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3月8日の国民投票

アイルランドでは憲法改正を問う国民投票が3月8日に行われます。

 

変更が提案されているのは2点。

 

まず、「家族(family)」とは婚姻だけではなく持続的な関係 (durable relationship) に基づく場合もあることを明記しようとするもの。もう1つは、これまで家庭におけるケアは女性の役割のように読める条文があるのですが、そこから性別への言及を削除して描き直すということです。1837年に憲法ができてから、39番目と40番目の改正案ということになります。

 

詳しくは英語ですがこちらのWikipedia ページをどうぞ。

 

政権政党のフィネ・ゲール、フィアナ・フォイル、緑の党は両方の改正にYes。新フェインは党の総会を経て文言に不満はあるものの両方にYes。労働党社会民主党、ピープル・ビフォア・プロフィットも支持。

 

反対しているのは小さい政党ばかりですが、Aontú、インデペンデント・アイルランドなど。またカソリック教会も反対。改正されると結婚のインセンティブが弱まり、憲法から母性が取り除かれるというのが理由。

 

世論調査によればYes/Yesが圧倒的。問題なく改正案がとおりそうです。

 

以下、記録用に街のポスターの写真を掲載します。

 

 

 

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2024年2月に見た映画

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3本見ました。

 

アメリカン・フィクション (2023 年、アメリカ)

2/14 at Light House Cinema

監督: コード・ジェファーソン

出演: ジェフリー・ライト、トレイシー・エリス・ロス、ジョン・オーティス、エリカ・アレクサンダー、アダム・ブロディ、レスリー・ウーガムス、キース・デイヴィッド、アイサ・レイ、スターリング・K・ブラウン

裕福な医者の家系に生まれ、自分は作家になった中年の黒人男性が主人公。最近は執筆のほうはあまりぱっとせず大学で創作を教えていたりもする。不平等な社会を告発するようなありがちな黒人文学を蔑んでいるのだが、そうした小説がもてはやされる風潮を痛烈に風刺する目的で似たような小説を偽名で発表したらリベラル・エリートに大受け。多額の契約金を提示され、トントン拍子で映画化まで話が進む。

 

PERFECT DAYS (2023 年、日本)

2/23 at Light House Cinema

監督: ヴィム・ヴェンダース

出演: 役所広司柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未石川さゆり三浦友和あがた森魚モロ師岡田中泯松金よね子柴田元幸

トイレ掃除人の平山は規則正しい毎日を淡々と過ごしている。無口。寝る前に本をよみ、カセットテープで70年代の洋楽を聞き、仕事が終わればいきつけの酒場に一杯やりにいく。若くてちゃらんぽらんな仕事の相棒や家出してきた姪っ子との交流から平山の人と成り、そして彼の過去が徐々に明らかになっていく。あがた森魚のギター伴奏で石川さゆりが『朝日のあたる家』を日本語で歌うところが個人的にハイライトでした。

 

Dune: Part 1 (2021 年、アメリカ)

邦題: DUNE/デューン 砂の惑星

2/29 at Light House Cinema

監督: ドゥニ・ヴィルヌーヴ

出演: ティモシー・シャラメレベッカ・ファーガソンオスカー・アイザックジョシュ・ブローリンステラン・スカルスガルドデイヴ・バウティスタ、スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソンゼンデイヤチャン・チェン

DUNE: Part 2 が公開されるので予習ということで見に行きました。前にデビッド・リンチ監督で映画化されたときにスティングが出ていて、確か劇場で見たような記憶があるのだが定かではない。スティングが主役だったという記憶だったのだが今調べたらカイル・マクラクランが主役だった。Part 2 も見に行きます。

 

 

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象の置物を買いました

 

象の置物を買いました。体高30cm弱。象にはボディペインティングがしてあって、青空をバックにアイルランドの郵便ポストが描かれています。郵便好きの私としてはずっとほしいと思っていたのですが、高くて買えませんでした。正価は258ユーロだったと記憶しています。しばらくするとそれが半額になりました。それでも129ユーロなので手がでません。これはもう少し待てばもっと下がるのではないかと定期的にこのお店に通っていたのですが、ついに昨日、49ユーロまで値下げされていたのです。即決で購入しました。

 

買った場所はジャービス・ショッピング・センターにある Carraig Donn というお店。女性向けのファッションや室内装飾品などを売っています。お土産や贈答品向けにも使える商品が多いので、客層としてはキルケニー・ショップと同じあたりを対象にしているのだと思います。

 

