先週末に引き続いて、アイルランド南東部に車で日帰り旅行してきました。行先はキルケニーです。
行きたかった場所は、スミティックスというエール・ビールの旧醸造所の見学ツアーです。施設の正式名称は、スミティックス・エクスペリエンス・キルケニー (Smithwick’s Experience Kilkenny) です。
Smithwick’s の読み方は、スミスウィックスではなく Smitik’s のように読みます。アイルランド国外の人にはやっぱり読みにくいみたいです。次の動画は、おそらく20年以上前のスミティックスのCMで、1990年W杯でアイルランド相手にゴールを決めたトト・スキラッチ選手が出演していることで有名ですが、イタリア人の登場人物にわざと「スミスウィックス」と発音させています。
私自身、パブでビールを飲むときはスミティックスを飲むことが多いです。アイルランドに来た当初はギネスを飲んでましたが、二度注ぎするのを待つのがじれったいのですよね。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、スミティックス・エクスペリエンスに戻りましょう。この施設は、1700年代から2014年まで実際に醸造所として使用されていたものを、見学者向けに改装したものです。醸造所として使用される前は、フランシスコ会の修道院だったようです。まあ、修道士もビール作ってたみたいですけど。
ツアーガイドは、こういう施設には珍しくお年を召したざっくばらんな女性の方。5分ほどのイメージ映像を見た後、まずはスミティックスの歴史、その成り立ちから。ホログラムで映し出された修道士が説明してくれる趣向です。
1705年にこの敷地を借りたジョン・スミティックスという男が醸造所を始めたのですが、彼はカソリックだったため、プロテスタントのビジネス・パートナーと組まなければならなかった、とかそういう話。当時は、ピーナル・ロウ (Penal Law) と呼ばれるカソリックを押さえつけるための法律があったのですね。
次の部屋では、スミティックス家の代々の当主が肖像画のように額縁に収まって飾られているのですが、実はそれも動画になっていて、互いに会話を交わしながらスミティックスの歴史を語るというもの。
次は、樽職人の部屋。ここでも額縁に入った樽職人の親方が説明してくれます。
ここから先は、実際に使用されていた設備を見ながら、醸造工程の説明です。
たとえば、大麦を挽いて粉にする機械。
フィルター処理の設備
実際の麦芽汁を飲ませてくれたりします。水で薄めたリンゴ・ジュースのような味。
あと、この趣向はちょっと面白いと思ったんだけど、スミティックスの戦時中の歴史を語るときに、昔の戦闘機のパイロットが被っていたようなマスク (実物よりずっと大きい) の目のところに戦時中の映像が映るの。
最後は試飲です。私は車なのでソフトドリンクを頼みましたけど。
スミティックスは最近はファッショナブルなマーケティングで若い人にアピールしようとしてますけど、以前は田舎のおっちゃんが飲むビールというイメージが強くて、「ファーマーズ・ドリンク」などと揶揄されていました。
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スミティックスの会社自体は1965年にギネス社に買収され、現在ではギネスと共にディアジオ社のブランドとなっています。2014年以降はダブリンのセント・ジェームズ醸造所で生産されています。
入場料は、現地で買うと16ユーロ、オンラインで購入すると14ユーロです。所要時間は1時間ほど。
www.smithwicksexperience.com