『Dublin 1963/2020』という写真集を買いました。
写真家はアレン・マクウィーニー (Alen MacWeeney) さんという方。マクウィーニーさんはダブリン生まれで今はニューヨークに住んでいます。1939年生まれ。この写真集には、1963年に彼が撮影したダブリンの町角の様子が収められています。
彼とパートナーのペシャ・アルトマンさんは、昔の写真を見ながら思い出を語り合ったりしていました。パンデミックで外に出られないという事情が影響していたのかもしれません。また、アルトマンさんは学校の先生をしているようで、Zoom授業で高校生に記憶というテーマで教えていたとき、人が写真を見て何をどれだけ思い出せたり出せなかっりするのが興味深かったようです。
2020年10月、パンデミックの真っただ中にアルトマンさんはマクウィーニーさんの写真の1枚を Facebook に投稿しました。投稿先はダブリンの人が思い出を語り合うようなフォーラムだったようです。
またたく間にコメントが集まります。場所を特定したり、家族や友人の姿を見つけたり、懐かしい話をする人もいれば、当時の社会に対する不満を書く人もいます。
アルトマンさんが一番興味深いと思ったのは、母親と中学生ぐらいの息子が手をとりあって歩いている写真。白い杖をついているように見えることから、盲目の母親の手をひく優しい息子をほめるコメントがつくのですが、いや盲目なのは息子の方ではないか、いや2人ともカメラ目線だから盲目ではないのでは、などとレスがつきます。そこにほんとうの親戚の方が登場。2人とも盲目ではないと証言します。どうやら白い杖に見えていたのはそのころのショッピング・トロリーの取っ手だったようです。
ということで、この写真集はマクウィーニーさんの1963年の写真とそこに集まったダブリンの人々の2020年のコメントが並んで掲載されています。だから、タイトルが『Dublin 1963/2020』となっているわけです。
実はこの写真集の中から8枚ほどが絵ハガキとして発売されており、私はそちらを先に購入したのでした。
いいなと思ったので写真集本体も買おうと思いました。出版社は Lilliput Press というウチの近所の出版社なので、直接買いに行こうかと思ったのですが、ちょっと敷居が高いのでやっぱり本屋さんで買いました。
買った本屋さんは Books Upstairs という West Moreland Street にあるお店。こんなところに本屋があるのは最近まで知らなかったのですが、以前はトリニティ大学の正門の前に店を構えていたようですね。2015年に移転してきたみたいです。
ある本のプロモーションでトート・バッグを無料でもらえてラッキーでした。写真集の値段は40ユーロでした。