象の反対側には昔の電話ボックスが描かれています。電信電話と郵便は昔は同じ省庁で管理されていましたから。こういうのってどうでしょう、女性よりも男性の方がこういうのを好むような気がしますが。郵趣コレクター的な。

 

 

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2024年1月に見た映画

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Priscilla (2023 年、アメリカ)

1/4 at Light House Cinema

監督: ソフィア・コッポラ

出演: Cailee Spaeny, Jacob Elordi

エルビス・プレスリーの妻だったプリシラプレスリーの伝記映画。ドイツで彼が兵役についていたときに出会ってから離婚するまで。プリシラはお父さんが軍人だったんですね。先月見た『マリー・アントワネット』もそうだったけど、世間的には大きなストーリーの脇役として世間に認知されていた女性にソフィア・コッポラは声を与えていくんですね。

 

Fallen Leaves (2023 年、フィンランド・ドイツ)

邦題: 枯れ葉

1/8 at Light House Cinema

監督: アキ・カウリスマキ

出演: Alma Pöysti, Jussi Vatanen

アキ・カウリスマキの新作。冴えない中年男女の恋物語。ラジオからはロシアがウクライナに侵攻したというニュースと、世界各国の懐メロがきこえてくる。日本からは『竹田の子守歌』。

 

Next Goal Wins (2023 年、フィンランド・ドイツ)

1/11 at Light House Cinema

監督: タイカ・ワイティティ

出演: Michael Fassbender, Oscar Kightley, Kaimana

2001年にはオーストラリアに31対0で敗北したアメリカ領サモア・サッカー代表。2011年にアメリカ・サッカー協会から派遣されたオランダ生まれのトーマス・ロンゲンが監督に就任。彼のもとでチームを再建してトンガに2-1で勝利するまでの実話に基づく物語。細身のロンゲンに寄せたのか、主演のマイケル・ファスベンダーもちっさくなってて、最後まで彼だと気づかなかった。サモアには伝統的に一部の男の子を女の子として育てる習慣があって、こうした人たちはファファフィネ(Faʻafafine)と呼ばれる。サモアには3000人ほどいるらしい。トンガに勝ったチームにもファファフィネが1人いて、映画でも主要な役割を演じる。

 

Poor Things (2023 年、イギリス・アメリカ・アイルランド)

邦題: 哀れなるものたち

1/18 at Light House Cinema

監督: ヨルゴス・ランティモス

出演: エマ・ストーンマーク・ラファロウィレム・デフォー、ラミー・ユセフ

原作はアラスター・グレーの同名の小説 。マッドな医学者のゴッドウィン博士は、川に身投げした臨月の女性ベラを蘇生し、胎児の脳をベラに移植するという実験を行う。急速に知性を発達させたベラは放蕩な弁護士のダンカンと共に駆け落ち。世界を旅しながら自我に目覚めていく。

 

All of Us Strangers (2023 年、イギリス)

1/27 at Light House Cinema

監督: アンドリュー・ヘイグ

出演: アンドリュー・スコット、ポール・メスカル、ジェイミー・ベルクレア・フォイ

山田太一の『異人たちとの夏』が原作。日本では大林信彦監督、風間杜夫主演で映画化されました。主人公と性的な関係になる相手役が同性になるなど脚色は入っているみたい。主演の2人はアンドリュー・スコットとポール・メスカルというアイルランド人コンビ。ジェイミー・ベルはロンドンの下町のお父さん役が板についている。

 

The Zone of Interest (2023 年、イギリス)

邦題: 関心領域

1/29 at Light House Cinema

監督: ジョナサン・グレイザー

出演: クリスティアン・フリーデル、ザンドラ・ヒュラー

アウシュビッツ収容所の所長だったルドルフ・ホスは家族と共に収容所のすぐ隣の庭付きの一軒家で暮らしていた。収容所内の様子はいっさい描写されないのだが、なんでもない家族の風景のバックグラウンドには銃声や悲鳴や機械の音が常に聞こえている。原作はマーティン・エイミスの同名小説。原作にはホスの名前は出てこないのだが、監督のジョナサン・グレイザーはホスの名前を出すことを決定。資料をあたるなど10年をかけてこの映画を準備したそうだ。

 

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2023年9月~12月に見た映画

 

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The First Slam Dunk (2022 年、日本)

