20世紀後半のアイルランドの絵葉書産業におけるツートップといえば、リアム・ブレイクが率いるリアル・アイルランド社とジョン・ハインドがメイン・フォトグラファーを務めたジョン・ハインド社ですね。
先日、オコネル・ストリートのイーソンに行ったら、こんな本を売っていました。
ポール・ケリーさんの『Return to Sender』と『In Hinde-Sight』です。ジョン・ハインドのポストカードの写真と同じ場所にいって、今の写真を撮り、並べて表示していくという企画です。ケリーさんの短いコメントがそれぞれについています。
ケリーさんはカリフォルニア生まれなのですが、お父さんがロスコモン県の出身。お父さんはたびたびアイルランドを訪れ、そのたびにたくさんのポストカードをアメリカの家族に送っていたそうです。ケリーさんがジョン・ハインドの絵葉書の魅力を知ったのはその頃のようです。
ケリーさんは2018年にアイルランドに移住してきて、今はグレイストーンに住んでいます。そして、ハインドの絵葉書の場所にいって、同じアングルでその場所の今を撮ることにしたようです。
ジョン・ハインドの絵葉書で一番有名なのはおそらくこれでしょう。
コネマラでロバに泥炭を積む少年と少女。この2人は名前もわかっていて、男の子はパディー・ライドンさん。2013年に亡くなったときは新聞記事にもなりました。そのことは私もブログに書きました。女の子の方は妹のメアリーさん。彼女は今はイギリスに住んでいるそうです。
ケリーさんはこの写真が撮られた場所も突き止めてして本に収めています。特定するのにちょっと時間がかかったそうです。
私も以前、ケリーさんと同じようなことをして、ブログ記事にしたことがあります。私の場合は現地に行かずにグーグル・マップで調べただけですが。 やっぱり絵葉書好きの人はこういうことをしたくなるんだと思いました。
あれ、最後に気づきましたけど、私がもっている絵葉書とケリーさんの本に掲載されている絵葉書では微妙にアングルが違いますね。泥炭に置いた少年の手が逆ですし、少女の顔の角度も違います。いくつかバージョンがあるんですね。