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ダブリン・ベイ・サウス選挙区補選は番狂わせ - 労働党が勝利

 

 

フィネゲール党の現職議員の辞職に伴うダブリン・ベイ・サウス選挙区補選の投票が 7 月 8 日に行われ、翌日にあたる今日の開票で労働党のイヴァナ・バシックが当選を決めました。

 

www.irishtimes.com


 

バシックはトリニティ大学のロー・スクールの教授で、2007年からずっと上院議員を務めていました。下院議員としては初当選です。

 

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ダブリン・ベイ・サウス選挙区の大部分は、ラスマインズ、ハロルド・クロス、テレニュア、ラスファーナム、ボールスブリッジ、ドニブルック、サンディマウント、ラネラなどの比較的裕福な地域で占められます。そこにリングズエンドなどのワーキング・クラスのエリアが含まれるという感じです。

 

もともとフィネゲールが強い選挙区で、昨年の総選挙までは4人の選出議員のうち2人がフィネゲールの所属でした。前回の選挙でフィネゲールの候補として1人だけ当選した人が辞職し、労働党が今回勝ったことで、この選挙区のフィネゲール議員はいなくなりました。

 

下馬評ではフィネゲールのジェームズ・ギーガン候補が有力で、それを追うのがシンフェインのリン・ボイラン候補だと見られていました。なぜ番狂わせが起きたかについては詳しい分析を待たなければいけませんが、まずバシックが上院議員として長いキャリアがあり、メディアにもよく出演していたので知名度があったこと、そして現在の与党に対する有権者の不満が募っていたこと、などがあげられるのではないでしょうか。

 

アイルランドの選挙は単記移譲式という日本ではなじみのない選挙方式です。簡単にいうと、投票用紙に候補者全員のリストが記載されていて、有権者は当選してほしい順に候補者に順番を付けていくのです。一番なってほしい人に「1」をつけるのですが、1 を獲得した割合を候補者別にまとめると次のようになります。

 

労働党: 30.2%

フィネゲール: 26.2%

シンフェイン: 15.8%

緑: 8.0%

フィアナフォイル: 4.6%

社会民主党: 3.2%

利益の前の国民/連帯: 2.8%

エーントゥー (Aontú): 2.8%

 

国会に議席を持っている政党は以上ですが、無所属の人や諸派の人を含めて計15人が立候補していました。

 

フィアナフォイルは今回の選挙は勝ち目がないのはわかっていたのですが、10%ぐらいの得票を目指していました。候補の人にいろいろ暴露話が出てきたりして、目標の半分くらいに留まりました。

 

泡沫候補の中でちょっとした話題を呼んだのは、UCDの医学部の教授で強硬にロックダウンに反対していたドロレス・カハル。以前に私も記事に書いたように、この人はちょっとトンデモの部類の人なんですが、彼女に「1」をつけた有権者が169人いました。今日もマスクを付けずに開票所にやってきて、マスクをしなければ入場させないとする警備の警官とひと悶着起こしていました。

 

また、国民党っていうこれもトンデモの極右政党があるんですが、こちらの候補者は183票を獲得しました。

 

バシックは名前からもわかるようにもともとはアイルランドの血筋の人ではなくて、おじいさんがチェコからの移民だそうです。おじいさんはボヘミアン・グラスの工場をいくつも持っていたのですが、第二次世界大戦後に共産党に接収されてしまいます。そこで、以前から知り合いだったダブリンの宝石商バーナード・J・フィッツパトリックの誘いを受け、アイルランドにやってきて、ウォーターフォード・クリスタルの復興に中心的な役割を果たしたそうです。

 

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