9/3 at Light House Cinema

監督: 井上雄彦

出演: 仲村宗悟笠間淳、神尾晋一郎、木村昴三宅健太

甘酸っぱい青春系のアニメはよく見ているのだが、スポ根もののアニメを最後に見たのはいつか覚えていない。私はスラムダンクは漫画も読んだことないけど、たいへんおもしろかった。

 

Killers of the Flower Moon (2023 年、アメリカ・イギリス)

邦題: キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

10/25 at Light House Cinema

監督: マーティン・スコセッシ

出演: Leonardo DiCaprio, Robert De Niro, Lily Gladstone

スコセッシの新作。居住地に石油が出たことで大金を得た先住民の部族とそこに取り入ろうとする白人の一族。遺産を相続するために連続殺人が始まる。

 

Saltburn (2023 年、アメリカ・イギリス)

11/23 at Light House Cinema

監督: エメラルド・フェネル

出演: Barry Keoghan, Jacob Elordi, Rosamund Pike, Richard E. Grant, Alison Oliver, Archie Madekwe

私の好きなバリー・キョーガンが主演。サイコ・スリラー。私は好きなのだが、日本での劇場公開はないのだそうだ。

 

Napoleon (2023 年、アメリカ・イギリス)

邦題: ナポレオン

11/29 at Light House Cinema

監督: リドリー・スコット

出演: Joaquin Phoenix, Vanessa Kirby

 

 

I Am Not Your Negro (2016 年、アメリカ・ドイツ)

邦題: 私はあなたのニグロではない

12/2 DVD

監督: Raoul Peck

出演: James Baldwin

ナレーション: Samuel L. Jackson

ジェイムズ・ボールドウィンの未完成原稿を基にしたドキュメンタリー映画公民権運動を指導したマルコム・X、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア、メドガー・エバースとの交流がつづられる。ナレーションはサミュエル・L・ジャクソン

 

If Beale Street Could Talk (2018 年、アメリカ)

邦題: ビール・ストリートの恋人たち

12/6 DVD

監督: バリー・ジェンキンス

出演: キキ・レイン、ステファン・ジェームス

ジェイムズ・ボールドウィンの同名の小説の映画化。

 

東京ゴッドファーザーズ(2003 年、日本)

英題: Tokyo Godfathers

12/20 at Light House Cinema

監督: 今敏

出演: 江守徹, 梅垣義明, 岡本綾

リリースから20周年記念ということでリバイバル上映。

 

ゴジラ-1.0 (2023 年、日本)

英題: Godzilla Minus One

12/22 at Light House Cinema

監督: 山崎貴

出演: 神木隆之介浜辺美波山田裕貴青木崇高吉岡秀隆安藤サクラ佐々木蔵之介

 

 

君たちはどう生きるか(2023 年、日本)

英題: The Boy and the Heron

12/29 at Light House Cinema

監督: 宮崎駿

出演: 山時聡真、菅田将暉柴咲コウあいみょん木村佳乃木村拓哉大竹しのぶ竹下景子風吹ジュン阿川佐和子滝沢カレン國村隼小林薫火野正平

 

 

Marie Antoinette (2022 年、日本)

12/31 at Light House Cinema

監督: ソフィー・コッポラ

出演: Kirsten Dunst, Jason Schwartzman

ライトハウス・シネマで20年~30年前の 35mm アナログ・フィルムを手に入れて 10 本ぐらい公開していくという企画を今年やっていたんだけど、それの最終回。スクラッチ・ノイズの入った映画を久しぶりに見ましたね。『ナポレオン』も見たことだしフランス歴史モノ・シリーズということで見に行きました。ソフィア・コッポラの映画はドラマチックなことはあんまり起こらないんですよね。淡々とすすんでいく。そこがいい。フランス革命の悪役として語られることの多いマリー・アントワネットを、人生を楽しむ1人の女性として描く映画。

 

 

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シェーン・マガウアン (1957 - 2023)

ポーグズのフロントマンだったシェーン・マガワンが亡くなりました。65歳。数週間前に奥さんのヴィクトリアさんが病床のシェーンの写真ツイッターにあげていたので、その写真を見て多くの人は心の準備ができていたのではないでしょうか。

 

私がアイルランドにきた大きな理由の1つがポーグズなのです。アルバムを聞いてこれまでで一番衝撃を受けたのがポーグスの2枚目でした。粗削りで若々しくしかもノスタルジック。パンク・ロックアイリッシュ・トラッドの合わせ技というアイデア自体はシンプルかもしれませんが、シェーンでなければこれほどの斬新さを感じさせるアルバムにはならなかったのではないかと思います。当時まだデビュー盤は日本版がでていなかったので、急いで高田馬場のオパス・ワンという輸入盤屋に買いにいったのを覚えています。

 

仲間だった友人のミュージシャンからのみならず、アイルランドの要人からも追悼のメッセージが寄せられています。その中からマイケル・D・ヒギンズのメッセージの一部をご紹介します。

 

His words have connected Irish people all over the globe to their culture and history, encompassing so many human emotions in the most poetic of ways.

