー・クラークソン (イギリス人) が、「この国の道路はみんなおれたちが作ったんだよね」と言って、一瞬場内に緊張が流れた。普通に考えれば、これはイギリスが植民地アイルランドの道路を整備したって意味だから。そこで、クラークソンが「いやいや、EUの補助金のことを言ってるんだよ」ってオチをつけた (アイルランドはEUから補助金いっぱいもらって道路つくった)。そしたらアイルランド人観客の一人が「あんたの国の道路もおれたちがつくったんだよね」って言って場内がどっとわいた (アイルランド人は出稼ぎでイギリスにいって作業員やった人が多くいた)。これは、もしかしたらオンエアされたんじゃなくて、公開録画会場だけのやりとりだったかもしれない。私は記事で読んだだけなので。
コメディアンだったら何を言っても許されるというわけではもちろんなくて、「ちょっとそれはやりすぎだろう」みたいな批判が起きることもあります。
たとえば、あるコメディアンが北京オリンピックの水泳で金メダルを獲ったレベッカ・アドリントン選手 (下の写真) のことを「スプーンに映した顔のよう」と表現したんですが、これにアドリントン選手自身が文句をつけて議論になってた。若い女性の容姿をネタにしたこと、その人が有名人とはいえ芸能人ではなくスポーツ選手だったので、議論になったんだと思いますが、ただこれは、本人が異議を申し立てなければそのままスルーだったかなと思います。この件ではたぶんコメディアンも特に謝ったりしてないと思う。
実際に番組を降ろされちゃったのは、ラッセル・ブランドとジョナサン・ロス。この2人がラジオの番組であるお爺ちゃん俳優(79歳)に電話を掛け、留守番電話につながったので、ブランドが「おれはあんたの孫娘と寝たことがあるぞ」(寝たのは本当らしい)とか、どんなセックスをしたかとかメッセージに吹き込んだ。ロスは隣で「彼はあんたの孫娘をf*ckした」とか叫んだりして。さすがにこれは苦情がいっぱいきて、ブランドはBBCの番組を全部降り、ロスは3ヶ月ぐらい謹慎をくらった。生放送じゃなくて事前録音番組だったこともあってBBCも監督機関に罰金を支払った。
アイルランドでも、トミー・ティアナンっていうコメディアンがユダヤ人のジョークを言ってそうとう揉めたんだけど、この人は今もRTEで番組を持ってます。