今日は毎年恒例のレイト・レイト・トイ・ショーの日です。レイト・レイト・ショーは、1962年から続くRTEの国民的チャット・ショー。そして、毎年この時期になると、ほぼ 2 時間ぶっ続けでおもちゃの話しかしないスペシャル回が組まれます。それがレイト・レイト・トイ・ショー。クリスマスの贈り物に何を買おうかなあと考えている人にとってヒントになるという実用的な意味もありますが、それよりもなによりも、楽しいんですよ。
司会のライアン・タブリディがとてもじゃないけど普段は着られないような派手なセーターを着て登場し、スタジオ内に所狭しと並べられたおもちゃを子供たちと一緒に紹介していきます。豪華なシークレット・ゲストも登場。レイト・レイト・トイ・ショーが放映されると、アイルランドのクリスマス気分は一気に盛り上がるというわけです。
このトイ・ショーが始まったのは1975年なのですが、先日、アイリッシュ・インデペンデント紙に、このショーが生まれるきっかけとなったおもちゃ屋さんの動画記事が出ていました。
#WATCH This Dublin toy store was the original inspiration for the Late Late Toy Show https://t.co/gJbeEcPnjg
— Independent.ie (@Independent_ie) 2020年11月27日
このおもちゃ屋さんは、スティローガン (Stillorgan) にあるニンブル・フィンガーズ (Nimble Fingers) というお店です。
ニンブル・フィンガーズはロバート&ヒルダ・トゥイーディー夫妻が1962 年に開業しました。元々は手芸品やお菓子を売っていたのですが、そのうちに教育用玩具にも事業を拡げます。
1975 年のある日、RTE のリサーチャーだったパム・コリンズさんがお客さんとして来店。大人も子供も楽しめる玩具を取り揃えた店内を見て、トイ・ショーの着想を得たそうです。
1983 年、ニンブル・フィンガーズは、パトリック&ジーン・スタントン夫妻に買収されます。パトリックさんは、カナダなどで出版社に勤務した後、アイルランドに戻ってきて、自らの出版事業を営んだりしていたそうです。
その年、パトリックさんはニュルンベルクのおもちゃ見本市に行き、アイルランドにはまだ紹介されていなかったおもちゃをたくさん輸入します。メディアで盛んに取り上げられたこともあって、ニンブル・フィンガーズはユニークなおもちゃが買える店として有名になりました。多くのダブリンの人にとって思い出の場所となっているようです。
ケルティック・タイガーの時代には事業を拡大するかどうか迷ったようですが、家族の手が届く範囲での経営を続けることに決定。結果的にその決断は正解だったようです。
今ではパトリックさんはほぼ引退し、現在は息子さんと娘さんがオーナーとなっています。
ニンブル・フィンガーズはスティローガン・ショッピング・センターからオールド・ダブリン・ロードを挟んだ向かい側にあります。古い個人商店の懐かしい匂いが残る可憐な佇まいです。