昨日に続いてダブリンの名物的存在の方がお亡くなりになった話です。一昨年の夏に引退するまで60年間にわたってダブリン1区のカンバーランド・ストリート・マーケットで露店を出していたテシー・キャロルさんが亡くなりました。88歳。
上のアイリッシュ・タイムズの記事には、彼女が店を畳む日に取材した動画も掲載されています。威勢のいい声でユーモアを交えながら呼び込みをするテシーさんの姿が映っています。
カンバーランド・ストリートでは毎週日曜にマーケットが開かれるそうですが (おそらく現在はコロナのために休業中)、私は残念ながら行ったことがありません。テシーさんは古着や小物を売っていたそうです。正直言うと、私はダブリンにまだ古着を売っているマーケットがあることに少し驚きました。動画を見ていただければわかりますが、おしゃれ系の古着ではないです。1990年代まであったアイヴィー (Iveagh) マーケットがそんな感じでしたけれども。
テシーさんはカンバーランド・ストリートのことを単純にザ・ヒルと呼んでいましたが (坂になっているのかな?)、「The Cobbles」とか「The Tuggers」とも呼ばれていたそうです。「The Cobbles」というのは昔はここが敷石 (cobbles) の道だったから。「The Tuggers」というのは綱引き (Tug-of-War) からで、昔はお客さんが商品の衣類を取り合って綱引きのように両側から引っ張り合うようなこともあったからだそうです。
彼女の旦那さんは CIE (公共交通機関を取り仕切る官営会社) に勤めていたのですが、それだけでは暮らせないので売れる物を集めて露店を出したのが始まりだとか。バザーやオークションなどで商品を仕入れていたようです。
テシーさんが引退するときには、ダブリン市長官邸に招かれ、特別な式典が行われたとか。そこには、テシーさんの大好きな歌手のレッド・ハーリーもサプライズ・ゲストとして登場。
ロックダウンのせいで参列者の数に制限があるので、「クイーン・オブ・ザ・ヒル」とあだ名された彼女の人生にふさわしいお葬式を執り行うことができないのが残念です。