扁桃腺の手術を受けたオーストラリア人の若い女性が麻酔から覚めたところ、アイルランド訛りでしか英語をしゃべれなくなったというニュース。
この女性は、An Gie Yen さんというアジア系の人。職業は歯医者さんで27歳。アイルランドには行ったこともありません。
専門家の話によりますと、これは外国訛り症候群 (foreign accent syndrome) という珍しい症状のようです。
この症状について最初に報告したのは ピエール・マリーというフランス人神経科医で1907年のこと。外国訛り症候群は脳卒中の後に発生することが多いのだが、頭部外傷、片頭痛、てんかんなどの発作、口や顔の手術の後に発生することもあるとか。本人の自然な訛りが消え、異なる声調、イントネーション、発声方法でしゃべるようになるということです。
世界でこれまで100例ほどが報告されており、男性より女性の方が多いそうです。2013年には、深刻な片頭痛の結果、中国アクセントで話すようになったデボンの女性についてBBCがドキュメンタリーを制作していますし、2016年にはテキサスの女性が顎の手術のあと、イギリス訛りでしゃべるようになった例が報告されています。
専門家によりますと、これは本当の外国訛りでしゃべっているのではないとのこと。発声やイントネーションが変化し、それがたまたまどこかの外国の訛りに似ているということらしいです。そりゃそうですよね。
Yen さんは TikTok でその症状を報告してくれています。その動画はこちらから。
確かにアイルランド、特に北アイルランドのアクセントに聞こえますね。
Yen さんは念のため MRI と血液検査を受け、耳鼻科の先生にも診てもらって、特に神経的な問題ではないことを確認してもらうようです。
ずいぶん前に聞いた話ですが、アイルランドの西部の出身でアイルランド語を母国語とするおばあさんが、脳卒中を患った後、アイルランド語はしゃべれなくなったが習得言語の英語はしっかりくしゃべれた、みたいな話を聞いたことがあります (逆だったかもしれません)。
追記:
foreign accent syndrome の日本語の正式な用語は「外国語様アクセント症候群」だそうです。