日本でも東京オリンピックの開催に反対していたくせにフジロックを開催するとはなんだ、みたいなことですったもんだしておりますけれども、アイルランドでも似たような問題があります。
おとといのブログにも書きましたが、先週の日曜にはハーリングのアイルランド選手権決勝が40000人の観客を集めて行われました。しかし、音楽の方は小さなライブハウスでのコンサートも許可されていません。ミュージシャンの中にはそのことを苦々しく思っている人もいるようです。
アイリッシュ・タイムズに、ミュージシャンでもあるし GAA の選手でもある人のインタビューが掲載されていました。3人とも、スポーツ界と音楽界の分断に懸念を表明しています。
ブレイヴ・ジャイアントというバンドのフロントマンで、地元ロングフォードのクラブでフル・フォワードとしてプレイしていたポッジ・ギルさんは、「権力者がスポーツと芸術の間で縄張り争いを始めたのだ」といいます。
「日曜の決勝をみていて、昔の記憶がよみがえったよ。音楽はいつもオール・アイルランド選手権に欠くことのできない要素だった」
優勝したリムリックが優勝カップを受け取るときは、リムリック出身のクランベリーズの「ドリームズ」が場内に響き渡ったそうです。コークが勝ったときのために、フランク・アンド・ウォルターズの「アフター・オール」の音源も用意されていたと思います。
ギルさん「GAAと音楽はどちらもとても重要だ。一方と他方と戦わせるようなことがあってはならない」
ブライアン・オダブリンさんは、アントリム県のクラブでハーフバックとしてプレイし、ベルファストやデリーでライブ活動も行っています。
オダブリンさん「演奏することが好きだし、(今は演奏できないので)恋しく思っている。しかし、ライブでは常にお客さんが好意的な反応を返してくれるとは限らない、しかしGAAの試合で観客の前でプレイするのは違う。先週、選手権の試合に出場したが、すごい雰囲気だった。GAAをプレイするということは、コミュニティ全体を代表するということ。私にとって、それは音楽を演奏するときの感情を上回る」
ダブリン南部のクラブでセンターバックとしてプレイしたことがあり、ミュージシャンとしてバーやレストランで演奏するダブリン出身のバリー・オショーナンさんは、クローク・パークでの試合の再開が一部の人を苛立たせているけれども、前の2人と同様、恨んだりしない方がいいと言っています。
「アーティスト界の70%はGAAの再開を応援しているといっていいでしょう。サポーターにとってそれがおおいに意味のあることだと皆わかっているから」
「ファンが悪いのではない。音楽のライブ・イベントの再開を延期するアイルランド政府が何も考えていないのだ。悪いのは人々ではなく国のリーダーたちだ」
みなさん、なんだか政府をスケープゴートにしているのが微笑ましい感じもしますが、政府の方もそれで皆さんが仲良くやってくれるなら喜んで悪役を引き受けましょう、というところでしょうか。