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映画「Saving Mr. Banks (ウォルト・ディズニーの約束)」

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Saving Mr. Banks
邦題: ウォルト・ディズニーの約束
監督: ジョン・リー・ハンコック
出演:エマ・トンプソン、トム・ハンクス、コリン・ファレル

 

「メアリー・ポピンズ」(1964年公開)を映画化するにあたっては、原作者PL トラバースとウォルト・ディズニーという2人の強烈な個性のぶつかりあいがありました。トム・ハンクスがディズニーを、エマ・トンプソンがトラバースを、コリン・ファレルがトラバースの少女時代の父を演じます。

 

「メアリー・ポピンズ」の映画化にトラバースが 20 年間も首を縦に振らなかったというのは初めて知りました。ところがお金がなくなってきて、背に腹は代えられんということで、エージェントにも説得されて、ウォルト・ディズニーとの映画化の交渉に応じることにします。ディズニーの方は娘が小さい頃にメアリー・ポピンズの映画化を約束したので、どうしてもその約束を果たしたいのだ、というのが口説き文句です。ところがトラバースの注文がうるさいんですよ。アニメはだめだ、ミュージカルはだめだ、から始まって、赤い色を一切使うなとか、すごいんです。それが全部テープに残っています (エンドクレジットで本物のテープが流れる)。

 

それと並行して、トラバースが子供の頃の話が描かれます。父親との関係ですね。お父さんは家族思いの人だったんだけど、アル中で、勤めていた銀行のマネージャー格からヒラに落とされたりとか、そんな人だったらしい。その父親がポピンズの雇い主であるMr. Banks の人物造形に強い影響を与えていることをディズニーが見抜き、そこから二人の心が通うようになる、みたいな。まあ、それでも、ディズニーはトラバースを映画公開時のプレミアに招待しなかったんですけどね (笑)。

 

もちろん、ディズニー映画についてのディズニー映画なので自画自賛っていえばそうなんですが、大人もほろっとさせられるお伽噺に仕上がっています。(私は「お伽噺」とか「メロドラマ」とかいいますけど、「ロマンチックコメディー」と同じようにジャンルの名前として使ってるだけですので、悪い意味はありません)。

 

私がこの映画を観た当日の夜に、BBC でトラバースの生涯みたいな番組をやっていたので、そちらも見ました。もちろん、この映画の封切りに合わせて放映したということでしょう。

 

映画ではほとんど触れられていないんですが、トラバースには養子に貰った男の子がいました。いちおう文筆業サークルの知人ということらしいですが、あまり裕福とはいえないアイルランド人の家族から双子の赤ん坊の 1 人を引き取ります。アイルランド人一家は 2 人とも引き取ってほしかったみたいなんですが、占星術師の教えによってそのカミラスという子だけ引き取ったとかなんとか。

 

自分の実の子と嘘をついて育てていたのですが、17 歳のときに双子の片割れであるアンソニーが突然トラバースの家を訪ねてきて真実が発覚します。実の母親だと思っていた人から嘘をつかれていたという事実にカミラスは一生立ち直れなかった、みたいなことを彼の子供 (つまり、トラバースの孫) が番組のインタビューに答えて言ってました。アンソニーの方も、なんで俺が選ばれなかったのだろう、と思い悩んで、こちらもつらい人生を送ったようです。

 

双子の兄弟はお二人とも既にお亡くなりになっていますが、今回の映画のロンドン・プレミアには、カミラスの未亡人と 3 人のお子さんも招かれたそうです。