また大統領選の話ですみません。
今日の報道によると、ノリスさんもダナさんも立候補の資格を得るのはほぼ確実らしいです。なので立候補者は 7 人になる予定。もう一度おさらいします。
ゲイ・ミッチェル (フィネゲール党推薦、中道右派、下院議員、59 歳)
マイケル D. ヒギンズ (労働党推薦、左派、下院議員、70 歳)
マーティン・マギネス (シンフェイン党推薦、北アイルランド議会副首相、63 歳)
メアリ・デイビス (無所属、慈善活動家、57 歳)
ショーン・ギャラハー (無所属、実業家、49 歳)
デビッド・ノリス (無所属、上院議員、英文学者 67 歳)
ダナ・ローズマリー・スカロン (無所属、元歌手、元 EU 議会議員、60 歳)
マイケル D. ヒギンズ (労働党推薦、左派、下院議員、70 歳)
マーティン・マギネス (シンフェイン党推薦、北アイルランド議会副首相、63 歳)
メアリ・デイビス (無所属、慈善活動家、57 歳)
ショーン・ギャラハー (無所属、実業家、49 歳)
デビッド・ノリス (無所属、上院議員、英文学者 67 歳)
ダナ・ローズマリー・スカロン (無所属、元歌手、元 EU 議会議員、60 歳)
![イメージ 1](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/t/tarafuku10/20190820/20190820030450.jpg)
(ゲイ・ミッチェル議員)
今日のアイリッシュ・タイムズ紙にもいくつか記事が載ってました。
複数の記者が書いてるんだけど、マギネスはどうも当選の可能性がけっこうあるらしい。ノエル・ウィーラン記者は、2 月の選挙でシンフェインに入れた人全員、無所属に投票した人の 3 分の 2、フィアナフォイルに投票した人の半分がマギネスに投票すれば、彼の当選の目が出てくると書いている。
スティーブン・コリンズ記者は、今の段階での予想は難しいと前置きしながらも、「最終的にはマギネスと彼を止める『誰か』の戦いになる可能性がある。その『誰か』が誰になるのか今の段階ではわからないが」と書いている。
コリンズ記者の記事にそって現時点での状況を箇条書きにします。
*もしマギネスが勝ったら、アイルランドが自分自身をどう見ているかという象徴的な重要性に加え、シンフェイン党にとっては政治勢力として大きなブレイクスルーとなり、三大政党 (FG、労働党、FF) には深刻な痛手となる。
*FF が候補者を出していたら、落選は確実だけど、マギネスにこれほど大きな当選のチャンスを与えることはなかっただろう。
*ミッチェルは退屈な候補者という印象だったが、マギネスの過去について真正面から喧嘩を売ることができる候補者。戦略を変えたらどうか (対立的なアプローチでマギネスを真正面から攻撃すればどうか、という意味、たぶん)。(すでに木曜の段階で、FG の閣僚のひとりが、マギネスは英国女王が来たときに招待された晩さん会をボイコットしたから大統領になる資格はないと攻撃していた)
*FG はミッチェルをちゃんと支援しないと 2 月の選挙の大勝が意味のないものになるぞ。
*マイケル D. はノリスの辞退以降、ずっと最有力候補とされていて、何も悪手を出していない。とりあえずはこのままの戦略でいーんじゃないの。
*ノリスのカラフルな人柄は選挙戦で一目を引くだろうし、マギネスの対抗馬と有権者に認めさせることができれば、当選の可能性もある。淫行の罪に問われた友人への減刑嘆願書など、マギネスの過去を前にすれば霞んでしまうようなものなので、問題にならないだろう。
![イメージ 2](https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/t/tarafuku10/20190820/20190820030454.jpg)
土曜日は「ウィークエンド・レビュー」っていう付録もついてくるんだけど、そっちはマギネス特集。ここまでマギネスに好意的な記事は新聞では読んだことがなかった気がする。いや、冷静によく読むと別に好意的ってほどじゃないんだけど、シンフェインについてはなんか奥歯に物が挟まったような書き方しかしてなかったから。
もちろん、IRA の暴力とかマギネスがそれに関わっている可能性について大きくスペースを割いてるんだけど (マギネスは 1974 年に IRA をやめたって言ってるんだけど、額面通りに受け取ってる人はあまりいない)、彼のピースメーカーとしての役割をかなり積極的に評価している。
つまり、アダムズとマギネスはグッドコップ/バッドコップで、アダムズが英・米・愛国政府に「武器はほんとに放棄しますから」とうまいこと言ってる裏で、マギネスが草の根レベルの IRA 兵士たちに「武器放棄は一時的なもので、イギリスがまたおかしなことしたら武装闘争再開するから」って言ってた。それがなかったら休戦はなかった。一緒に武器もって戦った人に言われるんじゃなきゃ、そういう人たちが言うこと聞くわけがないじゃないですか、ってことらしい。
この記事を書いたのは、北アイルランド紛争が専門のエド・モロニー記者。記事のまとめも強烈で、アダムズもマギネスも IRA のメンバーであったことを否定するんだけど (先に書きましたけどマギネスは 1974 年までメンバーだったのは認めている)、そんな自己否定的な戦略じゃなくて、「わたしがやったとあなたちが言ってることを私が本当にやったとしたなら、私に感謝して黙るべきだろう。それがなければ、あなたは今、平和なアイルランドに住んでなかったんだから」とでも言うほうがもっと賢明な戦略ではないのか、と提案して記事を終えている。
来週の金曜日の Late Late Show (っていうテレビ番組) で候補者全員が集まって討論会をやるそうです。アイルランドの選挙は候補者のキャラも立ってるし、みんなが生き生きとした言葉でしゃべるので、ほんとうにおもしろいです。