アイルランドは個人間での中古車の売買が盛んです。
今日の新聞に載っていたのですが、1 月の新車の販売台数は 17,000 台で、やっぱり以前に比べてかなり落ち込んでいるそうですが、中古車の方は 41,000 台も持ち主が変わったそうです。そして、そのうちなんと 73% が個人間の売買によるものなんですね。
日本では友達や先輩に譲ってもらうようなとき以外はほとんど個人間で取引しないと思いますが、アイルランドは何でこんなに多いかというと、個人間の売買を基本的に苦にしないとか、名義変更の手続きが簡単 (たぶん) とか、いろいろあると思いますけど、一番大きいのは、10 年落ちや 15 年落ちの車が普通にやりとりされているからだと思います。そのぐらいの車だと、値段が 10 万円とか 20 万円の世界ですから、マージンが薄くて中古車屋さんは商売にならないですからね。
今日の記事のテーマは、個人から車を買うことの危険性についてでした。
アイルランドは今、市場に出てくる中古車の数が不足しています。これは、リーマンショック後の 2007 年、2008 年ごろに新車の売上台数が極端に落ちたからです。そこで、イギリスから輸入するのですが、輸入中古車はどうしても履歴の追跡が難しくなります。それで、「今、リバプールの港に車があって、ほんとは 10000 ユーロなんだけど、2000 ユーロでいいですよ」なんて言われて手付け金を払うとそのまま音沙汰なしになる、みたいな昔ながらの詐欺も横行しているそうです。
それから、お金を払って手続きをしても、売買成立後しばらくして前のオーナーがローンの支払いをストップすると、金融機関が今のオーナーのところに金を払えと言ってくるらしくて、これも多いそうです。日本だとローン期間中の車はローン会社の名義になっていると思いますが、アイルランドは違うってことなんでしょうね。
Motorcheck.ie というアイルランドのすべて車の履歴が検索できるWeb サイトの調べによると、16% の車がローン期間中、そして 20% の車が走行距離のメーターをごまかしているのだそうです。
また、消費者庁によると、個人での売買には法律で定められた消費者の権利が適用されないので、これにも注意する必要があります。なにかあったら、民事で裁判所に訴える以外の方法はないと思った方がいいらしい。
Motorcheck.ie の人の話によると、とにかく買う前にしっかり調べなさいとのこと。メカニックや車に詳しい友達を連れて見に行く、修理点検の履歴を尋ねる、前のオーナーやこの車を整備したメカニックに話を聞くなど。その場で決めずに、少額の手付け金だけを置いて次の日に返事をするようにする。その間にいろんな調査をする。こうすれば 90% のトラブルは避けられるだろうということです。
私も Motorcheck.ie の Web サイトを訪れてみたんですが、無料で得られる情報は車のモデルとか基本的なものだけで、詳細な情報だと 15 ユーロから 35 ユーロかかるんですね。高い車を買うならこの値段でも情報を買うかもしれませんけど、安い車を買おうとしてるならちょっともったいないと感じるかもしれません。
まあ、もちろんディーラーで買うよりは確実に値段は安いし、正直な売り手の方が圧倒的多数なので、リスクとの兼ね合いをどう考えるかですね。
私もこちらで最初に買った車は新聞広告を見て個人から買いました。10 年落ちのルノー 4 で、トラブルがいっぱい起きたんだけど、乗ってる当時も楽しかったし、いまでも凄くいい思い出です。