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タラモアの殺人事件

 

 

ここ数日間、オファリー県のタラモアで起きた殺人事件が大きなニュースとなっています。

 

事件が起きたのは水曜日の午後4時ごろ。被害者は23 歳の女性でアシュリン・マーフィーさんという方。タラモア近郊の運河沿いにジョギングに出たところを襲われて命を奪われました。犯人はまだつかまっておらず、動機等についてはまだわかっていませんが、警察では単独犯による通り魔的な犯行だとみています。性的暴行の痕跡はありません。

 

マーフィーさんは地元の小学校の先生であり、トラディショナル・ミュージックの演奏で舞台も踏んでいたので、地元ではよく知られた方だったようです。前途ある若い女性が午後4時というまだ明るい時間に殺害されたということで、タラモアのみならずアイルランド全体にショックが走っているというわけです。

 

事件の直後、1人の男性が容疑者として逮捕されました。新聞にはまず40代の男性と出て、その後、ルーマニア人だという報道が出ました。ちなみに、日本では容疑がほぼ固まってから逮捕しますが、アイルランドでは日本に比べるとすぐに逮捕して、法律に従って24時間だか48時間だか拘束して取り調べを行い、起訴も何もせずに釈放ということはよくあります。

 

この人は2日間の取り調べの後、事件には関係ないとして釈放されました。どうも目撃者が犯人はこのルーマニア人男性に似ている (もしかしたら名指ししたかも) と証言したらしいんですね。この男性は以前暴力事件を起こしたことがあったそうです。SNS 上ではこの男性を特定して犯人と決めつけた上でひどい言葉が投げかけられていたようです。それで、これは異例のことなんですが、警察も釈放時のコメントとして「この男性は事件といっさい関係ない」という言葉を付け加えました。

 

この男性はちょうど事件が起きたころに、隣人とコンビニにミルクを買いに行っていました。つまり、具体的なアリバイがあったわけです (おそらく監視カメラにも映っていたでしょう)。でも、家で家族とテレビを見ていたとか、確固としないアリバイしかなかったらもう少し難しいことになっていたかもしれません。

 

この男性は、釈放当日は念のために家に帰らず、ホテルで一夜を過ごしました。その後、名前と写真を出して取材に答え、自分の口で身の潔白を表明し、マーフィーさんへのお悔やみの言葉を述べています。

 

その後、新しい容疑者が見つかっています。この男は事件当日の夜に病院にやってきました。マーフィーさんが抵抗して体に傷がついていたようなのですね。医者は最初は自傷の傷だと思ったようですが、どうも変だということで警察に連絡したようです。男が精神的・肉体的に調べに応じられるようになってから尋問を始めるとしています。男はオファリーに実家があり、現在はダブリンに住んでいます。医者が自傷だと思ったとかいうのを見ると、もしかしたら精神的に不安定な人なのかもしれません。

 

マーフィーさんの死を悼み、アイルランドのみならず、ロンドン、エジンバラ、ニューヨーク、ドバイ、ブリスベンなどでもお祈りの集会が開かれています。金曜日にタラモアで行われた集会には数千人が集まりました。ダブリンの国会であるレンスター・ハウスの前にも数千人が集まって祈りを捧げました。

 

また、今回の事件に関連して、女性に対する暴力やフェミサイドの問題が新聞でもさかんに取り上げられています。ヘレン・マッケンティー法務大臣は、ジェンダーに基づく暴力について「ゼロ・トレランス」のアプローチで臨むことが政府の新しい戦略の柱である、と述べています。

 

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