たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

たらのコーヒー屋さんです。

イーソンズのホウロウ看板

 

このイーソンズ (Eason’s) のホウロウ看板は、キャヴァン県のヴィクター・ミーズというオークション会社で落札したものです。ハンマープライスは260ユーロでした。

 

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イーソンズは、アイルランドでは知らない人のいない本屋のチェーン店です。本店はダブリンのオコネル・ストリート。GPO (中央郵便局) のすぐそばですね。正式社名はイーソン・アンド・サンですが、皆さんだいたいイーソンズと言いますね。

 

看板には、「Eason & Son Limited」「17 Donegall St. Belfast」「40 Lower Sackville Street Dublin」「Newest Books – Reasonable Rates – Prompt Exchanges – Daily Deliveries」、そして中央に大きく「Circulating Library」と書いてあります。Sackville Street は今のオコネル・ストリートのことで、名前が変わったのは1924年のことですから、この看板は少なくともそれ以前のものということになります。

 

「Circulating Library」という文字から私は第一印象でイーソンズが「巡回図書館」(移動図書館)をやっていたのかな、と思ったのですが、調べてみると、これは貸本屋の意味でした。

 

Wikipedia の英語版を読んでみますと、Circulating Library は18世紀から19世紀にかけて非常に一般的であったそうです。その頃はまだ本の値段が高かったので、安価に本を読みたいという庶民の需要にこたえたわけです。図書館なんてのにも普通の人がアクセスするのは難しかったようです。

 

イギリスの例でいきますと、イギリス初の Circulating Library は1725年にスコットランドエジンバラにできました。20世紀に入ると、本が安くなってきたこともあり、Circulating Library は衰退します。たとえばW・H・スミス (イギリスの本屋チェーン) はCirculating Library の事業を1860 年から1961年まで続けた後、ブーツ (薬局チェーン) に売却しています。ブーツにも1898年から貸本部門が存在していたのですが、1966年にこの事業から撤退しています。

 

Eason’s の方は、1819年の Johnson & Co として設立された会社が源流。この会社をW・H・スミスが 1850 年に買収し、ロンドン以外の最初の店舗とします。そして、チャールズ・イーソンという男をダブリン支店のマネージャーに据えます。1886年になると、チャールズとその息子が今度はW・H・スミスから事業を買収し、Eason and Sons として会社を大きくしていったようです。

 

以上はインターネットで調べてわかるだけの情報ですが、イーソンズの歴史については『Eason and Son – a History』という本に詳しいようです。

 

ちなみにですけど、アイルランドの本屋としてイーソンズが他の本屋と違うところは、雑誌や新聞も売っている点です。日本だと本屋が雑誌を売るのは当然ですけど、アイルランドでは、たとえば Hodges Figgis なんかでは雑誌を売っていないと思うんですよね。これは流通経路が違うからだそうですが、ではなぜイーソンズでは売っているのか。これは、イーソンズは雑誌と新聞の卸売り事業の部門も持っているからだそうです。

 

私が持っているホウロウ看板と同じデザインのものが、2011年にダブリンのスティーブンス・グリーンにあるアダムズというオークション会社に出品されました。こちらは、イーソンズ本店の表に張り出されていた個体だそうで、イースター蜂起の際に受けた弾丸の痕が残っているというもの。ハンマープライスは1500ユーロでした。

 

 

 

 

 

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