昔、『ヤヌスの鏡』というテレビドラマがありました。昼間は気弱で真面目な優等生、夜は凶悪な不良少女という二重人格の女子高生が主人公でした。
ヤヌスはローマの神様で、始まり、または門をつかさどるとされます。英語の January はこの 神の名 (Janus) に由来します。英語では「ジェイナス」のように読みます。2 つの顔を持つとされ、物事の内と外を同時に見ることができるとか、1つの顔は過去を振り返り、もう1つの顔は将来を見据えているといわれます。
以前からご紹介しているスージー・デント著の『Word Perfect』を読んでいたら、「Janus Word」という言葉が出てきました。
これは、文脈によって正反対の意味を持つ単語のことだそうです。
たとえば、「Leave」。「立ち去る」という意味もありますが、「そのまま残す」という意味にもなります。
たとえば、「Clip」。複数のものをまとめてクリップで留めるという意味もありますが、「切り取る」という意味もあります。
それから「Fast」。「しっかり固定する」という意味もあれば、「素早く動く」という意味もあります。
それから「Custom」。「普段どおり」という意味もあれば、「特別にあつらえた」という意味もあります。
それから「Dust」。「ほこりを払う」という意味もあれば、「ほこりをまぶす」という意味もあります。
「Overlook」。「見落とす」という意味もあれば、「見渡す」という意味もあります。
そして、「Screen」。「隠す」という意味もあれば、「表示する」という意味もあります。
また、もともとは悪い意味で使われていた「Wicked」や「Sick」が、今はいい意味でも使われたりします。これは日本語の「ヤバい」も同じか。
「Janus Word」は、Wikipedia の英語版では「Auto-antonym」という項目にリダイレクトされますね。ほかに、「Contronym」という言い方もあるようです。