たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

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映画『アラン』(Man of Aran)

監督: Robert J. Flaherty
出演: Coleman “Tiger” King, Maggie Dirrane, Michael Dillane

 

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先月のことなんですが、IFI で『アラン』(Man of Aran) を観てきました。アイルランドの映画を時系列で語る際には必ず最初に出てくる映画です。1934 年の一応ドキュメンタリーという触れ込みの映画。アメリカ人のロバート J フラハティ監督が、アラン諸島最大の島、イニシュモア島に住む漁師一家の日常を追いかけたものです。

 

今回、リバイバル上映されたのは、傷んだフィルムを復元していたのが完成したからだそうで、新しく DVD も発売されました。

 

アイルランド西海岸の沖に浮かぶアラン諸島は、「とんでもない田舎」系の観光地として有名なところです。ケルト人がやってくる前の遺跡もたくさんあって、そういう意味での興味も尽きないところです。

 

映画では、島の人々の暮らしが活写されます。岩盤になけなしの土と海藻を盛ってジャガイモ畑を作ったり、断崖絶壁で少年がロープを垂らして一本釣りしたり、サメを仕留めるため嵐の中を漁に出掛けたりします。サメはランプの燃料にするんですね。

 

映画としては今見てもおもしろいです。他では見たこともないような島の風景や海の風景をカメラが切り取っていきます。それから編集も簡潔で小気味がいいです。サメ漁のシーンでは、高い波の合間を縫って小さな船を漕いでいくんですが、とても迫力があります。当時はもちろん特撮なんかないわけで、相当危険な撮影だったんではないかと思います。

 

ただ、この映画には批判もあって、ドキュメンタリーといいながら、事実に基づいていないところがある。たとえば、お話の中心となった漁師一家は実際の家族ではなく、監督が見た目で選んで配役したもの。また、サメの脂でランプをともすなんていう習慣も、映画撮影の 100 年前にはなくなってしまっていたとか。

 

それでも、イニシュモア島の人たちは今でもこの映画に特別な想いがあるようで、島で「The Film」と言えばこの映画のことを指すそうです。

 

Sunday Independent 紙の記事↓
“Fresh Look at Iconic Vision of Island Life”
http://www.independent.ie/national-news/fresh-look-at-iconic-vision-of-island-life-2577540.html