北アイルランドのベルファスト生まれの画家、ポール・ヘンリーの絵が2枚、アメリカで発見され、9月にオークションにかけられるというニュース。
ポール・ヘンリーはアイルランド西部 (コネマラ) などの風景画を描いたことで有名です。1876 年生まれで1958年に亡くなっています。
アイルランドでは切手になっていたりもします。
以前は観光用のポスターにもいろんな絵が使われていました。
今回、彼の絵が発見されたのは、パトリック・マクガヴァン卿という方の子孫のおうち。マクガヴァン卿はカヴァン県生まれで1891年にアメリカにわたりました。建設作業員から身をおこし、トンネル建設のエンジニアとして名を成したそうです。彼が手掛けたプロジェクトには、フィラデルフィア、ボストン、ニューヨークの地下鉄などが含まれます。生まれ故郷の近くの教会の改修工事に資金を提供し、ピウス11世から大聖グレゴリウス勲章と聖墳墓勲章を貰った人だそうです。
ポール・ヘンリーの絵画の現在の持ち主はマクガヴァン卿のひ孫にあたる方。倉庫から最後に出してきたのがヘンリーの絵で、持ち主は印刷だと思っていたそうです。
ポール・ヘンリーの署名があるのを見つけたオークション会社の担当者は、図書館で総作品目録をあたりました。1枚は目録の中にほぼ同じ構図の絵を見つけます。もう1枚についてもダブリンや米国の専門家に問い合わせ、本物であるというアドバイスを受け取ります。
マクガヴァン卿がこれらの絵をどこで手に入れたのかは定かでありませんが、アイルランドに一時帰国した際、もしくはヘンリーの展覧会がニューヨークで開かれた際に購入したのではないかと見られています。時期は1920年代か30年代とのこと。ニューヨークの額縁屋に頼んで額縁とガラスを入れてもらっており、絵は2枚ともキレイな状態だそうです。
オークション会社の人が持ち主に電話し、まず「今、座っているか」と確認したあと、絵画が本物であることを伝えます。持ち主は失神しそうだったそうです。
これらの絵画は、シンシナティのカザ・サイクス (Caza Sykes) というオークション会社で9月8日に競りにかけられます。オークション会社が設定するガイド価格は 6万ドルから8万ドル。オークション会社は、これは控えめな数字と言っています。
ポール・ヘンリーの絵としては、2021年7月に「Mountains and Lake, Connemara」という絵がハンマー価格622,500ポンドで取引されたのが最高額だそうです。