2020年6月1日付のアイリッシュタイムズに、アイリッシュ・ウイスキーの2019年の全体的な販売量や銘柄別の販売量について記事が掲載されていましたのでご紹介します。見出しは、「アイリッシュ・ウイスキーの販売量が、年間1,200万ケースのマイルストーンに近づく」(Irish whiskey sales near milestone of 12m cases a year) です。
以下、記事の要約です。
アイリッシュ・ウイスキーの販売量が、年間1,200万ケースという史上最高記録に近づいた。(注: 1ケースは9リットル。750ml入りのビンが12本ということです)
銘柄別のトップはジェムソン。コナー・マクレガー(MMAの選手)のプロパーNo. 12 (ナンバー・トゥエルヴ)が多くの人気銘柄を追い抜いて4位に躍り出た。
ジェムソンの昨年の販売量は800万ケース(2018年は720万ケース)。2位のタラモア・デューは150万ケースを世界で売り上げた(2018年は130万ケース)。
821,500ケースを販売したブッシュミルズが3位。そして4位がプロパーNo. 12。前年は38,200ケースに過ぎなかった売り上げが、今年は213,800ケースへと急増。
マクレガーのウイスキーの売り上げはトップ3には遠く及ばないが、販売市場が拡大したことで、パディー、パワーズ、ティーリング、レッドブレスト、ダブリナーなどの銘柄を追い抜いた。
5位がパディー、6位がキルベガン。販売量はそれぞれ185,000ケースと133,100ケース。
アイリッシュ・ウイスキーの全体の売り上げは、2018年と比較して2019年は10.6%増加した。
この統計を発表したIWSRドリンクス・マーケット・アナラシスでは、Covid19の影響で2020年の売上高は減るだろうと見ている。
しかし、IWSRのリサーチ・ディレクターのハンフリー・サージャントソンによれば、売り上げの不振は長くは続かず、2022年には2019年のレベルに回復するだろうとのこと。
アイリッシュ・ウイスキー協会(IWA)のウイリアム・ラベル氏によれば、米国がアイリッシュ・ウイスキーの市場として圧倒的に最大であることには変わりはないが、他の地域でも売り上げは大きく伸びているという。
「昨年、中欧/東欧では、売り上げが18%と大きく増加した。これは世界の伸びの3分の1を占める。この地域が米国に対抗できる市場であることが改めて確認された」
アイルランド国内での2019年の売り上げは、1.5%増加して59万ケースとなった。ジェムソンは2018年の235,400ケースから250,000ケースへと6%の増加。2位はブッシュミルズだが、売り上げは96,000から82,000へと減った。3位のパワーズも3%減らして80,000ケースの出荷にとどまった。
4位のパディーは15%増加して50,000ケース。5位のティーリングは13%増加して22,000ケース。
プロパーNo. 12のアイルランド国内の売り上げは24%上昇したが、銘柄別の順位では19位。
ジェムソン、パワーズ、レッドブレストなどのブランドを抱えるアイリッシュ・ディスティラーズ社の最高経営責任者コナー・マクェイド氏は、2019年のデータは、業界の多様化が引き続き進み、スコッチ・ウイスキーとアイリッシュ・ウイスキーの差が縮まったことを示していると言う。
現在の状況は業界にとって厳しいものだが、必ず回復することは間違いない、とマクェイド氏は自信を持っている。
「何十年にもわたって衰退を続けたアイリッシュ・ウイスキーの業界が、ここ10年で著しく復活し、輸出を牽引力として成長した。この傾向は続くと信じている。しかし、今後数か月における業界の最優先事項は、既存の主要マーケットで売り上げを再び活性化させることだ。これには、アイルランド国内市場も含まれる」。
以上です。
(2017年8月26日、コナー・マクレガーvsフロイド・メイウェザー戦の当日、ダブリンのテンプルバーで即興で絵を描く大道絵師)