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アカデミー賞の発表とアイルランド・ジョーク

 

先日、アカデミー賞の発表がありましたが、9つのノミネートを獲得していた『イニシェリン島の精霊』は残念ながら無冠に終わりました。受賞の可能性があると言われていたのは助演女優賞のケリー・コンドンと作曲賞でしたが、どちらも『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』に賞をさらわれました。

  

今回、アイルランド映画アイルランドの映画関係者は14のノミネートを得ていたのですが、見事に賞に輝いたのは短編映画賞の『An Irish Goodbye』と視覚効果賞のリチャード・べーナムさん(『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』)。ベーナムさんはダブリンのタラの出身です。

 

『An Irish Goodbye』は、母親の死後、2人の兄弟が彼女のバケット・リストをかなえるために遺灰をもってさまよう話なのですが、兄弟のひとりを演じたジェイムズ・マーティンさんはダウン症なんですね。オスカーを受け取るために2人の監督や兄弟役の共演者と共に壇上に登ったマーティンさん。この日がちょうど誕生日だったようで、監督のひとりが観客に彼のために「ハッピーバースデー」を歌ってあげてほしいというと大合唱が起こりました。観客っていったって、そこにいるのは映画関係者ばかり。並みいる大スターが勢ぞろいしているわけですから。

 

 

ちなみに Irish Goodbye というのは英語のスラングで「誰にも告げずに突然パーティーを去ること」を意味するそうです。

 

さて、今回のアカデミー賞アイルランド関係の映画人がたくさんノミネートされたんで、アメリカでいろいろいじられているようなんですね。

 

まず、人気コメディー番組の『サタデー・ナイト・ライブ』で、インタビューを受けるグリーソンとファレルを茶化すスケッチが放映されました。2人が何やら早口でしゃべっているのですが、何を言っているのかはまったくわかりません。タモリさんの四か国語麻雀の要領でアイリッシュ・アクセントに聞こえるような無茶苦茶な言語を2人に扮したコメディアンがしゃべっているのです。しゃべり終わったところでホスト役が「彼らはまだ酒を飲み始めてすらいないのですよ」と言って終わります。

 

アカデミー賞の授賞式では司会のジミー・キンメルがオープニングのスピーチで、「今年は素晴らしい多様性の年だね。ダブリンのあらゆる場所から受賞候補者が集まった」(ダブリン出身じゃない人もいるので必ずしも正確ではないのですが)。「5人のアイルランド人俳優がノミネーションを受けてここにいる。(去年のように)暴力沙汰が発生する確率は高まった」。

 

サタデー・ナイト・ライブ』では「アイルランド人は酒飲みだ」、キンメルは「アイルランド人はけんかっ早い」というステレオタイプをいじっているわけです。

 

こうしたジョークにはアイルランドではかなり真面目に反発があるようで、アイリッシュ・インデペンデントは社説で「ハリウッドはアイルランド人のステレオタイプについてアップデートすべきだ」なんて書かれています。

 

www.independent.ie

 

アイリッシュ・フィルム・インスティチュートでは、映画関係者がみんなで授賞式を見てたそうなんですが、キンメルのジョークの場面では不満の声があがっていたようです。

 

 

www.dublinlive.ie

 

 

 

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