最初にこんなことを書いてしまうのもアレなんですけど、紅茶に比べてコーヒーの話は全然詰まらないんですよ。アイルランドならでは、みたいな話があんまりないの。これはやっぱりアイルランドにおける紅茶とコーヒーの歴史の差なんじゃないかと思います。
とにかくですね、記者はキリマンジャロの近くの農園を訪れます。この農園を経営している夫婦はギリシャ系タンザニア人三世の旦那さんとアイルランド人の奥さんです。2 人はトリニティ大学で知り合って、ほんのちょっとだけのつもりが 20 年近くここでコーヒーを育てながら暮らしているそうです。
20 年の間にシャツにアイロンをかけたことがないとか (お手伝いさんがいるので)、子ども 2 人は英国の寄宿舎学校に通っているとか、古き大英帝国の残り香がします。でも、農場作るのは大変だったみたい。道作って、水道ひいて、みたいなことから自分たちでやって、今は象から農園を守る柵を建てたいそうです。
珈琲豆の品評会のシーンが描写されるんですが、コーヒーの世界ではテイスティングではなくてカッピング (Cupping) というそうですね。香りは、カシュー、ファッジ、クランベリー、チョコレート、ウッドなどと形容されて、決してコーヒーの香りとは言わないそうです。そりゃそうですね。それだと身も蓋もないし。まあ、こういう話も面白くないわけではないですけど、アイルランドとは特に関係ないんですよね。
紅茶の話でも登場した、40 年ぐらいこの業界にいるポール・オトゥールさんによると、80 年代にアメリカに行ったとき人々がテイカウェイのコーヒー持って歩いてたんだけど、こんなことは絶対アイルランドでは起こらないな、と思ったそうですが、それがいまはどうですか。不況にも負けることなく人気飲み物の王座を目指して、紅茶をひたひたと追い掛けているのであります。