 

彼の詩は、さまざまな人間的感情を最も詩的なやり方で包み込み、世界中に散らばったアイルランドの人々をその文化や歴史と結びつけた

 

大統領はまた、「彼の歌はアイルランド人の体験、特に海外で暮らすアイルランド人の体験を美しく捉えた」とも述べています。

 

シェーン自身もアイルランド人の両親のもとにイングランドで生まれ育ちました。小さい頃に母親の実家であるティペラリーで暮らしたことがあるのですが、ほとんどはイングランド南部で育っています。彼自身が移民なんですね。

 

ポーグズはシェーンもイギリス生まれですし、メンバーのほとんどがイギリス人なんですね。Wikipedia などを見てみますと、日本語版では「イギリスのロックバンド」、英語版では「English or Anglo-Irish Celtic punk band」などと紹介されています。しかし、そのスピリッツの部分ではポーグズ以上にアイルランドを体現したバンドはほかにないのではないかと思います。

 

今日 (12/1)のアイルランドの新聞の一面はすべてシェーンの写真です (ガーディアンはイギリスの新聞だけどおまけ)。

 

 

 

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ダブリンの暴動

おととい(23日)の夜にダブリンのシティ・センターで暴動がありました。Luasの窓ガラスが割られ、バスに火がつけられ、お店が略奪されました。

 

その日の昼過ぎに、パーネル・スクエアでナイフによる襲撃事件が発生しました。男が学校帰りの小さな子供3人と大人2人を負傷させました。そのうち子供一人が危篤状態とのことです。

 

当初、メディアでは犯人のプロフィールについてはほとんど報道されていなかったのですが、SNSでは犯人はアルジェリア系の移民であるという情報が早くから出回っていました。そして、こうした事件が起きるのは移民政策の失敗のせいだという扇動があり、社会の隅に追いやられている人々の不満のはけ口として暴動が発生したようです。

 

今日の朝(25日)の段階でも新聞等ではナイフ襲撃犯の本名や出自については明らかにされていません。40代後半男性、過去20年間アイルランドに在住、帰化してアイルランド国籍、という情報が出ているだけです。

 

アイルランドに30年住んでいますが、これほど大きな暴動は記憶にありません。2006年にも大きな暴動があったようなのですが、当時は仕事がすごく忙しかったせいか私の記憶から抜け落ちています。

 

大量移民に関する一般の人々の不満は以前からぽつぽつと出ていました。移民排斥をあおるような極右的なものもありましたが、公的サービスへの圧迫や観光業への打撃 (ウクライナからの避難民がホテルに宿泊しているため観光客の宿泊施設が足りない) などのもっともな主張もありました。

 

昨日の昼、ランチに出たついでに街の様子を見てきました。1時ごろです。

 

パーネル・ストリートには窓の割られたLuas車両がまだ停まっていました。オコネル・ブリッジでは大規模な線路の補修が行われていました。

 

 

略奪に狙われたのは靴屋で、FoollockerとAsicsが侵入されていました。Schuhのウィンドウにもヒビが入っていました。アーノッツも被害に遭ったようです。

 

 

昨日の夕方はシティセンターのお店は早めに閉めたようです。警官がたくさん配備されていました。小競り合い程度のものはあったようですが、昨日は大きな混乱はなかったようです。

 

23日の暴動については警察がコントロールを失った状態となったため、その対応に問題があったのではないかと法務大臣と警察のトップが批判されています。

 

事件を受けてレオ・バラッカー首相は、暴動はアイルランドに「恥をもたらした」と強く非難しています。マイケル・D・ヒギンズ大統領は「隅に追いやられた人々が極右に搾取されることのないよう、政府は彼らの声を聴く必要がある」と述べています。

 

現場でナイフ襲撃犯を止めた1人はフード・デリバリーの仕事の途中だったチャオ・ベニチオさん。ブラジル人です。被っていたヘルメットで襲撃犯に殴りかかったようです。GoFundMeではチャオさんに1杯おごろうという募金ページが立ち上がり、またたくまに20000ユーロ以上が集まったそうです。

 



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