たらのコーヒー屋さん - 2 店舗目

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アイルランド全国ジャンケン選手権

アイルランド全国ジャンケン選手権なるものがほんとうにあるのです。

 

アイリッシュ・タイムズ紙のイベントやなんかを紹介するページに、ケリー県のバリヘイグ (Ballyheigue) っていう小さな田舎町で開かれるサマー・フェスティバルのことが載っていました。このフェスティバルのメイン・アトラクションのひとつが All-Ireland ジャンケン選手権なのだそうです。

 

140 人ほどの参加者が見込まれており、そのうち 100 人が子供。主催者は、大人と子供を戦わせるのは不公平にはならないかと心配したそうだが、そんなことはあるはずもなく、去年の決勝では 14 歳の子供が 7 歳を破って優勝したそうです。

 

記事では、世界ジャンケン協会なるものの存在についても触れています。本部はカナダのトロント。英語だと、World Rock Paper Scissors Society。この団体は、1842 年にロンドンで設立されたのだそうだ。その年に、ジャンケンで決まった約束事は法的拘束力を持つという法律ができたのだが、純粋に娯楽としてジャンケンしてた人たちをこの法律から守らなければ、ということでこの団体が生まれたそうだ。

 

ちょっと待ってくれ。

 

私はジャンケンは日本でできたのだとばかり思っていたのだけれど。

 

実際に世界ジャンケン協会のサイトに行ってみる。ほんとにそんなことが書いてあるんですよ。

 

Wikipedia の「じゃんけん」の項を見てみると、やっぱり 19 世紀後半の日本で拳遊びから考案されたということでいいらしい。読み進めると、世界ジャンケン協会 (WRPS) の設立年の記述は一種のジョークであると書いてある。

 

WRPS のページに戻って最後まで読み進めると、もの凄く本当っぽいけど、やっぱり冗談っぽい。第一次世界大戦の頃に、ロンドンからトロントに本部を移したことになっているのだが、その公式の理由が「カナダは安全で、快適で、まったくもって無害。イギリス連邦の一員でありながら、犯罪者の子孫は住んでいない」。犯罪者の子孫が住んでる国っていうのはオーストラリアを指してるんですけど、いくら100 年近く前とはいえ、こんな PC じゃない理由を公にしたりはしないんじゃないか。

 

英語版の Wikipedia を見ると、今現在の版では日本起源という風に説明されてるけど、以前は WRPS 史観に基づいた記述だったらしくて、議論ページでは WRPS のページなんて嘘っぱちなんだよ!って怒ってる人もいる。

 

おもしろくなってきたので、もうちょっとネットでジャンケンの起源について調べてみた。そしたら、出てきた。WRPS の会員であるダグ・ウォーカーさんっていう人がカナダのラジオ番組に出演していろいろ御託を並べたらしい。驚いたことに、ウォーカーさんもジャンケンは日本生まれであることを認めているのです。この遊びの最も古い記録があるのは日本であり、それは紀元前 200 年頃にまで遡るそうだ。
http://www.straightdope.com/columns/read/1936/whats-the-origin-of-rock-paper-scissors

 

ちょっと待ってくれ。

 

日本の一番古い書物は古事記であって、8 世紀のものなんだが。。。

 

せっかくここまで調べたので、判明したことをまとめてアイリッシュ・タイムズ紙にメールしといた。WRPS のページは偽書っぽいよ、ってことで。記者の人にあまり失礼にならないような書き方で。

 

それから、英語版 Wikipedia で拾った話なんだけど、日本ではこの話、有名なのかな。マスプロ アンテナの社長さんだかが、個人の美術コレクションをオークションに出そうとしたんだけど、クリスティーズとサザビーズでどっちにまかせたらいいか決まらなくて、ジャンケンしてもらったっていう話。

 

サザビーズの方は、どうせ偶然のゲームなんだからっていうことで特段なんの準備もしなかったんだけど、クリスティーズの方は入念な準備をした。専門家に意見を聞いたりして。専門家って誰かと言うと、担当部長さんの双子の娘さん (アリスちゃんとフロラちゃん、11 歳)。なんで専門家かというと、いつもジャンケンしてるから。

 

11 歳だからってばかにしてはいけませんよ。もの凄い理詰めなんだから。

 

アリスちゃん: 人がいつも最初にチョキを出すことは誰でも知っている
フロラちゃん: だからといって、グーを出すのは単純すぎるし、パーに勝つのはチョキ。相手は初心者なのだから、チョキを出すのが断然安全である。相手もチョキを出して、アイコの状態になったときは、もう一度チョキを出すのが正しいゲームの進め方。
アリスちゃん: 誰もがあなたがグーを選ぶと思っているはず。

 

こんな理詰めでこられたら、お父さん、説得されざるを得ません。で、マジでお父さんはジャンケンに勝っちゃって、3 億円ぐらいの利益を会社にもたらしたそうです。

 

この話は、この方のブログに詳しいです↓
http://www.h-yamaguchi.net/2005/04/post_cd59.html
New York Times にも載った↓
http://www.nytimes.com/2005/04/29/arts/design/29scis.html?_r=1

 

しかし、じゃんけんのこといろいろ考えたりしているうちに、一日とかすぐ経っちゃうんだが。私の人生は大丈夫なんだろうかと思ってしまうこともある。楽しいからまあいいけど。

 

アイリッシュタイムズ紙のじゃんけん大会の記事
http://www.irishtimes.com/newspaper/features/2010/0715/1224274731101.html

 

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画像はマスプロ アンテナの社長さんが売ったセザンヌの絵。