昨日、ポーグズのことを書いたので、ちょっと昔の曲が懐かしくなって、私の好きなアイルランドのロックまたはポップスの曲を書き出してみました。そのトップ10をリストにしました。曲は好きな順ではなくて、年代順に並べてあります。
1. クレア by ギルバート・オサリバン (1972年)
(Clair by Gilbert O’Sullivan)
この曲はさすがにリアルタイムで聞いていたわけではありません。ギルバート・オサリバンは1946年生まれの男性シンガー・ソング・ライター。『クレア』は、彼のプロデューサー兼マネージャーだったゴードン・ミルズの3歳の娘のことを歌った曲。ロリコン的な要素があるということで物議を醸すこともあります。ぼかした歌詞になっているので、大人同士の恋愛の歌のように解釈することもできます。とても甘いメロディーのポップソングです。オサリバンは、日本では実写版『メゾン一刻』のテーマソングになった『アローン・アゲイン』が有名かもしれませんね。
2. ティーンエージ・キック by アンダートーンズ (1978年)
(Teenage Kicks by The Undertones)
1978年、私は高校生でしたが、リアルタイムではこの曲は聞いていません。ラジオの深夜放送でセックス・ピストルズのCMが流れていたのは覚えていますが、高校時代は洋楽はまったく聞いていなかったのです。大学に入ってパンクやパブロックを好んで聴くようになったのですが、そのときもアンダートーンズはひっかかってきませんでした。クラッシュやセックスピストルズは突っ張った格好をしていて、それが社会的なステートメントになっていたのですが、アンダートーンズはイトーヨーカ堂で売っているようなやっすいセーター着て演奏してたんですよ。よく聴き出したのはアイルランドに来てからです。今ではパンク周辺のバンドの中で一番好きなバンド。ティーンエージ・キックは「かわいい女の子が街を歩いているのをみるとオナニーしたくなるよね」っていう曲なんですが、そういう曲の方が後の時代には残りますね。とても政治的だったスティッフ・リトル・フィンガーズとか、当時はそっちの方が時代にフィットしていたのでしょうが、今聞くとまったくピンときません。
3. ニューヨークの夢 by ザ・ポーグズ & カースティ・マッコール(1987年)
Fairytale of New York by The Pogues feat. Kirsty McCall
私がアイルランドに来たのはポーグズの影響が大きいです。外国の人がアニメが好きで日本に来るような感じですね。初めて買った彼らのレコードは2作目の『ラム酒、愛、そして鞭の響き』ですが、トラッドとパンクの融合に衝撃を受けました。1作目の『赤い薔薇を僕に』は当時日本版が出てなかったのですが、急いで輸入盤屋 (たしか高田馬場のオパス・ワン) に行って買いました。いい曲はたくさんありますけど、やはり一曲選ぶとなると『フェアリテール・オブ・ニューヨーク』になりますかね。
4. トレインスポッターズ by ザ・フランク・アンド・ウォルターズ (1992年)
Trainspotters by The Frank and Walters
私がアイルランドに来る直前にデビューしたコーク出身のスリーピース・バンド。デビュー・アルバムの『Trains, Boats & Planes』はいい曲がすし詰めなんですが、私はこの鉄道オタクのことを歌った『トレインスポッターズ』を押したいと思います。とても息の長いバンドで、今でもバンド活動を続けています。私も2回ぐらい Whelan’s にライブを見に行ったかな。去年だが一昨年だか、コークを舞台にした『The Young Offender』という RTE のドラマで『After All』という曲 (これもデビュー・アルバムに収録) が使われて、リバイバル・ヒットしました。『After All』は「最も愛されているコークの曲」(Cork's Favourite Song) に公式に選ばれています。
5. クレイジー・ワールド by アズラン (1993年)
Crazy World by Aslan
ダブリンのバンドといえば私にとってはアズランです。U2はダブリンのバンドというより世界のバンドなんですよね。アズランは国際的な成功を収めることはできなかったけれど、それだからこそよりダブリンの人に愛されているのかもしれません。税金も払ってるだろうし (笑)。やっぱり1曲だけ選ぶとしたら大ヒットした『クレイジー・ワールド』になるのではないかと思います。私は個人的には後期の『ハレルヤ』もすごく好きなんですけど。ライブ・ビデオの『Made in Dublin』(1999年) はすごくいいです。アイルランドに来た当初、ある事務所でバイトさせていただいてたんですけど、そこの秘書の女性がアズランのギタリストと婚約していて、クリスマス・パーティーでお会いしたこともあります。とてもいい人でした。『クレイジー・ワールド』をギター一本で歌ってくれました。
6. ゾンビ by ザ・クランベリーズ (1994年)
Zombie by The Cranberries
アイルランドに来て初めてフルタイムで働いたのがあるソフトウェア会社だったんですが、その頃クランベリーズが大ヒットしていたんですね。だから、クランベリーズというとその会社のことを思い出します。『リンガー』とか『ドリームス』とかいろいろヒット曲がありますけど、今回は『ゾンビ』を選んでみました。重たいテーマと曲調がなんとなくボーカルのドロレス・オリオーダンに一番合っているような気がするので。彼女が2018年に早世してしまったのはほんとうに残念です。
(後編に続きます)